世界でいちばん美しい (小学館文庫) | |
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小学館 |
久しぶりに小説。第31回織田作之助賞を受賞した作品。
あらすじ
若き天才音楽家せった君の三十年の人生
雪踏文彦。ひとは、みな、彼のことを親しみを込めて「せった君」と呼ぶ。語り手である作家・島崎哲も、親友である彼をそう呼んだ。小学校ではじめて出会い、いつもどこかぼんやりしているようだったせった君は、幼少期から音楽の英才教育を受けていた島崎が嫉妬してしまうほどの才能を持っていた。
中学、高校と違う学校に通ったふたりは、あまり頻繁に会うこともなくなったが、大きな挫折をしたばかりの島崎を、ある日、偶然、目の前に現れたせった君のことばが救ってくれる。やがて、再び意気投合したふたりは、彼がピアノを弾いている一風変わったパブレストランで行動をともにするようになった。
音楽のことしか、ほとんど考えていないせった君だったが、やがて恋をして、彼がつくる音楽にも変化が見られ始めた。そんなある日、彼らの前に、妙な男がちらつくようになった。彼は、せった君の彼女・小海が以前、付き合っていた男だった。そして、事件は起こった――。
せったくんが主人公というか中心人物なのですがまわりまわって他者視点から常に描写されています。ややわかりにくいところもありましたが他者に語らせる方がせったくんの味というものが表現されているような気もします。こういうのを不器用な人というのかもしれませんがそれでも憎めないというかどことなくもどかしい気持ちにさせてしまう味を出しているキャラクターなのだと思います。あともう少しうまく歯車が回っていれば… と思う物語でしたが人生もそんなことの連続のような気もします。とても味のある物語でした。
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