これほどとは思わなかった。
前日と比べて風もそこそこに収まり、ポカポカとした陽気に包まれた湘南海岸。
強風で自転車をあきらめていたボクとしては、ようやく巡ってきた貴重な機会の到来に、負荷をかけてペダルを漕ぎ、心肺機能に喝を入れるべく勇躍家を出たのだった。
外出は極力控えるように――ただし、健康維持のための散歩やジョギングはかまいません。
それで人と人の接触を減らしてウイルスの拡散を防ぎ、ウイルスを封じ込めようというのが7都府県に出されている緊急自治宣言の狙い。密集、密接、密閉という三密なんてもってのほかという訳だ。
そんなわけだから、自転車は散歩やジョギング同様、ボクにとっては健康維持に欠かせないエクササイズなので、堂々と家を出る。
ところが…
江ノ島を目の前に見、西に目を転じれば相模湾の上にドンと富士山の真っ白な姿が浮かび上がる片瀬西浜に出た途端、目を疑った。
普段の平日はランナーも自転車もまばらで、速度を上げて走れる湘南海岸自転車道たるやラッシュアワーには及ばないものの、そこそこの時間帯の駅の地下道のような混雑ぶり。
おまけに所々で堆砂のために通れるスペースが狭くなっていて、そんな箇所では互いの行き交いがスムーズにゆかず、なんと渋滞が出来る始末。
荒天が続いた後の久々の好天なのだから、人が増えるのは無理もないけどね。
ボクは何度もランナーの後をノロノロ漕がされる羽目になり、それでなくても息遣いの激しいランナーが吐き出す息の一部を吸わされているんじゃないか…そこに無症状の感染者でもいて、ボクの目の前を走っているランナーがまさにそれだったら…なんて思った途端、恐怖を感じ、すっかり嫌気がさしてしまった。
あの空間はまさに三密の内の密集、密接に限りなく近かった。
絶対に感染の心配のないところ――それがさわやかな風が吹き抜ける広々とした海岸のはずなのに…
かくして、外出自粛要請が長引けばこういう混雑状況も続くだろうし、心肺機能に喝を入れるにしてもコースを選ばなければいけなくなる。
重ね重ねヤレヤレな気分だが、これがまさに緊急事態なんだろうね。心せねば。
普段の平日だと人影はまばらだが、これだけ人が出ていると自転車は速度を上げられない
この界隈は比較的スムーズに行き交えているが堆砂でコース上が狭まっている所では渋滞が発生してしまう
ここから2、3km先に大きな集合住宅の団地があって、多分そこの住民を含めて気分転換に出てきたような人が多かったのだろう、団地に近いエリアでは今まで見たこともないような数の人でにぎわっていた ボクが恐れをなしたのがまさにそういうところ
この密集は仕方ないか
それにしてもサーファーが多い
海の中、波の上だからそれほど心配はないだろうが、立派な密集ぶり
江ノ島湘南港の岸壁(見出し写真も)は休日並みの人出
この女の子はサビキ釣りでイワシの子を数匹釣り上げてご満悦
トンビまでヒトを真似て密集 !
おっ、集団急降下
風がそこそこ吹いていて、ひねもしちゃぁいないけど一応、春の海