平方録

美人の女医、という存在

右足の踵に大きなイボが出来ていて、これがもうかれこれ15年か20年くらい住み着いている。
ウイルス性らしく、縦横4×3センチほどにも成長してしまったが、足の裏なので目に触れることがないためか、日常的にはほとんど気にしてこなかった。
それがここ5~6年、歩くと傷むようになってきて、しかし、大した痛みではなかったため、放置してきた。
皮膚科で見てもらったことがあるが、治療には毎日通ってくる必要があり、来れますか? という。
まるで、来るな! とでも言われたようだったし、実際無理だったので放置してきたのである。

春になり、陽気も良くなってきたところで、近所の女医さんが美人で、腕前も良く、評判がいいと妻から知らされたので覗いてみる気になった。
確かに美人である。歳の頃は40代前半か。
目が大きくて、確かにすらりとした美人。声も涼しい。

スタッフは女性ばかりで、ぺちゃくちゃとおしゃべりが漏れてきて、病院の雰囲気とはかけ離れているように思えるときもあるけれど、診察中の女医さんは真剣なので許すとする。
完全な予約制を敷いているので、15分と待たされることがないのも、気の短い身にはありがたい。
家からは自転車で5分ほどと至近なのも好都合である。

女医さんには、これがイボで治療には根気よく通わなければいけないと言われたが、以前の医者と違って2週に1度程度でよい、というのも「そうだよな」と納得である。
で、液体窒素で焼き殺していきますから、と物騒なことを言いながら、これまた美人の看護師にさっさと準備をさせ、あれよあれよという間にマイナス196度とかいう液体窒素を押し当てられた。

10秒ずつ10回当てますからね、という。
最初のうちこそ分厚くなっている皮膚に阻まれて痛みは伝わってこないのだが、かれこれ5、6回通っているうちに以前よりは薄くなったと見えて、痛みがじかに伝わるようになってきた。
これが痛い!
低温やけどっていうやつで、神経を焼かれているわけだから当然である。

痛いのを知っていて、痛さに頭を抱えて耐えている姿を見ながら、9回目くらいに「痛いですかぁ~、あと1回で終わりですからねぇ~」と慰めにもならないことを言う。
美人の前でじたばたできるわけがない。
美人は残酷、というけれど、あれは俗信ではなく真実である。
あんな可愛い顔をしているのに…
しかし、考えてみれば美人の女医さんと看護師さんに治療してもらっているのだから我慢も出来よう、というものなのだ。

思えば1998年に東京の虎ノ門で具合が悪くなり、救急車で搬送された先の医者が、その後脳動脈瘤を見つけてくれなかったら、今頃はお陀仏になっていたところなのである。
あの医者も美人の女医さんだったのである。

“焼け跡”が鎮まるのに2日くらいはかかる。その間、痛くて踵は下せない。
踵をちょいと浮かせたままの姿勢を保たないと歩けないのである。
治療は年末くらいまでかかるらしい。やれやれ…


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