たばこを吸いに、外の小庭に出た。小庭と言っても、ひと1人通るくらいの隙間だ。すると、どこかから笛の音が聞こえてきた。リコーダーだろうか。わからないけど、すごく美しい音色だった。なんだか心が休まる気がした。俺にはなんの関係もない音だろうに。しかし、ずっとそこにいたいくらい、綺麗な空間だった。
俺はその音色を響かせている子を想像した。小学生くらいの娘だろう。夏休みだから、課題の練習でもしているのだろうか。すごくいい娘なんだろう、と思った。雨は朝からずっと降っていた。雨の中に音楽も、悪くないと思った。