ひのっき

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「百姓から見た戦国大名」は歴史の見方が一変する好著

2017年02月08日 | 絵日記
百姓から見た戦国大名 (ちくま新書)
黒田基樹

筑摩書房

黒田基樹先生の「百姓から見た戦国大名」を読みました。
いや、面白かったです。
戦国時代の「村」に対する見方が一変しました。

戦国時代の「村」は軍隊をも持つ独立行政単位で、独自の判断で戦争したり、他の村々と軍事同盟を結んだりしていたそうです。
村の軍隊も槍や刀など装備した本格的なもので、戦争はしばしば幾人もの戦死者を出す凄惨なものとなったとのこと。

「村」を戦争に駆り立てる時代背景として、慢性的な飢餓がありました。
戦国時代は全国的に飢饉が多く、村の生産物だけでは食べていけない年も多かったようです。
そこで農閑期に他国の村を襲い略奪する、バイキング経済が常態化していたとのこと。
大名も村々を食べさせるために隣国へ侵攻する例がかなりあったのだとか。

これまで村って大名による戦争の被害者のイメージでしたが、むしろ「主体」となった場合も多いとの説で驚愕です。

リーダーシップを発揮できないと見られると、「村」は領主の代替わりを要求したり、別の領主の支配下に移ったりするので大名も必死でした。
戦国大名の北条氏が残した資料には、「村」の豊かさを国力の礎と位置づけ、村々の経済力強化のために心を砕く様子が残されているそうです。
いわば大名は小国家大連合のリーダーという位置づけで、領主と「村」は連邦的な関係にあったとの見解です。

この関係は豊臣秀吉の天下統一によって一変し、「村」は大名・領主の中央集権的な行政に組み込まれ支配されていきます。

中学の頃、歴史で習った豊臣秀吉の「刀狩り」について何のための施策だろうと疑問に思っていたのですが、あれは独立小国家「村」の武装解除だったのかと目から鱗がポロポロ落ちました。

新しい知識と違う視点を得る喜び、やっぱり読書っていいですねなんて村タイムでした!


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