三浦半島西海岸の芦名にある浄楽寺で運慶仏に会ってきた。
「運慶作に間違いない」と認定されている仏像は全国に18体しかないそうだが、そのうち5体がこの寺に納められている。
阿弥陀如来坐像、勢至菩薩立像、観音菩薩立像の阿弥陀三尊、毘沙門天立像、不動明王像の5体で、運慶30代の貴重な作品としてすべて国の重要文化財指定を受けていて、本堂裏手の一段高くなったところに建つ耐震防火造りの頑丈な収蔵庫に安置されている。
今年は運慶没後800年の大遠忌に当たるそうで、しかも去年、横須賀市美術館と横浜の金沢文庫で相次いで開かれた「運慶展」にお出かけしていたのが戻って来た「お戻り開帳」ということで、例年なら3日の1日限りの御開帳が5日までの3日間に拡大されている。
去年の大河ドラマにも若かりし運慶が登場して異彩を放っていたが、奈良仏師だった運慶が関東に下ってきたのは和田一族の懇請に応じたからだとされ、毘沙門天立像、不動明王像の胎内から「文治五年三月二十日、大願主平義盛芳縁小野氏」「大仏師運慶」の名が記された木札が発見されていることから、鎌倉幕府の有力御家人・和田義盛が頼んだものだということが裏付けられている。
武骨な関東武士の権化のような和田義盛が奈良からわざわざ仏師、それも運慶を呼んで仏像を彫らせたというのは、義盛の文化に対する関心の程度をうかがい知る手がかりの一つとして興味深い。
両方の展覧会に足を運んだ運慶ファンのひとりとしては、5体の「実家」が芦名の浄楽寺だと知って驚いたのは言うまでもないが、全員集合の図を一度この目で確かめておきたいと思っていた。
これは運慶ファン共通の思いらしく、寺の前を走る国道134号線から少し奥まったところに建つ、普段は人影もない鄙びた小寺はガードマンが出て交通整理するほどにぎわっておりました。
立石海岸の駐車場に車を停め、目の前に広がるこの景色を眺めながらコンビニの握り飯を食べる
富士山は雪の積もった中腹辺りが少しだけ覗いている ここから車で5分足らずのところに目指す浄楽寺はある
門前市が出来ていて、周辺で獲れた野菜が並べられていた
大きなブロッコリーとカリフラワーがそれぞれ200円を筆頭にキャベツやカブも安く、山の神は喜んで買い込む(もちろん帰りがけに)
こじんまりした本堂
本堂裏手の森の一角を切り開いて建てられた耐震防火づくりの収蔵庫
阿弥陀如来坐像(中尊)、勢至菩薩立像(左)、観音菩薩立像(右)
阿弥陀様の像高は141.8cmだが、後輩を含めるとかなりの大きさ
また両侍のうち観音菩薩は178.8cm、勢至菩薩も171.1cmあり、3体が並んだ迫力に圧倒された
そうはいっても運慶の荒々しいイメージの仏像とは異なり、穏やかで和むような感じにさせられる雰囲気を纏った三体は「へぇ~」「ほぉ~」もの
勢至菩薩と観音菩薩の微妙な腰のひねり具合や衣の表現の仕方にも目を奪われる
阿弥陀様♪
運慶面目躍如の毘沙門天立像
カッと見開いた眼!
不動明王立像
口をへの字にひん曲げ、しかめっ面でにらみつける
(以上、仏像の写真は絵葉書から転写)
門前市では野菜のほか海産物の店も出ていて、先日、由比ガ浜で見たばかりの天日干しされている天然ワカメも並んでいた
旬の味を見逃す手は無く、山の神に茹でてもらってきれいな緑色に変わったところを、まだ日は高かったが焼酎のお湯割りを作って「友」としたのでございます
いや~ぁ…春ですなぁ♪