神社を訪れると必ず迎えてくれるのが狛犬です。有力な神社には江戸時代から現代まで多くの狛犬が鎮座しています。江戸時の狛犬には地方色豊かなものから、名のある石工の洗練された技を見ることができるものまで多様なものがあります。大阪の大都会に境内を持つ大阪天満宮には、拝殿前に一対の石造狛犬があるのですが、その造形は他では見ないものです。菩薩など仏像彫刻に見られる装身具のようなものを身につけた形で表現されているのです。髪の形や尾の表現も他では見ないものです。また、どちらも阿形で、阿吽を対にする形ではありません。拝殿前は近寄ることができない状態で、造立された年号などの情報は得られませんでした。そこで、webのサイトを探ってみると「狛犬ではなく、像高110cmほどの白大理石製の中国獅子である。それも新しいものではなく、明代(1368~1644)の貴重な彫刻である。」とのことでした。歴史的には、かなり数奇な運命をたどってここに鎮座することになったようです。もとあった狛犬が、金属供出という戦前の不幸な歴史も背負っているようです。
30秒の心象風景29665・狛犬~大阪天満宮~
https://youtu.be/SERBorXpKdE