彼女は頭が悪いから 姫野カオルコさん作を読みました。
ネットでおすすめされており、タイトルから興味を持ちました。事前情報から、境界知能と呼ばれているIQ70-85の女子大生を頭の回転がはやい東大生達がいいようにおとしいれた話かと思ったのですが全然違いました。
どこにでもいそうな、ちょっと自分に自信がない女子大生が純粋に恋に落ちて、相手に物として扱われる後味の悪いお話でした。
“人”を平気に“物”として扱う人は、残念ながら世の中に多くいます。
この事件は加害者が東大生であり、東大生というステイタスもあったため、世間で大きく取り上げられたのかと思います。
2016年の出来事から着想を得た小説です。少しづつではありますが、セクハラ・パワハラが問題視されるようになり、何人でも人は、人として扱われる権利が確立され始めているように思います。
まだまだ意識改革が必要な人もたくさんいますが、みんなが心穏やかに過ごせる社会になることを切に願います。
東大生による集団わいせつ事件。しかし、世間に叩かれたのはなぜか被害者の女子大生だった。鬼才姫野ワールド全開の新しい犯罪小説。私は東大生の将来をダメにした勘違い女なの?
深夜のマンションで起こった東大生5人による強制わいせつ事件。非難されたのはなぜか被害者の女子大生だった。
現実に起こった事件に着想を得た衝撃の書き下ろし「非さわやか100%青春小説」!
横浜市郊外のごくふつうの家庭で育った神立美咲は女子大に進学する。渋谷区広尾の申し分のない環境で育った竹内つばさは、東京大学理科1類に進学した。横浜のオクフェスの夜、ふたりが出会い、ひと目で恋に落ちたはずだった。しかし、人々の妬み、劣等感、格差意識が交錯し、東大生5人によるおぞましい事件につながってゆく。
被害者の美咲がなぜ、「前途ある東大生より、バカ大学のおまえが逮捕されたほうが日本に有益」「この女、被害者がじゃなくて、自称被害者です。尻軽の勘違い女です」とまで、ネットで叩かれなければならなかったのか。
「わいせつ事件」の背景に隠された、学歴格差、スクールカースト、男女のコンプレックス、理系VS文系……。内なる日本人の差別意識をえぐり、とことん切なくて胸が苦しくなる「事実を越えた真実」。すべての東大関係者と、東大生や東大OBOGによって嫌な思いをした人々に。娘や息子を悲惨な事件から守りたいすべての保護者に。スクールカーストに苦しんだことがある人に。恋人ができなくて悩む女性と男性に。
この作品は彼女と彼らの物語であると同時に、私たちの物語です。
姫野 カオルコ[ヒメノ カオルコ]
著・文・その他
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