観てきました。
※このさきネタバレ要注意
なにがどうなってるんだ…。
しかない。
ぶっちゃけあらすじだけ見たら、そこはかとないB級臭がするんですが、『全編10カット長回し』という触れ込みが気になって観てきました。
物語の真相は中盤で明かされますが、ラストを見る限り一番の重要なポイントではなさそうなきがする。
ポスターやチラシをみると、スチュープがスーパー兵士なんだろうなあと思ってたけど、複雑な過去を持った元海兵隊の衛生兵だという。
そのためか、あの混乱とカオスのなかでも、一貫して「自分が生きること」「誰かを生かすこと」に行動の動機があるように思えました。
それだけに、最期はとてつもなく虚しく、やりようのない怒りと絶望を感じましたね。
一方、ルーシーは、序盤こそ状況がつかめないまま彼氏をショッキングな事故で亡くし、誰かもわからない武装集団や街のごろつきに襲われかけてパニック状態でしたが、自ら進んで目的地を決めたり集団を煽動したり(語弊があるかな?)するほど逞しさを見せていました。
やはり、妹を守らねばという責任感からなのでしょうかね。
でも多分根はタフなんでしょうね。彼氏があんな状態で戻ってきたのに、ここにいちゃダメね助けを呼ばなきゃって前に進んでいけたし、催涙スプレーで反撃もしていたし。
彼女は彼女で、正義感の強い子だったんだよね。顔見知りのお店を心配して訪れたり、襲われそうになってる人を咄嗟に銃で助けたり(結果自分も傷ついてしまいますが)。
主役の二人が、そこそこ魅力的というか見ていて嫌な感じはしなかったんですが、最後まで生き残れなかったのがなんとも…。
スチュープが撃たれたときは、防弾チョッキでも着てて失神してるだけかと思ってたけど、ほんとに死んじゃって驚いた。でも引きずったときに血が出てなかったように見えたから、ほんとはあのあと気が付いて……みたいなことになってないかな。結局ルーシーが死んじゃっててスチュープには悲惨な現実が付きまとうだけなんだけれども。
ルーシーのほうも辛かったなあ。ほんとにあと少し、ベリンダもつれてなんとか逃げられそうだったのに。
ていうかあんなか弱い女性二人に向かって集中砲火は大人げなくね?!ってくらいひどかったね。しのいだあとの神エイムにはビックリだったけど。
ただそのあとの一瞬でね。
びっくりしたよ。
あれは、結局妹が撃たれちゃって、事切れた妹を必死に運ぼうとするけど、他の人に引き離されて自分だけ助かるっていうオチになるかと思ったら真逆だったから。
長回しに関しては、これはほんとにすごかったと思う。
長回しってことは、スタートからカットまで切ることなく演じるわけだから、セリフ持ちのキャストはもちろん、民衆とか武装集団のスタントやエキストラまで失敗できないわけですから。
感覚的にはゲーセンのシューティングゲームみたいな動きでしたね。主役の後ろから撮ってて、後ろ向いたらカメラが後追いで後ろを撮ってて、回り込んで主役を正面から捉える、みたいな。
でも爆発とか、発砲被弾とか、失敗できない要素がたくさんありそうで撮影すごい大変だったように思います。メイキングちょっときになる。
そして、長回しであるからなのかは解りませんが、すごくリアルでした。走ってきて息が上がってるとか、傷の手当てがめちゃくちゃ痛そうなところとか。ていうか痛がり方がすごい上手くて、見てるこっちも足は痛いし指もいたくなりました。恐ろしい。
ブッシュウィックという地域がどんなものなのかは全然知らなかったんですけど、重要都市のなかの一部で、落としやすそうだったからってことでいいのかな?
それにしても、本作が伝えたかったことはなんだったんだろう。結局あんな暴動がおきた理由は明かされたけど、特に黒幕明かされなかったり。
どんな目的があったとしても、テロや暴動で被害を被るのはなんの罪もない一般市民、ということなのかな。つまりはある種の反戦映画という。
んー。
色々消化不良なところはあるけど、それゆえに色々考えたり胸に残るものがあったから、面白い映画だったと思う。