細胞の塊に過ぎない脳になぜ知能が生じるのか?人間としては当然な物でありながらまだ完全には明らかにされていない脳の総合的な機能の根源(大脳新皮質をベースとする機能理論=1000の脳)に迫った本です。筆者のジェフ ホーキンスはもともとは技術者でパームパイロットの開発者としても知られる人物。でありながら研究への熱意は冷めることがなくビジネスで成功して研究所を作ってしまったという人物。 なかなかビジネスから研究に戻るというのは珍しいですが実業も経験した上での研究というのは強みになっているのだと思います。
ホーキンスの理論では予測する脳の仕組みを解明していてKeyとなるのは「動き」と「座標系」。あるものを学習した時に脳には地図に似た座標系があり、それが記憶として保管されていてその座標をベースに新皮質を構成する何千何万という皮質カラムが予測を行うというもので1000の脳というのは脳は一つではないという意味です。これらの事項は実際に物理的に存在するものでなく思考的な物にも存在するとのことで例えば数学であれば概念も座標系として保管しておけば同じような課題、アナロジーがあるものに関しては同じ座標系に当てはめて動き回ればよいかわかるというわけです。勉強ができる、できないも単に暗記するのでなくある程度、体系的に覚える必要があったり、暗記でも本だなんしまうように意識して覚えると記憶に残りやす胃だったりするものはこれらの理論とつながっているとすると納得がいくものだと思います。
これらの理論を踏まえてく第2部からは知能を持った機械(ある意味AI)についての予測が行われてますが課題を学習し、類似性を理解して問題を解決するという役割を担うことが期待されていることでここら辺は今のAIの目指す方向性と似ているようにも思えます。ただAIが人間を超えるというのは否定てきであり、理由として人間の脳構成が欲望と感情をつかさどる古い脳と知能と合理性を担う新しい脳の中で機会が置き換えられるのはあくまで新しい脳の方だけだからとのこと。あくまで機械というのはツールとして考えているようです。3部では地球が共住できなくなることを考えて遺伝子編集で火星に住める人間を生み出したりとか、人間の遺伝子をAIに託す日が来る可能性などを探っている話も出てきており、なかなか思いつかないような想像性に驚きました。 人間は生きている間に果たして脳を使いこなして利己的な遺伝子を抑え込めるのか? なかなか興味深い本でした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます