3日はバスで鎌倉駅に出て、といっても横須賀線のガード下からはバスも入れないので、ここが終点。太刀洗行きに乗り換え、鎌倉霊園で墓参りをして十二所の明王院~報国寺~杉本寺~おんめ様を巡った。報国寺の拝観は4日からだった。
バスは時間通りにスイスイ走る。
歩くのにも自動車を気にしなくて済むから気持ちよく歩ける。
1年中やってもらいたいものだが、それが無理なら、せめて土日と祝日にできないものか。
車で鎌倉に来ても駐車場は少なくて、おまけに高いだろうに。最大の欠点は至る所で渋滞が引き起こされるから、見物の時間が大幅にロスしてしまうだろう。
これが電車で来れば渋滞はゼロの上に、車内の人間観察なども楽しめて一石二鳥どころか、もっと楽しみは見つかるかもしれない。
鎌倉の街は案外狭い。仮に竹寺で有名な報国寺を尋ねるとする。駅前から八幡様に向かって伸びる段かずらのもう一本東側(横須賀線の線路と反対側)の住宅が立ち並ぶ中の小道を進めば、それはそれで風情がある。八幡様に近づく辺りに黒塀を張り巡らした家に出くわせば「天皇の世紀」や「パリ燃ゆ」「鞍馬天狗」などを書いた大仏次郎の旧宅である。休みの日には庭を見ながらお茶が飲めるはずである。
バス通りに出てしばらく進むと鎌倉宮へ向かう道が左にそれる「分かれ道」という信号があり、それずに直進して次の信号を右に曲がって滑川に架かる橋を渡り、また住宅地の中の細道を道なりに辿ってゆけば、自然と報国寺の前に出る。
緑の多い、静かな古都の風情を漂わせる小道である。
近くには鎌倉五山のひとつ浄妙寺や鎌倉最古の寺のひとつとされ茅葺屋根の葺き替えが終わったばかりの杉本寺があり、杉本寺をバス通りに沿って駅のほうへもどると、右手の小学校に沿って右に折れ、やがて現れる小さな水路を右に折れて水路沿いを進めば鎌倉宮の脇にでる。この界隈も落ち着いた静かな住宅街である。
鎌倉宮の脇をさらに進むと日本画家の平山郁夫の家の前を通って瑞泉寺に着く。今の時期、水仙の群落が花をつけ始めている頃かと思う。梅にはまだ少し早いかもしれない。
瑞泉寺に向かう道は途中で二手に分かれるが、左に折れると獅子舞の谷である。ここは渓流沿いにモミジやイチョウの紅葉が見事な隠れた名所である。そのまま山道を辿れば天園ハイキングコースに出る。このハイキングコースは鎌倉の北側の尾根をうねっていて、西に進めば建長寺に出られる。頼朝が最初の武家政権を打ち立てた場所にこの地を選んだ理由が、尾根筋から窺えるはずである。それほどに東、北、西に屏風を立てたように山を背負いながら、南に向かって海が開ける天然の要害の地であることが分かる。春や秋は気持ちの良い山道である。鎌倉の小学生は遠足で1度は訪れる。
鎌倉宮まで戻り、鳥居を正面に見て左に進むと覚園寺である。カクオンジと読み、落ち着いた静かな寺である。ここは和尚さんの案内で参拝することになっている。ぶらりとは立ち入れない。しかし、説明があるとないとでは大違いである。毎正時に案内がスタートする。一度は尋ねてみたい寺である。
ここには思い出があって、高校生の頃、同級生と3人で今泉の散在が池(今の鎌倉湖)辺りから山道に分け入って、道があるようなないような所を這い回っているうちに、ドスンと寺の境内に落っこちたのである。辺りを見回してもどこだか見当がつかない。夕闇が迫っていて、裏山から高校生3人が降ってきたのだから、お寺ではさぞびっくりしたことだろう。脂を絞られた記憶はないから、お咎めも何もなかったはずである。
東京オリンピックが開かれた年の秋か、翌年の夏前のような気がする。もちろんハイキングコースなど整備されるずっと以前の出来事で、昨今のような観光客の殺到の無い時代の話である。
これをすべて車に邪魔されず、徒歩で巡るのである。鎌倉駅から報国寺~浄妙寺~杉本寺~瑞泉寺~鎌倉宮~覚園寺~鎌倉駅で8キロ程度ではないか?
道沿いには、それなりに食事を供するところがあるから疲れたら立ち寄ればよい。1日かけてのんびり歩くには絶好の散策コースである。
報国寺、浄妙寺、杉本寺、鎌倉宮の前まではバスで行ける。バスが渋滞ゼロで走るなら利用するのも手かもしれない。
以上、鎌倉プチ観光案内でした。
観光客としてやってくる人たちも、結局は車が規制されているほうが、かえって便利で快適なんじゃあないか。
世界遺産への登録を狙っていて、落選したばかりだが、呪文を唱えるだけでは無理である。行政や観光業者が望むのなら、それなりの決断をしなくては。
よしんば登録されたらどうなるか。今まで以上の観光客が訪れることになるだろう。市内にはろくに泊まるところもない。これ以上の交通渋滞が引き起こされたらどうするつもりか。そんな簡単な想像もつかないのだろうか。
少なくとも、バスやタクシーが時間通りに走れるようになれば、来訪者にとっても快適な街になることは間違いない。
想像力の欠如というのは恐ろしいものである。太平洋戦争はつまらない、しかも自分たちの都合の良い条件だけ組み立てた妄想の末に戦端を開き、数百万人もの国民を犬死させ、侵略したアジアの国々の多くの人々の命を奪った。
例えはオーバーだが、想像力は客観的なデータの冷徹な分析に基づかなくてはならない、という痛烈すぎる教訓だろう。
何を成し遂げるのも意思である。強い意思を抱いて問題点を一つ一つほぐしてゆく。そうすれば必ず道は開けるだろうに。
昨年の8月に葺き替え工事が終わったばかりの杉本寺。奥の奥の秘仏も拝めるが、暗くてよく見えないのが惜しい。
石段はすり減っていて通れない。脇に新たな石段が出来ている。
杉本寺の前の滑川にカワセミを見つけた。画面中央の青い点。
3日の鶴岡八幡宮の参拝の列は境内前の信号機の所まで伸びていて、駅からはさらに人の波が続いていた。拝殿まで2~3時間かかりそうである。
おんめ様境内のロウバイ
「寒咲あやめ」という花に初めて出会った(おんめ様)
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