サラ金の歴史 消費者金融と日本社会 (中公新書)小島庸平 (著)
日本では戦前からあった素人高利貸から質屋、団地金融などを経て変化した金貸し業界は、経済成長や金融技術の革新で躍進。しかしながらバブル崩壊後、多重債務者や苛烈な取り立てによる社会問題化、グレーゾーン金利の廃止などに伴い追い詰められ結局は銀行に吸収される形となりました。特に最盛期は1990年‐2000年で街でのティッシュの配布や武富士、アイフルといった大手業者でのCMは印象に残っています。そんな業界の栄枯盛衰をあえて当事者へのインタビューなどの取材を排除して文献のまとめといった形でまとめられた本。筆者がこの分野に注目したのは就職活動の縁でプロミス創業者の起こした農場に招かれたことがきっかけだったとのことですが金融業と人物とのイメージの違いが特に興味を持つきっかけだったそう。 2022年新書大賞、サントリー学芸賞なども受賞していてややグレーな個所を扱った本としては意外なところです。若い人は武富士とかアイフルなどを耳にしてもピンとこないのかもですがもっとも栄えた時代を目のあたりにした自分としては良く整理された本だと感じます。 筆者も指摘していますが銀行系に吸収される形になったことで結局は消費者が預けているお金が再び貸し出しに回るという流れが作られているだけにますます他人事とは言えないと感じます。またこういった規制が入ってきたことで大々的ではなくなったもののインターネット(SNS)経由の個人金融が猛威を振るっているとのことで場所を変えてもこの課題は続くものなのだと改めて思います。 歴史は繰り返すということなのかもしれませんが経緯として知っておいて損の無い話が非常によくまとめられていると感じました。
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