炎天下、自転車で稲村ケ崎を過ぎるあたりで、歩行者が背負っていたリュックサックにハンドルが引っ掛かかり、転倒してしまったのだ。
こちらが倒れなければ、相手が引きづり倒されていただろう。
その意味では良かったのだが、左足の膝小僧を3センチくらいすりむいてしまった。
長ズボンを履いていれば何でもなかったのだろうが、何せ短パンで、膝小僧は丸出しである。
固い骨と固いアスファルト舗装にすられたものだから、皮はたまったものではない。
こういうとき、因幡の白ウサギは海の水で傷口を洗ったんだろうが、沁みて痛そうだったので、自動販売機の水を買って傷口を洗ってつばをかけておいたのだが、砂が混じりこんでしまっている。
家に戻る途中の外科が開いていたので消毒してもらおうと寄ったところ、医者は一瞥をくれただけで、気の入らない様子で何やら消毒薬のようなものを湿らせたガーゼをひと掃きしただけでおしまい。
もうちょっと丁寧にやってくれてもよさそうなのだが、これでは家に戻って自分でやればよかったと思ったが、後の祭りである。
おまけに随分とお年を召して、しかも太った堂々たる体格の女性の看護師さんが、「リンパ液が染み出ますからね」と膝小僧に山盛りのガーゼを当てて、その上から包帯でぐるぐる巻きにされてしまった。
これでは大怪我じゃないの。
ちょこっとすりむいただけなのに…
膝がぐるぐる巻きにされてしまったので、ペダルが漕ぎにくくなってしまい、仕方なく家まで自転車を押して帰るはめになってしまった。
家で治療していれば、傷口をオキシフルか何かで消毒して赤チンを塗って空気にさらしておけば勝手に乾いて、かさぶたになって、という手順で治すのがすり傷の絶えなかった子供のころからの常識である。
しかし、日本の医療は薬屋まで加わって、寄ってたかって稼ごうというのか、夏場は化のうしやすいからとか何とか言って、塗り薬やら化のう止めの飲み薬、おまけに胃薬まで処方されてしまった。
医療費が赤字になるわけである。
おまけに、医者じゃなくて看護師が「傷口を改めますから、また明日来てください。いいですね」と念を押す。
「ヘイ」と口にはしたが、行かないもんね。
25年くらい前、海に出ようとカヤックを漕いで河口を下っていて、前方から来たモーターボートをよけようと岸辺によって待機していたら、横波をくらってあわや沈没しかけた拍子に川岸に手をついたところ、口を開いていた貝の大群の中に手を突っ込んでしまい、手のひらから手首にかけて、おろし金でこすったような無数の切り傷と引っかき傷を作ってしまって血だらけになった。
この時も、この開業医に寄って手当してもらったのだが、当時の先代はもうちょっと親身になって、タメツスガメツするように丁寧に傷口を検分し、治療してくれたものである。
待合室に油絵の自画像が飾られていたが、もう亡くなったんだろうなぁ。
13日から小1の孫娘が遊びに来るっていうのに、ぐるぐる巻きの膝で出迎えるわけにいくか。
傷口を空気にさらして乾かさなければ、思い切って遊べやしないじゃないか。
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青のアサガオ