一錦金鋒の読書防備録と生活奮闘記

読んだ本の紹介、感想。たまに日常に起こったことの記録

岩崎日出俊著 気弱な人が成功する株式投資

2017-10-06 11:06:07 | 書籍
☆本を読む目的
株式投資の本であったが、これを参考にして経済の勉強をする。
タイトルが気になったので読んでみた。


質問1
気弱な人は損失が怖く、株等の投資には手を出さず、コツコツと貯金するように思えるが・・・・。

質問2 
気弱な人の投資とはどのようなものか?
ビジネスに活かせるか?

質問3 
ためになる格言はあるか?




質問1の答え
これに関する答えは無いに等しかった。
特に気弱であるとかは関係ない、ただ慎重になれということであった。
タイトルとは離れた内容であったが、読み応えはあると思われた。


質問2の答え
これも特に無い。
投資界で有名な「フィリップ・フィッシャーとウォーレン・バフェット是川銀蔵の話が主であった。
少しだけであるが、質問の答えのような記事が見受けられた。

P4
スカトルバット(噂)を使え。しかし、単なる噂ではなく、真実味のあるとっておきの情報のこと。
ゴシップに惑わされないように。

P17
株の本来の価値が、購入金額の何倍の価値があるか見極める

P19
レミングの集団移動に翻弄されないように

P46
保守的な投資とは、資産を保持するものでなければならない
減らさない投資が保守的な投資。


P42~
フィッシャーの15原則
次の15の質問に対して、投資家にとって満足できる答えが多くを占めれば、その投資は正解、多くを外せば失敗

1.その企業は充分な潜在能力を持っているか。数年にわたって売り上げを大きく伸ばす製品・サービスはあるか(CFだけがポイントではない)
2.業績を牽引する製品・サービスの次に向けた一手を打っているか
3.研究開発が成果を上げているか
4.強い販売網、経営体制があるか
5.利益率が高いか
6.利益率の上昇、維持に対する取り組みが出来ているか
7.労使関係は良好か
8.幹部社員が能力を発揮出来る環境か
9.幹部社員は優秀な人材が多いか
10.コスト分析や財務分析を重要視しているか
11.競合他社に優る、業界で通用する特徴があるか
12.短期的及び長期的な視野の収益見通しを立てているか
13.既存株主の利益を損なってしまうような増資が行われていないか
14.経営者は問題発生時に積極的に説明しているか
15.経営者は誠実であるか


P124~
自分が保有している物に対してつける売値は、自分が保有していない場合につける買値よりも高い傾向がある
「所有効果」
根拠がなくても勝手に高く評価してしまう。


P130~
「断捨離」と「損切り」
二重に損をしないことが大切。
意味の無い本を買うと、買ったことに対して損が発生するが、その本を読んでしまうと時間まで損をしてしまう。
ブラック企業で働いて人生の時間を潰し、さらに身体を壊して給料を治療費に当てるのと近いか?
無駄な株も、意味の無い会社も早めに損切りする必要があるということだ。
なかなか出来ないのが気弱な人間、だからこその言葉であろう。



P134~
人は利益から得る効用(利益)よりも損失から得る効用(苦痛)のほうが遙かに大きい
「プロスペクト理論」というそうな。



P143~
少ない利益で満足してはいけない。
何年も株を持ち続けて、利益が5%だった場合と、損益で20%だった場合は大差ない。
数十倍に増やしてこその投資。


P154~
株が競合他社と比べて高くなりすぎた(PERが大きくなりすぎた)からと言って売ってはいけない。
ポイントは、その会社がこれから株価を何倍にするかが重要である。
気弱だと、この辺で利益確定してしまうのであろう。


P164~
投資リスクを向き合うには、自らの投資スタイルを貫徹することである。
株の暴落は不定期だが必ず起きる、そのときも自己のスタイルを曲げないように。
そうすれば、一時的に損しても、後に損を補う利益が発生する。




質問3の答え
本のタイトルと内容は、かなりかけ離れていたが、役に立ちそうな格言は多く掲載されていた。
この本の価値は、ここにあったように思える。


P14
「我々がすべきことは単純だ。他人が強欲な時に臆病になり、他人が臆病な時に強欲に也さえすればいい」
ウォーレン・バフェット


P20
「フロントガラスよりもバックミラー」
見えない未来よりも、今までの実績のほうが信憑性がある。過去を吟味して未来を予想する。
-今後、人はひげそりをしなくなるだろうか?コーラを飲まなくなるだろうか?ディズニーランドに行かなくなるだろうか?自動車保険をかねなくなるだろうか?-
パッと出た流行り廃りよりも、過去の実績が大切。
時に○○神話崩壊・・・・などという見出しが出ることがあるので、絶対では無いと思われるが・・・・。


P28
「穴にはまっていると気がついたとき、1番大切なのは、それ以上掘るのを止めることだ」
良くない投資と気がついたら即刻止める。間違いを認める勇気も必要。


P52
是川銀蔵の「カメ三則」
①銘柄は水面下にかる優良なものを選んでいって待つこと
②経済・相場の動きからは常に目を離さず自分で勉強する。
③過大な思惑なせず、手持ちの資金の中で行動する。

是川銀蔵の「投資5箇条」
①銘柄は人が進めるものではなく、自分で勉強して選ぶ(今で言うと。ネットのトレーダーの情報に惑わされるなということか)
②1~2年後の経済の変化を予測し大局観を待つ。
③株価には妥当な水準がある。値上がり株の深追いは禁物。
④株価は最終的に業績で決まる。腕力相場は敬遠する。
⑤不測の事態などのリスクはつきものと心得る。

P57
資本主義の根幹を成すもの。
「株式市場を通じて社会の資源(ヒト・モノ・カネ)が効率的に分配される」
「投資家が事業素質の高い会社の株に投資すること、その行為こそが社会の資源配分を効率化させることになる」
※スタンフォード大学で徹底的に教え込んだことらしい。


P59
「日本は一部の官僚が幅を利かせている国家資本主義である」
「官僚だけでなく、もっと自由で民主的な存在ーそれがマーケット(市場)である」
「市場機能を利用することが重要。株式市場で効率的な資金配分が行われれば、社会全体がもっと成長出来るようになる」
「株が資本主義というシステムの中核的な役割を果たしている」


P70
「株式を保有するということは、その企業を買収することと同じこと」ウォーレン・バフェット
よく知らない企業に分散投資してもリスクは回避出来ない。1人が自信を持って投資出来る対象は2社か3社。


P81
「インフレの害とは富の分配が変わること。デフレの害とは富の生産が阻害されること」
「インフレは不公平であり、デフレは不得策である。より害が大きいのはデフレ(ドイツの恐慌を除く)」
BYジョン・メイナード・ケインズ


P86
「美人投票に参加する者は、100人の写真から最も美しい女性6人を選ばなくてはならない。そしてこの投票に参加する者全員の平均的な意見に、もっとも近い投票をした者が勝者とされる」
つまりもっとも美しいと思う女性を選ぶのではなく、他の投票者が誰に投票するかを予測して、その予測に従って写真を選択しなければならない。
株も一緒。

※まぁ、以前の職場でそれぞれの彼女、嫁でこれをやれば、旦那の力関係で確実にブスデブが上位に入るであろう。よく分かるたとえであった。


P100
日本がバブルに熱狂していた頃「皇居の土地の値段でカリフォルニア州全部の土地が買える」という報道があったそうな。
ジェレミー・グランサムは、それをバカ正直に調査し、数日かけれそれが本当だと突き止めた。


P138
「利食いは遅く、損切りは早く」
言うは易く行うは難し・・・・これが損切りである。
1.何割下落したら損切りするという「ロスカット・ルール」を徹底する。
2.その値段で持っていることは、その値段で買うのと同じ。その価値があるか、買う立場になって考える。
3.買った値段を忘れる。これからどれだけ株価が上がるか下がるかが大切で、元値にこだわらない。



P171
時として株価が半減する理由。
①株価が売り上げよりも利益に左右され
②利益は売り上げ以上に振れる

売り上げ-固定費-変動費=利益

売り上げ100が90に落ち込んだとしても固定費は一定である。その結果、利益は売り上げ以上の比率で落ち込んでしまう。
結果、株価に影響し半減する。



感想

読んでみたら、タイトルと内容が会っていない。しかしながら参考になる格言が多かったのが幸いであった。
株の難しさは、人によってやり方が違うため正解がない。しかし基礎はみんなが同じであった。
難しい経済の本を読んで勉強するより、株式市況を理解したほうが経済の勉強はしっかり身につきそうだと感じた一冊であった。
こういった本特有の、作者の自慢話もほとんどなく、すんなり読めたのは嬉しいことであった。
人に充分勧められる本と言える。