日記

適当に書きたいときだけ書いてます。

音色

2021-08-14 14:56:43 | 日記

たばこを吸いに、外の小庭に出た。小庭と言っても、ひと1人通るくらいの隙間だ。すると、どこかから笛の音が聞こえてきた。リコーダーだろうか。わからないけど、すごく美しい音色だった。なんだか心が休まる気がした。俺にはなんの関係もない音だろうに。しかし、ずっとそこにいたいくらい、綺麗な空間だった。

俺はその音色を響かせている子を想像した。小学生くらいの娘だろう。夏休みだから、課題の練習でもしているのだろうか。すごくいい娘なんだろう、と思った。雨は朝からずっと降っていた。雨の中に音楽も、悪くないと思った。


罪?

2021-08-13 14:39:28 | 日記

いけないことほどしたくなる。背徳感が押し寄せてくる。ただの興奮でもない、なんだろう、もっと根源的なもの。大きい木の根っこの部分。カルピスの原液。とろっとして、ネバネバした心。どちらがいいのかわからない。困ってる。


ルール

2021-08-10 17:51:13 | 日記

青年の前に1人の老人がいた。青年と老人の間には1つのコインが落ちていた。老人は訊いた。

「そのコインの表はどっちかな?」

青年はコインを手に取り、探るように見つめた。コインには見たこともない絵柄が描かれていた。青年は言った。

「わかりません」

すると老人は、老人らしい笑い声をあげながらこう言った。

「ワシにもわからんわい。しかしそれはどうでもいいことじゃ」

青年は怪訝そうな顔をした。そして訝しがりながら、老人に訊いた。

「しかし、表と裏がわからないのは困りませんか?」

老人は少し驚いた顔をした。

「なぜじゃ?」

「だって、呼ぶときとか困るし、気になるじゃないですか」

すると、老人は少し微笑みながらこう言った。

「それはワシが作ったコインじゃ。しかしどっちが表かは決めとらん。どうでもいいと思ったからじゃ。しかし、君にとってはそうじゃなかったみたいじゃな」

青年は少しやりきれない思いを抱いた。それと同じくらい、納得感も感じていた。


時間

2021-08-10 16:00:33 | 日記

高校時代、Yくんという人がいた。彼はいつも死んだような目をしていた。勉強も部活もやらず、ただ腐ったように生きていた。Yくんの学校での唯一の楽しみは、性だった。階段の下から女子のスカートを覗いたり、女子トイレに入って個室を覗いたり。また、クラスの女子をオカズに家で自慰をすることだったり。Yくんは性に支配されていた。しかし、恋愛に踏み出すことはなかった。

Yくんは歳をとり、そのときのことを思い出していた。そして少なからず、後悔した。普通の恋愛をしたかった、と。Yくんは彼女ができたこともあったが、高校生という限られた時間を無駄にしたことを自分でも許せなかった。Yくんは時間が戻ってほしいと祈った。しかし、それが実現することはなかった。あるのはただ、先の見えないトンネルだけだった。


善と悪

2021-08-09 14:37:55 | 日記

ワイドショーをたまたま観た。テレビ朝日の番組だ。そこでは、先日の無差別刺傷事件について取り上げていた。

コメンテーターの1人がコメントを求められ語っていた。詳しくは覚えていないが、「こういう人間がいるってことをもっと認知して対策を考えなきゃいけませんよね」ということを言っていた。それは「様々な人の心に寄り添っていこう」という意味ではなく、「危険な人物を我々の平穏な社会から取り除こう」という風に聞こえた。俺はなんだか、怖かった。もちろん、他人を傷つけることがいいことだとは思っていない。自分の不幸を他人のせいにするのも。だが、そういう人間を排除しようということをテレビで放送していることが、怖かったのだ。なにが違う。この事件の犯人がしたことと、何が違うのだ。怒りも感じた。恐ろしかった。

しかし、「じゃあどうするの?」と聞かれれば、俺も答えは持っていなかった。もし自分があの現場にいれば、恐怖で足がすくんでいただろう。そういう体験をすれば、コメンテーターの意見にも賛成していたかもしれない。そういうところが、人間の嫌な、醜い部分なのだ。いや、俺の、と言ったほうが正しいかもしれない。

悪があって善がある。そして、逆もまた然りなのだ。どちらが正しくて、どちらが間違っているのだろう。