日焼け止めでDNA修復

近年、肌に塗るだけで「紫外線によって傷ついたDNAを修復する」という日焼け止めが市販されています。
皮膚がんを引き起こす構造的損傷から遺伝子コードを守ることと、その損傷を積極的に修復することは両立しえないように思いますが
その仕組みというのはDNA修復酵素にあります。「フォトリアーゼ」といった分子は光が当たることによって活性化し、
「フォトリアクティベーション」という現象で遺伝子の修復組織を強化するとのこと。
実際に医学的なEvidenceもあります。
Effect of topically applied T4 endonuclease V in liposomes on skin cancer in xeroderma pigmentosum: a randomised study
不思議なことに以前はその修復機能を持っていたのですが人間は哺乳類進化の途中で作り出すのをやめてしまったようです。進化の過程で費用対効果の判断が下されたのかわかりませんが残念な結果です。

ただ良薬は高いというのが事実。
価格が一般的な日焼け止めの5〜8倍する高額商品でNeova（ネオヴァ）の「DNAダメージコントロール」は3オンス（約85g）で45ドル（約5,000円）。
スペインの化粧品メーカーで皮膚科学の観点から研究を行っているISDINの「エリフォトナ・アクティニカ」は3.4オンス（約96g）のボトルを50ドル（約5,600円）。
カリフォルニアを拠点とするDNAリニューアルのSPF50+をうたう「DNAディフェンス」は、4オンス（約113g）で75ドル（約8,300円）。
さすがにここまで支払える人は少数でしょう。

この酵素の現実的な製造法を生み出したのがダニエル・B・ヤロッシュさん。そしてそのままアドヴァンス・ジェネティクス（AGI）という会社を設立したのですが
化粧品販売のエスティー・ローダーに買収されてしまったとのことで…ほぼ一社独占で供給しているので価格競争にはならずというのがこの高値の一因のようです。