さてさて、「株式とは何か」の第4回です。
今回のテーマは「株式の売買価格の決まり方」についてです。
ある胡椒航海について考えます。
野心家のキャプテンペッパーが胡椒航海を計画しました。
この航海には船、航海中の経費、現地での胡椒仕入等もろもろ合わせて
1億円
が必要と算定します。
この場合、プロジェクトに必要な資本金は1億円です。
結構な額ですが、キャプテンペッパーはこの航海で
5億円分の胡椒
を持ち帰ることができると目論んでいます。
また航海後には、持ち帰った胡椒の売り上げから
キャプテンの報酬5千万円
船員20人への給料5千万円
が支払われることをプロジェクトの条件としています。
そしてこの胡椒航海組織は航海が終わった後、解散することとします。
このように解散時期が明確な会社組織を「当座会社」と呼びます。
キャプテンペッパーは最初、超大金持ちのところへ出資の提案に行きますが、すげなく断られました。
そこで株式を発行して、小金持ち達から当座会社のオーナーを募ることにします。
100万円額面の株券を100枚発行してオーナーを募集し、1億円の資本金を調達しました。
株券を持ったオーナーのことを「株主」と呼びます。
また1株あたりの資本金額を「1株あたり株主資本」と呼びます。
この時の「1株あたり株主資本」は、もちろん100万円です。
当座会社を解散すれば、株主にはこの100万円が払い戻されます。
つまりこの株式の正味価格は
「1株あたり株主資本」
である100万円になります。
はい、株式の価格の決まり方は以上。めでたしめでたし・・・・となれば簡単でいいのですが、株式の売買価格はなぜか正味価格とは一致しません。
それは株式の売買価格には正味価格のほかに、「将来見込まれる利益」への期待値が加算されるからです。
「将来見込まれる利益」とはなんでしょう。
キャプテンペッパーは5億円分の胡椒を持ち帰ることを目論んでいます。
目論見どおりにいったとすれば、
胡椒の売り上げ(5億円)
-航海資金(1億円)
-キャプテンの報酬(5千万円)
-船員の給料(5千万円)
= 3億円
が見込まれる儲け(利益)になります。
株式の発行数が100株ですので、この時の
「一株あたり見込み利益」
は300万円です。
航海がうまくいけば、この300万円が株主へ配当として分配されます。
この「見込み利益」は将来の期待値ですので、日々変化します。
例えば航海が成功しそうだとの情報が入れば期待値は上がり、失敗しそうだとの情報が入れば期待値は下がります。
長くなりましたが、株式の売買価格(株価)は、
①正味価格(=1株あたり株主資本)
②将来見込まれる利益への期待値
の合計であることを今回は覚えていただければO.K.です。
「将来見込まれる利益への期待値」を推し量るのは大変ですが、それでも一回の航海ごとに解散する当座会社であれば、その想定はシンプルです。この航海で見込まれる儲けの額と、航海成功の確率さえ仮定すれば、概ねの値は誰にでも算出できます。
つまり「株価」は計算で推し量れる範囲内でのみ上下する理性的なものとなります。
しかし1602年、「将来見込まれる利益への期待値」を決定的に分からなくする重大事件が起き、その算定がほぼ不可能なレベルまで困難なものとなります。
そのために「株価」は、バブルと呼ばれる大高騰や恐慌とも呼ばれる大暴落を繰り返し、今日に至るまで世界経済をも手玉に取り弄ぶ巨大な魔物と化します。
「事件」とはそれまでにない新しい会社組織の登場です。
航海ごとに解散しない会社。
ゴーイングコンサーン。永遠の存続を前提とする会社。
そう、「株式会社」の登場です。
さてさて次回へ続きます。
今回のテーマは「株式の売買価格の決まり方」についてです。
ある胡椒航海について考えます。
野心家のキャプテンペッパーが胡椒航海を計画しました。
この航海には船、航海中の経費、現地での胡椒仕入等もろもろ合わせて
1億円
が必要と算定します。
この場合、プロジェクトに必要な資本金は1億円です。
結構な額ですが、キャプテンペッパーはこの航海で
5億円分の胡椒
を持ち帰ることができると目論んでいます。
また航海後には、持ち帰った胡椒の売り上げから
キャプテンの報酬5千万円
船員20人への給料5千万円
が支払われることをプロジェクトの条件としています。
そしてこの胡椒航海組織は航海が終わった後、解散することとします。
このように解散時期が明確な会社組織を「当座会社」と呼びます。
キャプテンペッパーは最初、超大金持ちのところへ出資の提案に行きますが、すげなく断られました。
そこで株式を発行して、小金持ち達から当座会社のオーナーを募ることにします。
100万円額面の株券を100枚発行してオーナーを募集し、1億円の資本金を調達しました。
株券を持ったオーナーのことを「株主」と呼びます。
また1株あたりの資本金額を「1株あたり株主資本」と呼びます。
この時の「1株あたり株主資本」は、もちろん100万円です。
当座会社を解散すれば、株主にはこの100万円が払い戻されます。
つまりこの株式の正味価格は
「1株あたり株主資本」
である100万円になります。
はい、株式の価格の決まり方は以上。めでたしめでたし・・・・となれば簡単でいいのですが、株式の売買価格はなぜか正味価格とは一致しません。
それは株式の売買価格には正味価格のほかに、「将来見込まれる利益」への期待値が加算されるからです。
「将来見込まれる利益」とはなんでしょう。
キャプテンペッパーは5億円分の胡椒を持ち帰ることを目論んでいます。
目論見どおりにいったとすれば、
胡椒の売り上げ(5億円)
-航海資金(1億円)
-キャプテンの報酬(5千万円)
-船員の給料(5千万円)
= 3億円
が見込まれる儲け(利益)になります。
株式の発行数が100株ですので、この時の
「一株あたり見込み利益」
は300万円です。
航海がうまくいけば、この300万円が株主へ配当として分配されます。
この「見込み利益」は将来の期待値ですので、日々変化します。
例えば航海が成功しそうだとの情報が入れば期待値は上がり、失敗しそうだとの情報が入れば期待値は下がります。
長くなりましたが、株式の売買価格(株価)は、
①正味価格(=1株あたり株主資本)
②将来見込まれる利益への期待値
の合計であることを今回は覚えていただければO.K.です。
「将来見込まれる利益への期待値」を推し量るのは大変ですが、それでも一回の航海ごとに解散する当座会社であれば、その想定はシンプルです。この航海で見込まれる儲けの額と、航海成功の確率さえ仮定すれば、概ねの値は誰にでも算出できます。
つまり「株価」は計算で推し量れる範囲内でのみ上下する理性的なものとなります。
しかし1602年、「将来見込まれる利益への期待値」を決定的に分からなくする重大事件が起き、その算定がほぼ不可能なレベルまで困難なものとなります。
そのために「株価」は、バブルと呼ばれる大高騰や恐慌とも呼ばれる大暴落を繰り返し、今日に至るまで世界経済をも手玉に取り弄ぶ巨大な魔物と化します。
「事件」とはそれまでにない新しい会社組織の登場です。
航海ごとに解散しない会社。
ゴーイングコンサーン。永遠の存続を前提とする会社。
そう、「株式会社」の登場です。
さてさて次回へ続きます。