観てきました。
※このさきネタバレ要注意
スタジオポノックの長編アニメ作品が観たくなりました。
今回は3つの短編作品集。
カニーニとカニーノ
まず最初に、水の画がすごくきれいだった。正直、いかにもCGってかんじにも見えたりはしたけれど、画面一杯に清流が写し出されて少しばかりの清涼感。
そして登場人物の謎が深い。
最初にウスバカゲロウみたいな妖精みたいなのが飛んでったときに「あ、これは自然の生きものが擬人化されてるのね」って思ってたんです。カニーニとカニーノも蟹の擬人化かと。しかしまあ、そのあとの普通に生き物としての蟹が出てきて???となりました。
でもあれは特に意味はなかったのかなとも思いました。
あの巨大な魚はなんだったんでしょうか。魚にはあまりくわしくなかったので、とりあえずブラックバスかなにかだと思うことにしました。めちゃくちゃグロ怖かったですね。そしてあの最期。バグズライフのクライマックスを思い出しました。
お父さんが歴戦の勇者感溢れててすごかった。
そして新しく生まれた子たちの名前がきになる。
その前の、カニーニたちのお兄さん的キャラたちはみんな食べられたり流されたりで、いなくなってしまったのかと思ってたら、一人立ち?して遠くにいってたみたいでちょっと安心。
監督が米林さん(アリエッティ、マーニー、メアリ)(いずれも未見…)だったので、絵自体は一番ジブリらしいというか、ジブリまんまといった感じかな?
長編作品として見てみたいです。
サムライエッグ
食物アレルギーなくてよかったあ(°Д°;)
アニメーションはクレヨンで描いたような優しいタッチながらも、お話自体は非常にリアルで深刻なものでした。
当事者になってみないと、ことの重大さには気がつけないと思うのだけど、この話で少しは寄り添えられそうな気がしました。
卵アレルギーってかなりでかそうですね。ちょっとしたファミレス?カフェ?でも飲物くらいしか口にできないってなかなか大変。
アイスにも気を付けないといけないのも大変だよねぇ。
しゅん君がまだ元気でしっかり主張の出きる子でよかったよ。あれでマイナス方向に引っ込んでしまう子だと、なかなか学校も行きづらかったりしそうだし。
でも友達も多そうだし、なにより運動神経がいいってのは小学生にとっては黄金のステータスだからね。
きっとしゅん君は大人になれるはず。
お母さんとの関西弁と東京弁(?)の下りは面白かった。癪じゃん!
透明人間
今回3作の中で一番気になっていました。
これはなかなか難しいですね。
「透明人間」という人種が普通に存在している世界かと思ったけど、自動ドアは開かないし、コンビニでお金は下ろせないし、なにより他人から認知されていない。最後のは透明人間なんだからしょうがないでしょう、と思いそうですが、スーツ着て帽子かぶって眼鏡して消火器担いで(!?)たらいくら透明人間だとしても気づくものね。
途中、コンビニの店員さんが透明人間をすり抜けていくとこは軽く寒気がしました。
しかしながら、透明人間を認識している(できている)キャラクターもいて、目の見えない人、その盲導犬、赤ん坊。
なんで普通の人には見えないで彼らにはわかるんだろう、と思ったときに、「目に頼らないで生きている」からかな?って思ったんです。もちろん100%頼ってないわけじゃないけど、目が見えない人は相手の声や回りの音、それから自分で触れたときの感触で精一杯世界を認識しようとします。盲導犬、というか犬も、目で認識もしますが、それ以上に臭いや音に非常に敏感です。そして赤ん坊は言わずもがな。目で見る世界も新しいことだらけで新鮮ですが、大人よりも耳で聞こえたもの肌で触れたもの鼻で嗅いだもの、すべてが新しく新鮮な状態です。
そういった視覚情報だけに頼りきっていない人(動物)には彼が見えたのかなって思いました。
ではなぜそういった人にしか彼は見えなかったのか。
歯も磨くし、排泄もするし、ものも食べるし、バイクにものるし、仕事もする。
普通の人と何ら変わらないのに、透明であるだけで、誰からも認識されない世界。
もしかしたら認識されなくなったから透明人間になってしまったのかもしれないですけどね。そこはわかりません。
そしてなぜか浮いてしまう彼のからだ。家でダンベルを持っていたり、外では消火器を担いでいたのも、風船のようにフワフワと飛んでいかないようにするための重り変わりだったんですね。まことに不思議。
あれは世間から「世間から浮いている人間」という暗喩なのか。
でも最後に写った彼の後ろ姿には、消火器はくくりつけられておらず、ヘルメットの隙間から見える髪の毛が風で揺れている。
実体をとりもどしていたような気がします。
不思議ですねえ。不思議。
彼の長編作品も是非見てみたいです。
追記
盲目の老人?からパンをもらって食べているとき、彼の顔からしたたるもの。俺には何滴かは大粒の涙がこぼれているように見えて軽くもらい泣きでした。ただの雨が滴っただけといわれればそうかもしれないですけどね。
追記終
トータルで一時間弱くらいの上映時間、それぞれ15分~20分くらいでした。
短編だからこその良さと、短編でみるには惜しい部分もあったり。
オープニングとエンディングの木村カエラの音楽も良かったです。子供向けとしてもいいんじゃないかなって。
「響」の予告は向いてないんじゃないかなって。
スタジオポノックさん期待ですね。