この緊張感が完結する第三作まで続けられたのが原作者ロバート・ラドラムの腕なんだろう。ぼーずは一時、桐野夏生さん描く所の“メタボラ”という新聞小説にはまっていたことがあった。主人公は記憶喪失の二十代の男性、ボーンと同じで何も覚えていない上に、ジャングルらしき所をさまよっていた。但しこちらは種明かしが進むにつれ興味が薄れてゆき、最終編では『これは無いだろう』とぼやく羽目に陥ってしまった。
映画や小説ではこの記憶喪失が重要な要素となる事があるが、実際の生活で『私は誰?』状態になったという話はあまり聞かない。記憶喪失がないというのではない。そう『ここは何処?』は結構あるからだ。試合中にラグビーで頭を打ったプレイヤーは必ずレフリーからチェックを受ける。外傷は無くともまっすぐ立てるか、脳にダメージはないか等だ。
と言っても医者ではないので精密検査が出来るわけではない。簡単な質問に答えられるかをチェックするのだ。レフリー講習会では相手チーム名や会場の位置を尋ねる様に指導された。ところがこれが意外に難問なのだ(笑)。一部二部の有名チームならともかく、三部四部になると馴染みのないチーム名もある。ましてや四部あたりになると15名の選手を集めるにも苦しむチームがあり、学生時代のチームメイトを、打ち上げを餌に連れてきたなんてところもある。
相手チーム名やグランド名を聞いても日雇いプレーヤーの中には本当に知らない奴がいるのだ。ぼーずは『貴方のポジションは?』とか『今日は何曜日(日付だとこれも答えられない奴がいるので)?』と聞くようにしてきた。聞かれた方は大抵が『このおっさん何言い出すんや?』と怪訝な顔でぼーずを見る。そして笑いながら『大丈夫です。今日は日曜日』等と答えてくれるのだが、中には『えへへ、そんなもん判ってますよ。えへへ』と笑うだけで、最後まで答えられない奴がいるのだ。
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