ある地方の余り人も多くない駅のホームで、いつものように電車を待っているとする。そこに見知らぬ男が近づいてきて「○○さんではありませんか」と問われ、「はい」と返事をしたら、いきなり「逮捕する」と言われて連行される…
悪事を重ねて指名手配でもされていたなら観念もできようが、青天の霹靂だったとしたら、その驚きはいかばかりか。
その“いかばかり”に遭遇してしまったのである。
昨日の円覚寺。いつものように日曜説教座禅会に出た後、山門前の横須賀線の踏切を渡り、県道を横切ったところにある駐輪場。
停めておいた自転車のところで下を向いて数字式の鍵を解いたその時、「ちょっとお尋ねしたいのですが」と、３０代と思しき男性が遠慮がちに近寄ってくる。
はて？ と怪訝な顔で「何でしょう」と相手を向くと、いきなり「ヘイホーロクを書かれている方ですか？」。
ヘイホーロク！ へいほーろく！ 平方録！ 見ず知らずの人からの思ってもいない一撃である。
正直、息が詰まる思いだった。
別に悪いことをしているわけでもないけれど、悪事が露見してしまったかのように「なぜバレたんだろう」と動揺してしまった。
相手の男性も、こちらの当惑を察したらしく、自転車を指さして「ブログに掲載される写真に時々写っているものとソックリなので、もしやと思ったんです」という。
何と言う鋭い観察眼、確かな記憶力であることか。
ズバリ的中なのである。
あ～ぁ、ついにヤキが回ってしまったか。かくなる上はじたばたせずに潔く観念してお縄をちょうだいしなければ…
それにしても…。自転車は日本の良く知られたメーカーの量産品である。誰でも簡単に手に入れることのできるシロモノで、日本中に何台出回っていることか。
しかも駐輪した場所は県道に面しているとはいえ、よくよく注意を払っていなければ目に止まることさえ困難だろうに。
自転車から足がつくとは、自転車から素性がばれるとは、夢にも思っていなかった。
きめ細かな注意力に重ね重ね驚かされる。脱帽ですナ。
ポアロとかシャーロック・ホームズとか明智小五郎とか、世に名探偵は枚挙にいとまがないが、この男性もかくやなのである。
都内港区在住だそうで、毎月偶数日の日曜説教座禅会に友人２人と通ってきていて、今日はたまたま１人だが「もう１人の友だちの方が平方録のファンなんです。どんな人が書いているんだろうねと話してるんです。今度お会いしたら紹介させてもらっていいですか」という。
ファンがいてくれるんだ。それも１人じゃなくて、まだほかにもいてくれるんだ！ 考えてもみなかった。驚きの３連発。集中砲火！ 良く心臓が止まらなかったものだ。
でも、すごくうれしい。家に帰って息せき切って妻に報告したら、同じようにびっくりして「へぇ～っ！」と感嘆しつつ、ニコニコ顔である。
よし！ ７・１２を記念日に制定しよう。まさに驚きの「へぇ～」と心底感嘆する「ほぉ～」の平方録記念日！
間もなくブログ開設から１年が経つけれど、Hさん、本当にびっくりしました。でもありがとう。
鎌倉腰越の小動神社の天王祭に江ノ島から海を渡って駆けつけ、小動神社に向けて電車道を練り進む江ノ島八坂神社の神輿
年に１度、仲良く電車道を揉み進む小動神社の神輿（右）と八坂神社の神輿。両方とも堂々たる神輿だ
山車の上に飾られた頼朝と御所五郎丸
人ごみと頼朝の山車すれすれを恐る恐る超ノロノロ運転で通りぬけてゆく江ノ電。この電車の通過後、３０分づつ２回に分けて稲村ケ崎～江ノ島駅間で一時運休となった
