24日(月)小雨・曇り
思い出
私が自動車の免許をとって僅か一週間目ぐらいで、親父のカローラ20を借りて下関方面に向かう国道の小串警察署あたりで、ハコスカ(確かスカイライン1800CCだったような)の後部へ追突事故をした。
自動車保険のU氏と親、私とで列車に乗り追突された運転手の住んでいる久留米(多分?)へ示談に行った。
示談が成立し帰る途中、列車の中で親父が「これは気持ちですから・・」と言って封筒を鵜原氏に渡そうとしたが、保険会社のU氏は氏は「仕事ですから・」とかたくなに拒んだ。
親父とU氏の間で何回かそのような問答繰り返され、そのたびに親父が頭を下げている姿を、まるで私は関係者ではないような気持で眺めていた。
私は親父の頭を下げる姿をこれまで見たこともなかったし、親父の姿がとても卑屈でかっこ悪く映った。
その時の私には親父がなぜそのようなことをするのか、理解できなかった。
その場か後からかはその後からかは忘れたが、私は親父に「もうやめておいたら」と言ったような気がする。
親父が鵜原さんに渡そうとしていた封筒の中には、親父が汗水たらして働いて得た幾ばくかのお金が入っていたのだろう。
それは私にも理解はできていたが、なぜ断っている人に親父は頭を下げ続けて、そうまでしなくてはいけないかが理解できなかった。
この年になり、自分の家庭を持ち、子どもが巣立って行った後でも、子供や孫に、何か悪いことが起これば、私は親父のように頭を下げることで少しでも良い方に事が進むのであれば、躊躇なく頭を下げ続けるだろう。
今になって、親父がいなくなってしまって、その時の親父の気持ちを思う。
☆彡関係ないけど
村上春樹 著
風の歌が聴こえる より
・それより昔のことは何ひとつ覚えてないわ。ずっと嫌なことばかり。頭の上をね、いつも悪い風が吹いているのよ。
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