八障連ブログ

八障連(八王子障害者団体連絡協議会)運営委員会より、情報提供を行っています。(「八障連について」カテゴリーを参照)

コラム『日々のなかから、、、』(1)

2013年11月08日 | コラム
杉浦事務局長によるコラム『日々のなかから、、、』が八障連通信に掲載されて24回目を数えます。
好評をいただいているコラムですが、ブログ記事にも一つずつアップしていきますのでご期待ください。
といっても、通信紙面上に過去掲載されたものの再掲載です。25回以降の新しいコラムは通信をご覧ください。


連載コラム『日々のなかから、、、』(1)



こんにちは。杉浦です。
運営委員の話し合いにででたら、『障害当事者の立場から何かしら面白い体験があったら書いてくれ』といわれ、コラムを書くことになりました。

なるべく障害の有無、種別にかかわらずどんな人でも読んでもらえるように頑張ってみますが、どうしても肢体不自由の身体障害に偏ってしまうことがあるかと思います。
いつまでネタが続くかも判りません。次回があるかも分かりませんが、よろしくお付き合いください。

普段は周りの人に支えられ助けてもらって生活してる私ですが、今回は私の方が余計なお節介から人助けしようと思ったときの話を。



とある用事で夜まで外出してへとへとになったある日のこと。
遅い時刻だったので、遠い自宅に帰るヘルパーのために、電車が無くなる前に駅で別れました。

あとは帰って寝るだけだったのですが、疲れていたので気分転換に缶コーヒーでも飲もうと思い、近所のコンビニに寄りました。

店に入ると、バイトのお姉さんがカウンターで、赤い顔した酔っぱらいのおっちゃんに絡まれて、意味のよくわからないお説教を食らって戸惑っているのが見えました。

仕事の手を止めて、ケナゲかつマジメにロレツの回ってないおっちゃんの言葉に相づちをうつバイト娘さん。
すぐ隣に男のバイトくんも立っていたのですが、自分まで絡まれたらレジが完全に止まってしまうからか、あるいはメンドクサイと思ったからか、仲裁に入る様子もありません。

しばらく見ていてさすがに気の毒になった私は一計を案じ、遠い昔に封印した禁断の必殺技を使うことにしました。

遠い昔の中学生の頃、道行くOLのお姉さんや女子学生の気を引くために編み出した技。

全身から『カワイソーな人』の波動を出しつつ、演説に夢中になっているおっちゃんのすぐ側に無言で近づきました。できるだけ速やかにこちらを認識してくれるように願いながら。

するとほどなく、おっちゃんの視線が私を捉えました。作戦成功!!

もくろみどおり、演説の矛先が私の方に切り替わりました。自分の仕事に戻るよう、眼だけでバイト娘さんを促す私。
《ニイちゃんもいろいろ大変だよなあ…意地の悪いこと言うヤツもたくさんいるだろ??くじけちゃあいかんぞ!!》

『ええ。ええ。(^o^)そうなんです(^o^)でもアナタのような優しい人のおかげで、ボクも落ち込まないで済んでいます。ありがとうございます(^o^)』

営業スマイルを浮かべつつ心の中に強力なバリヤーを展開し、おっちゃんの言葉を右から左に受け流しました。

私の経験上、お説教タイプの酔っぱらいさんは、気が弱く優しそうな人や、見た目が自分よりもカワイソウに見える人に絡みつきやすい傾向があります。お酒の酔いが回っていなければ、いたって善良な人も多いのです。
今回はその性質を逆に利用させてもらったわけです。

私は別に障害のある自分の身の上を悲観しては居ませんが、酔いが回ったおっちゃんからすれば、車イスに乗った《弱者》の私は格好の話し相手に見えたことでしょう。

ちなみに、人の気を引くために『カワイソーな人のフリ』をするこの技ですが、悪用すれば人の厚意や善意を踏みにじる事になるため今では絶対に使いません。
中学生の私がイタズラ半分に身につけたものですし、今回はお姉さんを助けるために例外中の例外として使いました。

私を相手に一方的に演説を垂れ流したおっちゃんは、気が済んだらサワヤカな笑顔でとっとと店から出て行きました。

よほど困っていたのか、バイト娘さんに丁寧にお辞儀してもらって、ちょっとだけいい気分で帰宅しました。コーヒーがヤケに美味しかったです。

(続く)











(有)


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