430MHz 90度コーナーリフレクタ付きヘンテナの製作(記事改訂)
Project for 430MHz Hentenna with 90oCorner reflector
JG2さんにご指摘を受けて間違いに気づきましたのでいch部記事を改訂しました。*2021/06/05
古いQEX誌をパラパラめくっていたらふと430MHz用のコーナーリフレクタの記事を発見しました。内容的には100円ショップで販売されているものを使って1/2λヘンテナをコーナーリフレクタに組み合わせるというものでした。 私も以前1200MHzの1λヘンテナに平面リフレクタを付けたり、円筒型の一部を使った反射器との組み合わせなどを自作して一部はFCZ研究所の機関紙N0. 243(Feb1996)にも紹介されていますが、この時にも反射器を付けると周波数が下がる現象がありました。前回は単独ヘンテナを1395MHzで設計して反射器を付けましたが1270MHzで最良点になりましたので今回はこの時の経験も踏まえて最初から小さめに作成しました。
使用材料
- ワイヤーネット 5cm ダイソーにて1枚150円 2枚使用
- 連結ジョイント(ワイヤーネット用)12個入 ダイソーにて 100円
- 真ちゅう棒 4mm x 80mmL モノタロウで1mものが479円
- ステンUボルト M8x 100 ホームセンターにて 389円 2個
- Uボルトプレートホームセンターにて 126円 2個
- アルミ平角棒 5x50x3 ホームセンターにて 765円 1個
- アルミ等辺アングル20x20x3t 995mm 手持ちから(モノタロウで729円)
- アルミ等辺アングル10x10x2t 300mm 手持ちから(モノタロウで78円)
- M5 20mmボルト、M5ナット 4セット
- M3 皿ネジ・ナット 少々
- 銅線少々、はんだ吸い取り線 少々
- 同軸ケーブルと使用するコネクター類 少々
- 垂直取り付け用ブロック C83-8-Z 2個 秋月にてP-07308 110円 x 2個
- M3 六角穴付きボルトモノタロウ 21円 x 2個
- 圧着端子 2個
- アースラグ(卵ラグ) 3MM 1個
最終的なヘンテナ寸法の決定には簡易な反射器を付けて周波数がどれくらい変わるのかを測定して最終的な寸法としました。
ヘンテナ輻射器の作成
最初317x108外形寸法で作成し、仮の反射板を付けて共振点の変動を観測しました。 この時給電部を動かすことでかなり周波数を動かすことが可能であることが判明したので309x108に寸法を縮めて最終的なエレメント寸法を求めました。さらに最終的なワイヤーネットを組み立てて最終的な位置に固定する方法を考えました。
最終的な寸法はこのようになりました。折り曲げたい場所の手前5mmのところを万力で固定し、少しずつ曲げるようにして作成します。 途中私は垂直取り付け用ブロックを使用し、給電部を作ることにしました。
まず、垂直取り付けブロック(CB3-8-Z 秋月電子で購入した)の一方向の穴を5mmに広げて5mmアルミ棒に通しておきます。 これは後からは通らないので注意が必要です。
エレメントの終点をつなぐためにアルミフレームの切れ端で組み立て具を製作し、M3x7mm ネジとナットで固定し、さらにこの治具の中央にもうひとつ3mmの穴を作り、卵ラグを固定できるようにしました。
中央部はエレメントとの接続にも利用し、卵ラグから取り出した鈴メック銅線も一緒に巻き付けて半田付けしています:
バランの作成
同時にバランも作成しました。 オリジナル文献では5D-2Vで137mmでのシュペルトップバランだが手元にあったのが3D-2VだったのminiVNAで計測しながら1/4λの計算をしたところ433MHzで、175mmだったのでこの値を採用しました。
図変更*
バランの網線部にかぶせたところで、給電部に接続する方は1mmの銅線を二巻きして延長を作り、圧着端子を付けます。
バランの長さについては使用する同軸を使ってアンテナアナライザーで測定することでより精度の良い調整が可能になると思いました、測定法はAA600の取説にこのように書いてありました。
バランにかぶせた網線ははんだ付けしやすいように鈴メッキ銅線を巻き付けて半田付けしました。更に給電部に取り付けるためにはそのままでは強度がないので、手元にあった1mm程度の銅線を網線の上から巻き込みさらにハンダで固め、長さをそろえて圧着端子を付けて組み立てに備えた。
心線側も同じ銅線を添わせてはんだで固め、熱収縮チューブで補強している。此方も同様に圧着端子的見立てに備えている。組み立てたアロできる限りこの半田付け位置に力がかからないようにすることがアンテナを長持ちさせてことにつながると思っています。
図変更*
組み立て状態を確認するために万力に固定して様子を確認しました。
輻射器とバランの組み立て
できたバランとエレメントをつなぎ、接続部に無理な力がかからないことを確認しておいてください。
コーナーリフレクタの組み立て
まず、2枚のワイヤーネットは4個の連結ジョイントで硬く連結させます。このジョイントは接続部の距離を固定するだけで角度は自由に設定できます。また、ワイヤーネットは、樹脂コートされているために互いに導通性はなく、浮いたグランド状態なので、上下2か所のフレームでの固定部と、中央の合計三か所で樹脂コートを剥離し、やすり掛けしておいて、スズメッキ銅線をぐるぐる巻いて、はんだ付けして電位をそろえるようにした。
中央部分は最終的にはエレメントの中央接続部の卵ラグとはんだ付けで導通させています。
マストとアンテナ全体の固定のために、当初32mm以上のマストにも取り付けることも考えてU-ボルト(M8)とU-ボルトプレートを購入してきましたが、実際の試験ではコメットCP-035を三脚につけて調整しましたのでU-ボルトが大きすぎましたが、5mmtのアルミ板でワイヤーネットを固定することを計画していたので切り出して作ったアルミ板とU-ボルトプレートとで固定できることがわかってほっとしました。
アルミの厚板は近くのホームセンターではアルミ平棒という名称で販売されていました。これは長さが300mmもあったので85mmだけ切り出し、その後半分にのこで切り出して幅を約25mmとし、図のように穴をあけて使用しました
最後にワイヤーネットの開口角を一定にするために残りの10mmの等辺アングルを使って固定できるようにしました。
全体組み立て後周波数特性を見ながら給電位置を動かして最終的に追い込んだ状態がこれです。
バンド全体にわたってSWRは2.0以下になっていることがわかります。
拡大すると、
この時の最小SWR点のデータは
でした。また、この時の434MHz±10MHzの範囲で取ったスミスチャートの軌跡はこのようになっています。
End
2021May 29
*追加データ
バラン変更後のデータ追加しました。
図追加*
図追加*
*バランの変更で最低SWRの周波数は少し下がりましたが、さほど大きな変化はありましぇんでした。
2021/06/05 追記*
参考文献
1. “430MHz 90度コーナーリフレクタ付きヘンテナ” by JR0IQI 原 伸光、p110-115、06 CQ ham radio 別冊QEX No. 15
2. “2エレ・コーナー・リフレクター、430MHzでJA6-JA3巻GW-QSO成功”by JA6HW 角居 洋司、 p232-235、アンテナハンドブック1985
3. “AA-660アンテナアナライザー取扱説明書” p30
https://www.rigexpert.com/files/manuals/aa1000/aa-600-1000-1400-manual_J.pdf
これはバランですか?
電気的に2重シールドにしているだけに見えます。
シュペルトップバランなら、片方は開放だと思います。
これは、新たな理論のバランですか?
ご指摘ありがとうございました。
その通りです。シュペルトップを作ったのは本当に久しぶりの事で勘違いしていました。早速作り直してデータを取り直ししましたのでご覧ください。
バラン以外の部分は、詳しく書かれているので、ケアレスミスで記事をアップしてしまったのだろうな、と思っていました。
間違いだと分かっていたのですが、指摘しようかどうか迷いましたが、この記事を参考に製作される方がいらっしゃったら、と思いコメントさせていただきました。
しかし、訂正記事だけでなく修正後の測定結果も載っているのには驚きです。
仕事早すぎです。
ヘンテナはそこそこ性能が良く、手軽に実験できるのが良いですね。
追加試験してくださり
まことに光栄でございます
記事にしました、コーナーリフレクタの
作りやすいさらなる 改良ができないものかと ネットを見ておりましたら、拝読する期会に恵まれました。
放射器にFCZ研究所さんの基板上にバランを作り込んた2エレ八木?を採用して もっと 可搬性に富んだものにできないかと ゴソゴソしております。これからもよろしくお願いします
この形状での実験結果があればどこかで発表してください。期待しています。