ボクの場合、テーマさえ決まればもう6割から7割は終わったようなもので、後世に残るような名文を物すわけでなし、ごく普通の文章を綴るのはどうってことのない作業なのだが、肝心のテーマが決まらなければすべてがお手上げとなる。
テーマが決まっていない場合は、起きてきて歯を磨き、顔を洗ってパソコンの前に坐っても腕組みして虚空を見ながらじっとしているだけである。
それではその姿勢で必死にテーマを探しているのかと思いきやさにあらず、ただただぼんやりと時の過ぎていくのを気にしているだけだから、誰かさんの決めゼリフの絶好のターゲットになりかねない。
心の奥底では、ぼんやりしていたって焦って来ればそれなりに何かテーマが浮かぶだろうとタカをくくっている。
で、5時も回ってしまい、どうしようと少し焦りかけても浮かぶのは「昨日は勤労感謝の日で良く晴れていたなぁ。でも西の空の彼方には雲がかかっていて富士山は見えなかったぞ」くらいのものである。
さていよいよ困った。
勤労感謝の日について何かでっちあげるかとキーボードを叩き始めると05:19にスマホからショートメールの着信を知らせるメロディーが流れる。
画面を見ると「予定通りバスタ新宿に着いたよ。」と表示されている.
山形から昨夜夜行バスに乗って江戸を目指した友人夫婦が無事の到着を知らせて来たのだ。
よし、ちょうどいい! 渡りに舟とはこのことだ。この辺の交信記録をブログに仕立てちまえと「「ご苦労様! 眠れたの?」とただちに返信したのだが、なしのつぶてである。
いくら暖冬の東京と言ったて夜明け前の一時は一番冷え込む時間帯だ。
暖房の効いた車内から放り出されてブルブル震え、次の行動に移るまで今頃右往左往しているのだろう。
しかもこんな時間だし、どういう身の処し方があるって言うのか、その辺りも注目である。
築地場外に行って朝飯を食うと言っていたが、中央線で東京駅まで行って、さらに一つ先の有楽町からとぼとぼ歩いていくか、日比谷線に乗り換えるか。はたまた新宿から都営地下鉄の大江戸線で直行か?
なんて想像を巡らしていると10数分ほど過ぎたころに返信があった。
いわく「まあまあ。山形も寒かったけど東京も寒い。相客はなぜか20~30代の女性ばかりだった。じじ、ばばはわれわれだけ。」と。
「まあまあ」というのはあまりよくは眠れなかったということだろう。寒空に放り出されて東京の寒さが身に染みているようじゃないか。
おまけに、お江戸でパ~ッと遊びたい若い女たちが節約できるのは交通費と宿代くらいだろうから深夜バスが彼女たち御用達なのもムベなるかな。いささか場違いだったって言外に語っているかのようである。
ま、何事も経験だけどね。
で、ボクの返信。
「お疲れサマ。これから築地に直行? 温かいみそ汁でも飲んで一息ついてよ! 体力もちそうもなかったら早めに我が家に来て休んでください。」
05:43開封済みのサインが出たから読んでくれたようで、すぐさま「ありがとう」と返事を送って寄越した。
午前6時を回ったが、その後連絡がないのは多分築地に向かっているからだろう。
それにしてもエラく長い1日になりそうだぜ、ご老体。ご飯を何回食べるつもりさ。東京は逃げないから見物は早めに切り上げて、さっさとうちに来てゆっくり休んで英気を取り戻す方が身のためだよ。そうしたほうがいいよ。
かくして、ブログのネタが転がり込んできて、他愛もない話を綴って今日のお茶を濁させていただきました……とさ。
わが庵は酒屋に遠し梅早し…って句があったが誰の句だったか。友人の来宅を前に酒を買いに行く道すがら
つやつやと瑞々しい葉と共に咲いていた花はタンポポの仲間らしい
この仲の良い花は何だろうか
ノコンギクか
水路の土手にはアカマンマ。モンシロチョウやシジミチョウ、トンボも飛んでいたが写せなかった
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heihoroku
高麗の犬
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