いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

ガンダム外伝を楽しむための補講(2) / ガンダム外伝

2007-05-29 04:41:12 | [小説]ガンダム外伝


お約束の(^O^)/ 2回目の補講です。

今回は、みんなが乗艦している、MS運用艦グリフィンについて説明しますね(^O^)
写真は、「ギレンの野望」というPS2のゲーム攻略本(ティーツー出版)から、
絵を写メしました。          (無断使用、お許しくださいσ(^^))

左の宇宙船がコロンブス改級補給艦で、右がジムコマンドGS(宇宙仕様)の絵です。

では、説明を・・・
------------------------------------------------------------------------------

<乗船艦>
「MS運用艦グリフィン」を母艦としています。
(写真は改造のベースにした「コロンブス改」の写真です)
制式登録名称:EFSF(Earth Federation Space Force) 1115 GRYPHIN PATROL
つまり「グリフィンパトロール」が制式名称ですが(小文字ならGryphin Patrol)
略して「グリフィン」と呼称しています。

 グリフィンとは、鷹の羽とライオンの下半身を持つ伝説上のドラゴンで、
欲に目の眩んだ人間を処罰するという言い伝えがあり、「正義」を意味しています。
 後のティターンズの拠点となったサイド7のグリプスやグリプスⅡと同じ意味
(読みが異なるだけ)ですが、関係はありません。

 コロンブス改型補給艦を改造した艦船で、簡易カタパルトを装備しモビルスーツ
運用艦に改装されています。このような改装はガンダム作品の設定上記録にも
多く残っており、MSを運用する艦の不足を補っていたようです。
 今回は、その設定を使用していますが「改装されて使用された」との記述しか
無い事から、「コロンブス改をベースの改装」以外の設定は全て私が設定しています。


<乗船艦:私が設定した内容>
 船体の表面にはモビルスーツのシールド(盾)の塗装と同じく、対ビーム
コーティングを施され、内壁を二重化し、戦闘艦としての本格的な改造が行われて
いる。との設定です。

 艦はカーゴ(貨物)ユニットを左右に2つ抱きかかえるような形状ですが、
2個のカーゴユニットの左側をMSデッキに改装し、右側は基本的には、旧来からの
貨物室です。(内壁の工事は行われていますが、クレーンはそのまま設置されています)
 尚、貨物室には旧来から戦闘機等が着艦する事があったため、着艦ネットの装備は
設置されています。

 艦の中心部が船の基幹部分であることが絵からも読み取る事ができますが、
各フロアの設定は、勝手に決めています(^O^)

 4階には、コントロールデッキ、火器制御装置(FCS制御、CIWS制御)
 3階には、移住区画、艦長室やパイロットなどの士官室と兵達の宿泊施設
 2階には、トレーニングルームや食堂、看護室などコモンエリア
 1階には、飲料水タンクや推進剤タンク、中距離ビーム砲の制御コントロール室

 MSデッキには、1F~3FはベランダがMSデッキ内に突き出しており、空中を
移動できます。(階段やエレベータもありますが・・)
ただし、4Fにはエレベータと非常時使用のはしごでしか、行く事ができません。

 機関部は艦の後部で、左右のカーゴユニットの後部にもブースターロケットが
設置されています。
 推進は、推進剤を使用するスラスターとロケットエンジンの共有型ですが、通常は
スラスターを使用した推進を行います。

 レーダは設置されていますが、ミノフスキー粒子の影響を受けることから、その他の
機器として、熱源をサーチする「サーマルセンサー」を装備しています。
 艦外通信は電波通信も行いますが、上記同様にミノフスキー粒子散布時は
レーザー通信を行います。
 なお、MS同士の通信も上記同様ですが、震動を利用した、ガンダムの世界では有名な
「ふれあい通信(MSの手などを相手のMSに触れることで震動を伝える方法)」も
ミノフスキー粒子が多いときや通信を誰かに聞かれたくない時などで使用します。

※ミノフスキー粒子:この粒子は電子線を吸収する性格があることから、散布すると
 レーダー等の電子波が吸収され無力になってしまいます。そのため、電子戦が否定
 され、MS等での白兵が宇宙世紀での戦闘形態になっています。
 ですから、無線制御でのミサイル攻撃等が出来なくなった訳ですね。ミサイルは
 有線誘導か、熱源サーチ、または定点であれば、目的地を初期入力したプログラム
 コントロールになります。


<乗船艦装備:MSデッキ>

 カーゴユニットの左側をモビルスーツ(MS)デッキに改装しています。

 簡易カタパルトはMS射出時の反動衝撃の影響を、艦が少しでも受けにくいように、
艦の中央に近いカーゴスペースの内側に設置されています。そのため、着艦時は、
カーゴスペース入り口(前面のゲートが上下に開きます)の外側に着艦する事に
なります。尚、着艦時に艦の内部に影響が出ないよう、着艦用のネットが二重に
張られます。
 カタパルトは火薬型、蒸気型、電気型などがありますが、ここでは、トルクも
強く、速度も速いリニアモータ型と想定しています。

 モビルスーツ用の整備ブースがカタパルトと平行に4機分並んでおり、
モビルスーツは各整備ブースに係留されています。MSデッキの奥には弾薬庫や
MS用推進剤倉庫等があります。

 パイロットはモビルスーツに乗機した後、カタパルトに移動し、射出を
待ちます。尚、モビルスーツの足裏には、電磁石が装備されており、艦内を歩いて
いるように見えますが、すべて無重力です。σ(^^)
 カタパルトにはかがみこむように乗り、スキーのジャンプのように、MSの足で
蹴るように押し出し飛び出します。初速を少しでも上げるためですね。

 MSデッキの正面ゲートを空ける前は空気を抜きますので、MSデッキクルーは
ノーマルスーツ(宇宙服)を着用しなければなりません。
(まぁ、第1種戦闘配備の際は、全員着用ですが・・)

 カーゴユニットの右側は上記にも書きましたが、カーゴ(貨物)スペースです。

 モビルスーツ等の修理用パーツなどを搭載しています。しかし、前面部分は広い
カーゴスペースを残して(荷物は満載ではない)いますので、ゲートをあけて、
MSや宇宙戦闘機などの着艦は可能です。しかし、カタパルトはありません。
もし、こちらから発進する場合は、カーゴスペースの壁を蹴って、飛び出す
しかない訳です。しかし、修理する際はこちらのスペースに移動するほうが
修理用パーツもあるので便利だと考えています。


<乗船艦装備:火器>

 中距離ビーム砲1門(FCS制御)。制御はコントロールデッキ(4F)で制御可能ですが、
艦の1F部分に、個別の制御室が設置されています。
 ミサイルは8本装備されており、発射管は左右に1門づつの計2門。カーゴユニット
の上部に設置されています。艦内から見ることは出来ず、外付けです。
尚、FCS制御であり、ビーム砲と同一の火器管理システム下におかれています。

 艦の上部と前部に重機銃(ガトリング砲)が2機ずつ装備されており、個別の制御
(CIWS制御)となっています。このガトリング砲は別名バルカン砲と呼ばれ、ミサイルの
迎撃等に使用されます。2連装である理由は・・ 弾幕を張りやすいから・・ かな?
特に理由はありません。尚、通常のガトリング砲では1200発~1600発を1分間に撃っちゃい
ますが、それほどの高速給弾は不要であり、600発/1分ほどのスピードかな?と想定
しています。(それでも1秒に10発ですね、まぁ連続に使用すると数分で弾丸が無くなる
って事には変わりありません) しかしながら、艦ですので、ある程度の弾数があり
ますが、連続で5分ぐらいの量と想定しています。尚、500発撃つと弾倉が空になります
ので、約10秒ぐらいの弾倉の取り替え時間が発生します。尚、連射の場合、砲身が
高熱になりオーバーヒートを起こしますので、1掃射は5秒以内にする事も重要です。
 下部に重機銃(ガトリング砲)を設置できない理由は、構造を見ていただければ推測
できるように、左右のカーゴユニットが邪魔になり、仰角を取る事が出来ないからです。
この事から、火力的には非力であり、下部に弱点があることが理解できます。


<乗船艦装備:要員>

艦の運用は登場人物だけで動かす事はできません。本編に登場しない色んな人たちも
それぞれの役割で乗艦しています。その役目や構成を簡単に説明しておきます。

・コントロールデッキ
 艦長 ;艦の責任者      マメハ大佐
 副艦長:艦長の補佐、代行など クロヒッツ少佐
 参謀 :作戦の計画実施責任者 マスミン特務大尉(中佐権限)
 航海長:航海計画と実施責任者、今回は、艦長が兼務としています。
 砲雷長:火器管制責任者、   今回は、副艦長が兼務としています。
 機関長:艦の機関部責任者   出て来ていませんσ(^^)
 MS隊長:モビルスーツ隊の戦闘指揮官、MSの搭載機数で中隊か小隊になります。
                ワサビィ大尉

 ※ここまでは士官(佐官や尉官)で構成され、主にコントロールデッキで任務を
 こなします。他のコントロールデッキの要員は、操舵士、通信士、索敵士、
 火器管制士(FCS制御)、火器管制士(CIWS制御)、MSオペレータ、連絡員等がおり、
 士官や下士官で構成されています。

 この中で、MSオペレータが、ユカ少尉です

・艦の中央部
 艦の中央部には要員のための様々な設備がありますが、それぞれの設備での要員
 が乗艦しています。主な施設は、救護室(救護班)、食堂(主計班)、トレーニング
 ルーム(主計班)、士官室&宿泊施設(主計班)、機関室(機関部)などです。
 機関室が「部」であるのは、機関長が居るからで、他の班には士官または下士官
 が班長として勤務しており、その配下には数名から10数名の下士官や兵が居る事に
 なります。
 尚、主計班は細かに係りに分けられており、その責任者が艦長になっています。
 会社で言うと、総務や庶務の仕事になります。
 また、MS隊要員には艦の中央部に士官室が用意されており、そこで待機をします
 場所はMSデッキに一番近い個所に設置されています。

 この中では、救護班、コンペット准尉
       MSパイロットが、ヒロ中尉、リン少尉、ミィ少尉です。

 ※MSパイロットですが、パイロットだから、少尉(士官)なのではなく、士官学校
 上がりが、少尉となります。ですから、少尉は「若い士官」という意味も含まれます。
 たたき上げのパイロットには曹長、軍曹、伍長という下士官も多いのですが、
 今回の話の中では現時点で士官ばかりになっています。

 ただ、地上で戦う陸軍では、下士官のパイロットが非常に多いのですが、空軍の伝統
 を引きついているMS隊では、士官がパイロットである事が多くなっています。
 それは、急に敵を見つけても、連絡を取り合い、チームで戦う陸軍と、単機で戦う
 事が多くなる戦闘機やMSでは、その場その場の判断を求められる事が多いことから
 判断を下す権限がある士官(佐官や尉官)をパイロットにしているケースが多いのです。
 尚、下士官(曹長、軍曹、伍長)の最高位が准尉であり、士官扱いとなります。

 最後に、宇宙軍は海軍の伝統を引き継いでおり、MS隊との文化には差異があるよう
 で、中には艦の所属とMS隊の所属が異なるケースもあったようです。しかし今回は
 所属を正式に任命し、艦の所属としています。

・MSデッキ&カーゴスペース
 主にMSデッキオペレータと呼ばれる運用班とMSの整備を行う整備班が勤務して
 います。班長は士官や下士官で構成されます。
 尚、カーゴ(荷物)スペースや倉庫などの管理(部品管理)も整備班が担当しています。

 この中では、整備班長、サミー曹長、
       運用班長(MSデッキOPリーダー)、ターチン軍曹です。
          (階級については他意はありません、
           話にリアリティを出したいため、このような階級としています)

 MS1機に2~3人の整備兵がそれぞれ担当し、また専属のチーフも1人ついて
 います。ですから、整備班長の配下には15人から19人ほどの部下がついている
 事になります。

このように見ただけでも、100人以上の人間が我グリフィンに乗艦している事が
理解できると思います。

たった、1小隊の4機のモビルスーツを運用するだけですが・・
運用にはものすごいコストがかかっている事が理解できますね。


ということで、グリフィンの説明を終りま~す。
次回は「MS小隊」について説明しますね          ではでは(^O^)/

・・・・・
<本編>
「<第1話>宇宙暦0079年 12月11日・・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5a747c41d00b1628eb0c8e21e849a9e6
「<第2話>ソロモン海戦まであと13日」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3657079adce925aa852a122ddf8467dc
「<第3話>敵襲!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/febb0ea54cab1eec8a5e43ef3c1fc04e
「<第4話>ESFSグリフィン 発進!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/442a20813586f90d0374f30ede983102
「<第5話>訓練開始!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/69b4168945e2ac0387709862e531bf2d
・・・
<補講>
「ガンダム外伝を楽しむための補講(1)ラグランジュポイント」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5568bd9e6a727ee790bc1ebec0e0042c
・・・・・

(2007/05/29 04:41)


<第5話>訓練開始! / ガンダム外伝

2007-05-26 07:57:28 | [小説]ガンダム外伝


<ここまでの話>
「<第1話>宇宙暦0079年 12月11日・・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5a747c41d00b1628eb0c8e21e849a9e6
「<第2話>ソロモン海戦まであと13日」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3657079adce925aa852a122ddf8467dc
「<第3話>敵襲!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/febb0ea54cab1eec8a5e43ef3c1fc04e
「<第4話>ESFSグリフィン 発進!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/442a20813586f90d0374f30ede983102

・・・
<補講>
「ガンダム外伝を楽しむための補講(1)ラグランジュポイント」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5568bd9e6a727ee790bc1ebec0e0042c
「ガンダム外伝を楽しむための補講(2)MS運用艦グリフィン」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/6db85f7b1fcf391b3f6bfc42d339cbc1
・・・・・

MSデッキにはターチン軍曹が待っていた・・
彼らの課題は、MSの射出時間・・ つまり1機目を射出した後の2機目を射出する
までのインターバルを、いかに短くするか・・と言うことらしい。

カタパルトは簡易カタパルトと呼ばれる小型の物であるが、リニアモータであるため
トルクがあり、高速にMSを射出する事が可能である。
このカタパルトの初速度に艦船の進んでいる速度がプラスされた速度で、MSは射出
されるのだが・・ 後続機が出てくるまでは、MSは単機で行動している。
後続機発進まで時間がかかり距離が開いてしまうと、編隊行動を連携する事が難しく
なる以上に、単機での行動時間が長くなる事が大きなリスクになっている。
パイロットにとっては、死活問題だ。

「軍曹・・ 今、どれぐらいのインターバルで射出可能なんだ?」

「そうですね・・ オートでしたら、人手が不要ですが30秒ほどかかります・・」
「それを手動でやったら・・ 7秒は短縮できるんちゃうかな・・・」

「7秒か・・ なんとか10秒短縮でけへんか?」
「おっと・・ うつったかな ♪」

「へぇ・・ ひょっとしたら隊長さん、サイド1の出身ですか?」

「やっぱわかるか?・・」

「なんや・・ 同郷なんですか!! こりゃええわ! ハッハッハ♪
 せやけど、いくら同郷でも無理な物は無理です!
 7秒短縮でもかなり難しいのに、10秒は・・」

「いや・・ 言いたい事は解る・・ でも、その3秒でも生死を分ける時がある・・
 せめて、ジオンのムサイ型みたいに、カタパルトが2つあったら、楽なんやけど・・」
 努力目標として計画できないやろか?」

ジオンの主流の巡洋艦であるムサイ型のカタパルトは、更にぶら下げ型でもあり
ザクなどMSは常にカタパルトにぶら下がった状態になっている。
そのため、連続射出速度も速く、敵発見後のMS隊展開までの時間が非常に短い。
連邦軍のカタパルト技術はまだまだジオン軍の足元にも及ばないのだろう・・
やはり、設計者が重力下で暮らしているか、宇宙で暮らしているかの大きな違い
だと感じる・・

「うーん 実は問題は本艦のスラスター制御連携なんやけど・・。
 オートでカタパルトを運用すると、カタパルト射出の反動を本艦が受けないように、
 本艦のスラスターから自動的に推進剤を吐き出し、カタパルト反動を相殺する
 システムとが連動しているんやけど・・・
 実はそいつを手動で起動しないといけなくなるんで・・
 そのタイミングは訓練で取得するしか、ないんやけど・・
 オペレータ要員の頭数から、作業の担当を振り分けてるけど・・
 この、連携処理で数秒ロスしてしまうんやな・・・ 悔しいけど・・
 プロセスコンピュータの計算結果から推進剤制御システムに連動できるよう
 システムを修正できれば、時間ロスが無くなるんやけど・・」

「軍曹・・ それは対応可能ということなのか?」

「副艦長のクロヒッツ少佐なら、システムのプロフェッショナルやと聞いてます、
 一度相談するしかないなぁ・・  隊長が相談していただけませんか?」

「その問題が解決すれば、10秒短縮し20秒間隔での射出も可能なんだな?」

「そうですね・・ あとは訓練でオペレータを鍛錬すれば・・」

「では最終目標を20秒間隔としておくが、当面はシステムが改訂されたと仮定し
 訓練を実施する。 また問題が発生したら報告してくれ!
 クロヒッツ副長には、私から話をしておこう・・」


「次に、各種弾薬と推進剤の補充時間だが・・現在は?」

推進剤とはスラスターから吐き出される重金属の微粒子である。
この推進剤をMSは背中の部分に設置されているランドセルのスラスターノズルから
吐き出す事で、真空である宇宙空間で推進力を得る事ができるのだ・・
MSの性能スペックにもある「スラスター総推力 74,000kg」はこの推進剤を排出
できる性能であり、この数値が大きければ大きいほど、最大速度が高い事になる
しかし、逆に推進剤を沢山使用する事「燃費が悪い」も表している・・
量産ジムや有名なガンダムは55,500kgであったが、新型ジムコマンドは74,000kgで
性能が上がっている反面、燃費が悪いので、MAX時での戦闘可能時間が短くなる・・
と言う事でもあるのだ。推進剤が無くなると、単なる標的に化すだけなのだ!
尚、姿勢制御などはバーニアと呼ばれる小さなロケットノズルで制御している。 
こちらは推進剤は使用しない・・


「各種弾薬も推進剤もカートリッジ交換で簡単に実施可能やね。
 ただ、ビーム・ガン(エネルギーCAP)の補充は時間的に無理があるので、
 カーゴにある予備のビーム・ガン4機を使用可能にしといて、持ち変えるのがベスト
 ちゃうかな・・
 せやけど・・実は予備は4丁しかありません・・ 持って帰ってくださいね!
 あと、カーゴにある手持ちの武器は・・ 試作のバズーカが2丁と
 ジム用のビームスプレーガンが4丁です・・
 まぁ後日補充する・・とか言ってたけど・・ いつになるんかな・・」

「そうか・・ ビーム・ガンを捨てて来た場合、チーム編成にも支障が出るな・・
 そこは臨機応変に行くしかない・・ ガンを守って自分が死んだら意味無いからな!
 まぁ・・なにか宇宙で見つけたら拾ってくるか?」

「そうやね・・まぁ、あってもザクのマシンガンやけど・・ 
 無いよりまし・・って感じやね!」
 
「後の課題は?」

「そうそう・・ 各部位の整備班による検査時間がネックになると思います・
 通常整備ではない、再出検査工程の見直しが要るのとちゃうかな・・。
 検査が不要やったら、5分で再出可能ですわ。」

「なるほど・・ でも・・5分は長くないか?・・
 なんとか、3分以内で再出可能になるよう、鍛錬して欲しい!」

「3分以内かぁ・・ うーん、 各種弾薬の補充だけならいけるかもしれへんなぁ・・」

「いや・・それでは駄目だ!・・ 推進剤が切れてしまったら、帰艦できなくなる・・
 ただでさえ、この新型はスラスター出力が大きい、カートリッジの容量は
 基本的には変わらんのだろう?」

「そうやね・・ RGM79(ジム)と同じ容量やと聞いてます。」

「やはり、推進剤の交換も含めた努力目標をして3分以内で再発できるよう、考えて
 訓練して欲しい・・」

「了解です・・ ただ確約はできませんよ、でも最善は尽くしましょう!」

「頼んだぞ! その暁には、ビールでも奢らせてくれ!♪
 再出検査の是非については、私から整備班のサミー曹長と話をしてみよう・・
 同様に問題がでたら、随時報告してくれ!
 では、本日の訓練は、カタパルト緊急射出(スクランブル)と、着艦&射出
 (タッチアンドゴー)とする。各々の完了基準を設定しておいてくれ!」

「了解でさぁ!」

・・・

時計を見た・・ 訓練開始まであと30分程だ・・ 
私はMSデッキで直立している私の乗機に近づき、各部の自己点検を開始した。
メカニック任せは、パイロット失格だ! 周りのチームのジムに目をやる、

「みんな、やってるな・・」

ヒロ中尉はもちろん、リン少尉、ミィ少尉、そしてユカ少尉までが・・
ちゃんと、自分の愛機の自己点検を実施している。個々の担当メカニックとも
連携できているようだ。ちょっと私語が多いようだが、まぁ良いか・・
我小隊の文化でもある。文化は守らないと・・ (本当か?)

自己点検を終了し、愛機を見上げた・・
ん・・ ほう・・上手いじゃないか! 我々のジムコマンドGSの肩の部分に
美味しそうな「かじったいちご」の部隊マークが記載されていた・・
サミー曹長には酒を奢ってやらねばならないな・・

「サミー曹長はいるか?」

「今、214で最終点検中です・・」

「おう! ありがとう!」

私は一番奥に位置する214号機のハンガーに流れていった・・
そこには、サミー曹長とミィ、ユカの両少尉が最終点検を行っている・・

「曹長! タッチアンドゴーの訓練をしたいのだが・・・
 いま、MSデッキOP長のターチン軍曹と話をしてきた・・
 3分以内で、簡易整備など可能だろうか?」

「大尉・・ 無茶は言わないで下さい・・ 3分なんて何も出来ないのと
 一緒です! 我々からすると、整備不良でパイロットに迷惑は掛けたく
 ありませんから・・ 簡易整備でも30分はかかっちゃいますよ・・」

「そうか・・ だったら、整備は無しで再度飛ぶしか無いなぁ・・
 他の艦ではどのような運用になっているのか?」

「戦闘時のMSへの補給は、まだ余り実例がありません・・
 大尉が良くご存知の戦闘機運用と同じではないでしょうか?」

「やっぱりそうか・・ ただな・・MSって奴は戦闘機と違って、かなりデリケート
 なんでな・・ 少しでも整備面でできる事がないか?考えているのだが・・」

「だったら・・ 戦闘時の挙動LOGをMSからダウンロードし、解析しましょうか?
 異常値があれば、それをパイロットに知らせます。それなら3分で可能かも・・
 でも、異常値が何処で出ているか・・の事実だけしか伝えられません。
 その判断は個々でお願いしますね・・」

「なるほどな・・ ただ、パイロットだけに知らせるのではなく、私とここにいる
 ユカ少尉にも伝えてほしい! 少尉はMSオペレータだ、MSにも乗る事が
 あると思うが・・」

「了解です!」

「あとは何が出来るか?」

「要員を配置すれば、目視チェックぐらいは出来そうですが・・
 MSデッキオペレータチームの邪魔になるといけませんね・・
 ターチン軍曹と相談します。 ただ、今日の訓練には間に合いません・・
 今日の訓練を整備班に見学させ、今後の運用を作成します。」

「OKだ! 宜しく頼む・・
 そうだ・・ かじったいちご・・中々良いぞ♪
 こんど、楽しいところに連れてってあげよう! セーラー服だぞ♪」

「♪! 大尉! お供させていただきます ♪」

「あっ! リン少尉に連絡しなくっちゃ!」

「おいこら、ミィ少尉! これは大人同士の会話だ! 軍機であるぞ!」

「リン少尉ぃ~ 隊長さんがねぇ・・」


「ミィ? なぁに?」・・

しまった リン少尉のハンガーは隣だ・・ リン少尉がこちらに流れてきた・・

「バ・・ バカ! リン少尉が来るじゃないか! たこ焼き奢るから内緒な?」

「え~っ・・ たこ焼きですかぁ? まるで子ども扱い!!
 ユカもそう思うでしょ?」

「じゃぁ・・ たこ焼き以外なら、何が良いのだ?」

「え~とぉ・・  セーラー服♪!」

「なにぃ?・・ あれは・・ 大人の・・ 」

「大尉・・ 私は少尉たちとご一緒しても良いですよ!
 ねっ♪ 一緒に行きましょう♪ セーラー服!」

と、サミー曹長までニヤニヤしている・・ ここは仕方が無い・・

「良し、解った、セーラー服は最重要機密であるぞ! 良いな!」

「了解であります! 隊長!!♪」  (ふぅ・・なんとか治めたぞ!) 


「何が了解なの?」とリン少尉がやってきた・・

「おう!、タッチアンドゴーの訓練について話をしていたんだ・・
 サミー曹長の意見も聞いたので、訓練計画を説明する・・
 ヒロ中尉も呼んでくれ・・」

(お願いだから・・ミィ少尉・・ ニヤニヤしないでくれ・・)

・・・

「みんな、集まったな・・」
「艦長からの命令だ!我々の訓練を実施するにあたり、MSデッキオペレータの
 訓練も同時に実施する。
 申し訳ないが、全員自分の部屋や食堂等で待機の事・・ それから・・
 既に着用しているノーマルスーツだが・・ スクランブル訓練も兼ねて実施する
 これも悪いが脱いで待機しておいてくれ・・」

「そうなると、思ってました・・ 仕方ないっすね 了解です!」

「隊長・・ちょっと良いでしょうか・・」

「なんだ?ユカ少尉?」

「スクランブルで気が付いたのですが・・
 今後、スクランブル体制を組んでいた方が良いのではないでしょうか?
 隊長を除き、私を含めた4人で2名体制のローテーションを組んでおくと
 個々のスケジュールが組みやすくなると思うのですが・・」

「そうだな・・ 良いプランだな・・
 ただ、4人で回すと、きついぞ・・ また索敵ミッションではないので
 確実に戦闘になる・・ ミィとユカのコンビは、まだ承認できない。
 だから、私もローテーションに半分入れてローテーションを考えてくれ」

「了解しました! 計画書を作成しておきます!」


「それから・・ タッチアンドゴーも・・行う予定だ・・
 着艦時の進入速度の調整は十分に注意すること、 
 着艦の失敗は一歩間違えると艦をお釈迦にする可能性もある 絶対にあせるなよ・・・
 着艦後、推進剤と弾薬のカートリッジ交換を行うが、ハンガーまでの移動は不要だ、
 カタパルト横のブースで作業を受けてくれ、完了後に再発進する。
 ビーム・ガンの交換を忘れるなよ!
 タイムは計測するが、くれぐれもあせるなよ・・」

「ひぃぇ~ぇ・・ 何分っすか?」

「目標3分だ!」

「ふぅ! ション便行く暇も無いって事っすね!」

「まあな・・
 では! MSの最終点検が済んだら 訓練開始まで、解散!」

「了解!」


私は居住区に向けて軽く床をけった、その後ろからリン少尉が話し掛けてきた・・

「でも・・ 隊長ぉ・・ ミィやユカは既に新型に乗ってるのですが、私達3人は
 まだこの子たちに乗ってません・・ いきなりスクランブルですか?
 中尉は気にされていないようですが・・ 」

「リン少尉の言い分も解る・・ しかしな・・ 会っていきなり、ベットに行く事も
 あるだろ♪ 」

「またぁ・・そういう例えばかりしていると、新人の2人にも嫌われちゃいますよ!」

「にも? も・・って・・ 一体?」

「有名ですからねぇ~♪」

「誰が広めたんだ?」

「そんなの、決まってるじゃないですか? ね? 中尉!」

「えっ? 何? 何? 俺の事? 誰かが、かっこ良いな!って言ってるのかな?」

「ほんと、ヒロ中尉はなんでもプラス思考なんだから・・」

「そうだな・・ そのプラス思考で助かる事も多い・・見習う事だ・・」

「ハイ♪ たいちょ!」

訓練のためとはいえ、一旦日常の生活に戻るなど無駄な行動ともとれるが、
こういう積み重ねの擬似経験が、いざという時に役に立つ事を経験則で知っている。
ちょっと、学生時代に経験した、避難訓練や消防訓練を思い出した。
あの頃は、「こんな無駄なことを!馬鹿らしい!」ってサボっていたっけ・・
もう、随分も前のように感じる・・ 

さて、艦長に報告しておこうか・・と、私は部屋に入り、ポケットから
飲料水ボトルを取り出し封を切った・・

・・・

「艦長・・ ワサビィです!・・」

「・・・ 艦長です。 大尉・・ なんですか?・・」

「定刻通り訓練開始いたします。艦内放送をトリガーに
 スクランブル訓練とします。 艦内放送をお願いいたします。
 で・・ カタパルトを手動で起動しますので、艦に発射時の反動が
 発生します。ご了承ください・・」

「・・・ そうなの・・ 解ったわ・・・ でも、毎回そうなるの?・・」

「いえ・・ まだクロヒッツ少佐とは相談していませんが、
 制御プログラムにインターフェースを組込めば、解消できるかと
 考えています・・」

「・・・ 解ったわ・・ 私からも副長に伝えておくわね・・
     訓練が終了したら、相談してください!」

「イエス!マム! ありがとうございます! では!・・・」

飲料水の水玉を空中に浮かべ・・ カメレオンのように食いついた・・

「<第6話>MS戦闘論」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/8c95957df215b12e4eb73b298b0bc0f5に続く・・・
・・・・・

(2007/05/26 07:57)

 


ガンダム外伝を楽しむための補講(1) / ガンダム外伝

2007-05-20 23:01:05 | [小説]ガンダム外伝


いつも、ちゃっちい私の妄想から始まった、小説「ガンダム外伝 題名は未定σ(^^)」を読んでいただき、ありがとうございます。
ちょっとだけ、世界観だけでも・・と思い、簡単に説明をしておきますね(^O^)/

 まず、舞台の始まりの場所(ラグランジュポイント:L4とサイド6)の簡単な説明をしておきます。絵を見てくださいね。(ちょっとウェキペディアから絵を拝借σ(^^)してきました。)

 ラグランジュポイントというのは、宇宙上に実在する重力中和点であり、全部で5箇所が計算的に定義されています。実際に宇宙ステーションを構築する事に都合の良い場所として研究が進んでもいます。
 この5箇所のうち、一番安定している個所が、月と地球の正三角形の3番目の頂点に位置するL4とL5であり、人間が住むコロニーの設置場所としても一番適していると言われています。ガンダムの世界では、最初に作られたサイド1とサイド2がそれぞれL4とL5に作られていると設定されており、現実の科学に裏付けられている設定である事が理解できると思います。この設定は全ての作品に引き継がれています・・ このラグランジュポイントを中心にした楕円軌道が2本あり、その楕円軌道上にコロニー群を浮かべてそこに人が住む・・というのが、宇宙世紀の始まりです、地球上には増えすぎた人口のはけ口が宇宙のコロニーなんですね。
 その、宇宙に浮かぶコロニーですが、これも現実の科学の世界で発表されている物であり、ガンダムの世界では「島3号」という形のコロニーが描かれています。(興味が出たら、コロニーでウェキペディアで検索ください)

 そのコロニーをラグランジュポイントの楕円軌道上に30機ほど浮かべた地域を「サイド」と呼称し、サイドは全部で7箇所設定されています。

 などなど、細かな事は難しいかもしれませんが、一応証明されている事実と、仮想で設定された理論とが半分半分?ぐらいの世界がガンダムの世界なんですね(^O^)。そのリアル感が、お子様向けのロボットアニメの枠を越えて、大人が楽しむ世界になっちゃた背景があるのですσ(^^) だから30年も前の漫画が今でも通用しているのだと、私は感じています。

------------------------------------------------------------------------------

じゃ、地図を見ながら説明を読んでイメージしてください(^O^)/

地図の真中のグレーの円が地球で、右の小さなグレーの円が月です。

月  常に地球側を向いている表部分に、中立都市のフォンブラウンがあります。
   地球側に面を向ける事が無い裏側(L2の側)には、ジオン公国の軍事基地
   グラナダがあります。

L1 地球と月との間にあるポイント。月衛星軌道に近い事から、月基地への
   搬入ステーションとして、早期から開発されました。
   月の中立都市のフォンブラウンに一番近い場所にあります。
   2つの楕衛星軌道上の一つに、サイド5「ルウム」がありますが、
   その名の通り「ルウム戦役」の舞台になった場所です。サイド5は全滅しました。

L2 月の裏側に位置するポイントのため、地球から一番遠い場所にあります。
   スペースノイドの独立を勝ち取る為に戦争を始めた「ジオン公国」を名乗る
   サイド3がL2の1つ目の軌道上にあります。
   もう1つの軌道上にはジオン公国の「宇宙要塞ア・バオア・クー」があり、
   サイド3の最終防衛ラインとなっている。
   ガンダムの最終回の舞台が「宇宙要塞ア・バオア・クー」です。

L3 地球の月軌道の月と反対側の位置にあるポイント。サイド7「ノア」があります。
   ガンダムが極秘にテストされていた場所で有名です。(アムロレイの出身地)
   ジオン公国のサイド3から一番距離が離れていることと、隣の楕円軌道上には
   資源用の小惑星「ルナ2」があり、ルナ2には地球連邦宇宙軍の司令部があること
   から、サイド7には地球連邦政府の関係者が非常に多く住んでいました。
   尚、サイド7は開発途中のサイドであり、コロニーは2機しかありません。

L4 サイド2「ハッチ」とサイド6があります。
   サイド2「ハッチ」はジオン軍の奇襲を受けています。(全滅はしていません)
   サイド6は戦争開始時点から、永世中立の姿勢を貫いていますが、立場的には
   危うい位置にあります。
   今回の舞台になっているコロニーはL4(ラグランジュポイント4)のサイド6
   にある30機のコロニーの中の1つ「リボーコロニー」となっています。

L5 悲劇の場所です。サイド1「ザーン」とサイド4「ムーア」がありましたが
   ジオンの一週間戦争でほぼ全滅しています。特にサイド4「ムーア」は核攻撃で
   全滅させられており、この事から南極条約で、核兵器、科学兵器、細菌兵器、
   が禁止されています。ワサビィはこのサイド1の出身という設定になっています。
   尚、サイド1を破壊したジオンは、ここに小惑星を移動し、その小惑星を
   「ソロモン」と名づけ、宇宙要塞に改造し前線基地としています。

   このことを知っていると、ワサビィは家族を戦争で失っている背景を知ります。
   ジオンが憎くて仕方がありませんが、どこかで同じ宇宙に住む民として
   どうして戦争をしなければならないのか?疑問をも持っています。
   そのような事から、政府特権を利用し、地球上でぬくぬくと生活している
   軍の高官等に対し、ちょっと不満も持っている事を理解する事ができます。

ということで・・ 我らが「グリフィン」は現在地図の L4 から L1 と月の間に向けて
航行中です。(でも、追跡中のジオン艦はどうやら L2 と 月の間に向け航行中・・)
次の戦場になると、計画されている場所が「ソロモン」であり L5 にあります。
月の裏側のグラナダからソロモンに向かう線を断ち切るのが、我々の任務ですね(^O^)/

ただ、考えてください、引力が影響しますので、宇宙での航行は直線では動けません、
スイングハイという、宇宙航行は出発した星の衛星軌道をまわって、その反動力を使用し
航海します・・ つまり月を必ず周回するのですね・・ 
L1 と月との間は、非常に多く艦船が通行する場所でもある事が理解出来ます。
艦長のマメハ大佐は、経験上こちらL1のコースに進もうとしています・・
でも、軍から指令を受けているマスミン特務はジオンの船が向かったL2方面に・・

ああ・・ 大変になるぞ・・ ワクワク・・ と言うあたりで、補講を終りますね。

次回の補講は我々の母艦、グリフィンについて説明しますね(^O^)/  では!

・・・・・
<本編>
「<第1話>宇宙暦0079年 12月11日・・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5a747c41d00b1628eb0c8e21e849a9e6
「<第2話>ソロモン海戦まであと13日」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3657079adce925aa852a122ddf8467dc
「<第3話>敵襲!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/febb0ea54cab1eec8a5e43ef3c1fc04e
「<第4話>ESFSグリフィン 発進!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/442a20813586f90d0374f30ede983102

(2007/05/20 23:01)

 


<第4話>ESFSグリフィン 発進! / ガンダム外伝

2007-05-18 12:31:11 | [小説]ガンダム外伝


<ここまでの話>
「<第1話>宇宙暦0079年 12月11日・・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5a747c41d00b1628eb0c8e21e849a9e6
「<第2話>ソロモン海戦まであと13日」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3657079adce925aa852a122ddf8467dc
「<第3話>敵襲!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/febb0ea54cab1eec8a5e43ef3c1fc04e
・・・
<補講>
「ガンダム外伝を楽しむための補講(1)ラグランジュポイント」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5568bd9e6a727ee790bc1ebec0e0042c
・・・・・


「各部ハッチLOOK確認よぉ~し!」

「気密隔壁確認よろし?」

「気密隔壁よぉ~し!」

「・・・ リボーコロニー管制部、グリフィン艦長マメハです。
 滞在させていただきありがとうございました。
 発艦準備完了しています。
 発進プロセスに移行ください」

「・・・ ラジャ! ESFSグリフィン、発進プロセスに移行します。」
         (EFSF:Earth Federation Space Force、地球連邦宇宙軍の意味)

艦の前の視界をふさいでいた、グレーのゲートが開きだした・・
その先は、漆黒の宇宙・・ 全くの闇の世界であり、発艦時にはいつも奈落の底に
落とされるような・・そんな感覚を感じる。
ここを出たら、足元一枚下は地獄なのだ・・

「総員発艦体制をとれ!!」

作業中の要員も全て、何かにつかまるか、椅子に座ってベルトをし、発進時の発生Gの
アクシデントを回避する。

「係留索はなせぇ~」

「係留索解除よぉ~し!」

「発艦準備よぉーし!!」

「グリフィン発艦!」

「・・・ こちら管制部 航海に幸あらん事を!・・ 発進します!」

ズン!という低い響きがしたと思った瞬間、強めのGを背中に感じる・・
カタパルトで、巨体の艦を押し出したのだ・・
艦はゆっくりした速度でゲートをくぐり、宇宙に飛び出していく・・
完全にゲートを通過し、艦全体が完全に宇宙空間に浮かんだ状態になった・・
艦は、カタパルトの慣性力だけでコロニーから離れ、コロニーの行政範囲を示す
浮き標識横を通過した・・

「本艦はこれより月都市、フォンブラウン方面に進路を取る。
 総員発艦体制を維持せよ!
 上角23、取り舵14、全速前進!第3戦速までぇ~」

「イエス! アイマム!」

艦は進路を変え、加速していった・・・ 視界に月が入ってきた・・
となると、2時方向に地球が見えるはずだが・・
まだ見えないか・・ 艦の傾きがまだ宇宙海図上の平面と平行になってない
のだろう・・

  宇宙は3次元であるが、便宜上平面(二次元)と考えてよい。
  簡単に考えると、地球と月と各ラグランジュポイント(L1からL5までの5箇所)
  などの「地球-月世界」の各資源は、平面の相対座標で全て描けてしまう事が
  理解できる。
  航行はその面(宇宙図)から、浮かぶ(高度)、沈む、という概念である。

私は真っ暗な世界にポツンと浮かぶ地球を見るのが好きだ・・
きれいなブルー・・ 神秘な星 それが地球・・
しかし、そこに住む人間は、宇宙の事を解っちゃいない・・
我々スペースノイドは宇宙からいつも地球を見ている・・
だから、地球からも宇宙を見て欲しい・・  そんな事をいつも考えてしまう・・

「さてと・・ 訓練開始と行きますか!
 艦長! 慣性航行に入ったらお知らせください!
 モビルスーツデッキに行っています!」

「大尉、モビルスーツ隊の熟練たのみますね・・
 ルナ2から乗り込んだ2人とも・・筋は良いと思いますよ
 あと・・ MS隊の訓練と同時にMSデッキクルーの訓練も実施したいのだけど
 いかがかしら?」

「そりゃ、ありがたい・・ ちょっとその辺も訓練の中に入れてみます
 で・・ 艦長どの? いちごは好きでありますか?」

「えっ・・いちご?・・ いちごは好きよ♪ 甘くって水々しくって♪」

「光栄です♪ 我々のMS隊ですが「ベリー小隊」と名付けました。」

「まぁ! 素敵なお名前ね・・ そういえば訓練計画に「ベリーワン」って書かれて
 いたのは、そういう意味なのね♪」

「じゃぁ、今度、美味しいいちごを入手しましたら、ご一緒に!いかがですか?」

「ふふふ・・ 喜んで♪ 美味しい物を入手してくださいね。
 では・・ モビルスーツデッキのオペレーションリーダーを紹介するわ」

「艦内連絡、MSデッキ、オペレーションリーダーのターチン軍曹、モニターまで」

「・・・ 艦長! ターチンです! 何か?」

「今から、そちらにMS隊ベリー小隊のワサビィ隊長が行かれます
 MSの訓練にあわせ、MSデッキのオペレーション訓練も同時に実施します。
 打合せを行い、本日の訓練を実施してください・・」

「・・・ イエス、マム! 
ワサビィ隊長!MSデッキオペのターチン軍曹であります!」

モニターには、がっちりとした男が映っていた・・
実戦上がりだろう・・顔には自信と頼もしさを感じる。

「軍曹・・ ワサビィだ・・ これからは色々とお世話になる。
 今からそちらに行くので、ちょっと時間を作ってほしい・・」

「・・・ 了解です! 隊長どの! お待ちしております・・」


「では、艦長! いちごが入手できましたら、ご連絡いたします♪ では!」

「ええ・・ お誘い待っているわね♪」

私は軽く床を蹴って、コントロールデッキのエレベータに流れていった・・
エレベータに向かう最中に、マスミン特務と目が合った・・ 厳しい顔をしている・・
そういえば、今回の出撃の目的に、サイド6を襲撃したジオン艦の追跡任務が
あったが・・・・  
先ほど艦長の放送では月の表にある月面都市フォンブラウン方面と言っていた・・
・・ ちぃっ! 逆か!・・ 
月の表の中立都市フォンブラウンではなく、月の裏にあるジオンの拠点、
グラナダ方面が正しい進路って事か・・ こりゃ参謀殿(特務大尉)も大変だ・・

「これはこれは・・ マスミン特務・・ ご機嫌はいかがですかな?」

「ワサビィか? なんだ?」

「いえいえ、難しそうなお顔をされていましたので・・ 美人が台無しかと?」

「何を言っている・・ 貴様の狙いは・・ 私では無いだろう♪」

うっ・・ 艦長とのやり取りを、すっかり聞かれていたようだ・・

「私には、美味しいいちごは回ってこないもんなぁ・・」

「・・・(まずい・・)
 いや・・ その・・ あっ!そうだ! 例のジオン艦船・・ 行き先はやはり・・」

「みなまで言うな!」

「やはり、表ではなく、裏ですな?・・ こりゃ・・大変だ・・ 」

「さすがだな、やはり単なるスケベ親父だけではないな・・
 今回の任務はきつくなると思う、今はまだ何も言えないが、重大な任務になる・・」

「なるほど、ではまた訓練の後にでも、2人でゆっくりと・・」

「ふん! その気も無いくせに♪・・」

「そうそうその顔!・・ 特務には、その笑顔がお似合いですぜ! ではまた!」

ちょうど、エレベータが到着し、ドアが開く。私は体をエレベーター内に流した・・
グラナダかぁ・・ ジオンのキシリア・ザビ直轄の部隊ではないか・・
MS戦闘だけを考えていては駄目だって事か・・
敵の主力艦隊とは戦闘する気は無いだろうが、見つかったら到底この艦では
逃げ切る事等出来そうもない・・いくら戦闘艦に改装はしていても、
造船時のコンセプトが巡洋艦のような戦闘艦ではなく、配給輸送艦としての
基本設計であることでは構造上の問題点も出るだろう。

コロンブス級は中央に船の主要機能部分があり、左右に抱きかかえるように
大形のカーゴスペースを2つ持っている。その左側のカーゴスペースを
MSデッキに改造したのが本艦だ、右側のカーゴスペースは隔壁の内壁二重化
改装は実施されているが、単なるカーゴスペースであり、ジムコマンドGSの
修理用パーツ等が積まれている・・との事だ。カタパルトもなくMSデッキ
としては使用できない。というか、左舷MSデッキから右舷カーゴスペースには
人間が行き来する通路こそあるが、MSでの移動を行えるような大きな通路は
作られていない。

話は戻って構造上の問題点だが・・
例えば、現在乗っているエレベータの構造にもリスクがある・・
MSデッキとコントロールデッキは、エレベータで直結している、
これは移動に便利だが・・ 逆にMSデッキでの事故などが、
コントロールデッキにも影響を出す可能性があり、構造上の弱点になると感じる・・
エレベーターは縦穴で空洞なのである。
元々の構造では左右のカーゴスペースとコントロールデッキは直結してはいなかった。
左舷のカーゴスペースをMSデッキに改造したため、運用上の配慮からエレベータを
後から設置した事が、艦の中心部に縦穴を作ってしまった原因になっているのだ。
探せば他にも色々と出てくるだろう・・

ちなみに、MSデッキの高さは25メートルほどあり、ジムコマンドが直立できる。
そのデッキ対し、艦の中央部との接続部分が2階、3階とベランダのように突出
している形になっている、2階や3階にはそのまま、MSデッキの空中を移動する
のが通常だ・・
艦の中央部の4階にコントロールデッキがあり、3階には移住区、2階には
トレーニングルームや食堂などがある。1階には、飲料水タンクや倉庫、そして
推進剤タンク等が配置されており、カーゴスペースの高さの真中あたりの高さが
艦の中央部の1F部分に位置する。艦の中央部にぶら下げられた中距離ビーム砲の
制御コントロールも艦の1Fに作られており、エレベータはここまでだ。

尚、カーゴスペースには大形クレーンが設置されているが、MSデッキは撤去され、
そのかわりに簡易リフトが設置されているが・・ 宇宙空間では使用することは
ないだろう・・機関部分は艦後部に配置されている。
あとは・・ そうだ・・中からは見えないが左右のカーゴユニットの各上部に
ミサイル発射管が見えた・・ 艦の中央部には設置できず、やむなくカーゴユニット
上部にレイアウトされたと考える・・ 急所になるかもしれない・・
構造を調べておく必要がありそうだ・・

母艦は絶対に守らないといけない! それが地上の陸戦隊とは異なる、宇宙隊の
MS乗りとしての尊守すべき行動指針となっている。
その理由として、<宇宙には空気が無い・・母艦をやられる事は、自分達の帰る場所が
無くなる事を意味する。>と教えられた・・ しかし、理由はそれだけではない。

このような、小さな艦であっても、MS1個小隊を運用するための要員、
また艦を運用する要員を合わせると、100人以上の要員が配置されている。
つまり、それだけ沢山の影の支えがあってこそ、我々MSパイロットは
宇宙を駆ける事ができるのだ。MSパイロットは特別扱いされているが、実際は
偉くも何ともないのであるが。
この総員100余名の命を守る事ができるのは、我々MS隊だけだというのも
事実なのである。
100人以上乗艦している・・ 知らない奴もまだまだいるだろう・・

「徐々に顔を売って行くしかないな、 懇親会なんかを企画しようか♪」

などと口からは軽い言葉が漏れるのだが・・ 頭の中ではグルグルと思考がうずを巻く

やはり、この艦は狙われると脆いな・・
構造を考えたらサミー曹長の言うとおりだろう・・
艦の下部からの攻撃への防御訓練が必要だな。

MSは4機しかない・・ 運用方法が大きな課題だ・・
我軍のMS、ジムが実戦配備されてから、およそ一ヶ月・・
最初はジオンの連中も面食らっていたが、
最近はジオン軍の対MS戦技術が上がって来ていると感じる・・
やはり、脅威は、奴らがスペースノイドだって事か・・
宇宙での戦い方は彼らの方が一枚上手だ!
若い少尉たちが、太刀打ちするには、「1to2」を基本に戦うしかないが・・
大丈夫だろうか?・・

とエレベータが下降する間に、色々頭の中思考が交錯し、不安も見え隠れする・・

「ふぅ・・ 喉が渇いたな・・」

エレベータを2階で止め、食堂に体を流した・・
丁度、艦は慣性航行に移行したらしく、艦長からの艦内放送が流れた

「・・・ 艦長です。 発艦体制解除! 本艦は19マルマル時より、MS訓練に入る
     担当関係者は訓練プログラムに移行せよ! 以上!・・・」

食堂の給水機から、パックの飲料水ボトルを2つ取り出した。1つをポケットに
押し込み、1つの封を切った・・ ちょっと押し出し、空中に水の球を作る・・
それを指で掴んで口に運ぶ・・ へんな癖だが・・ストローで飲むのはどうも
好かん!

そのとき、誰かがTVのスイッチを入れた・・ まだサイド6の放送が届く空域だ
ん? 珍しいなぁ・・ 連邦軍のプロパガンダ放送じゃないか?
中立のサイド6だが・・やはり今回のジオンの強襲には腹が立っているのだろう・・
そこに、政治の力が働いているかもしれないが、我々にとっては有利に働く・・

ほう・・ 連邦軍もやるなぁ・・ 新型MSジムの部隊のニュースか・・
ありゃ、RGM-79を陸戦仕様に改造している奴だな・・ 陸軍で試作先行量産したタイプ
ではない・・ ん? 何? 聞き取りにくい・・  (もう年か?)

「オイ! TVのボリュームを大きくしてくれ!」

と、TVを付けて何人かで見ていたウェーブ(女性兵士の意)達の1人がこちらを見た

「あっ! 隊長! この隊、私の先輩がいるんです!」と・・ ユカ少尉だ・・

「そうか・・聞き取りにくかったのだが・・ ホワイトディンゴと言わなかったか?」

「ハイ!そうです隊長! ジオン勢力配下だったアリス・スプリングの街を
 無血で開城なんですって・・ジム3機の1個小隊が、ジオンから開放したんです!」

「それは、すごいな・・ 無血とは・・ 一体、レイヤー中尉はどのような手品を
 使ったんだ・・」

「ええっ?・・ 隊長はホワイトディンゴ隊の隊長をご存知なんですか?」

「ああ・・ ジャブローでMS変換訓練で一緒だった・・
 奴も私と同じで戦闘機乗りからの配置転換組で、MS戦術論は一流だったぞ、
 よくジャブローの酒場で議論したもんだ・・ 
 鬼教官だったバックス・バック中尉から、彼の配属先などは教えてくれてたが・・
 無血とはな・・ さすがだ・・ 
 この放送も、無血というイメージが、中立であるサイド6のお目に止まった訳だな・・
 そういえば・・ 少尉が知っている奴がいるって言ったな?」

「はい・・ 実は私・・ 軍楽隊からの配置転換なんです♪・・
 その軍楽隊に、同じようにMS適性を受けて配置転換した先輩がいて・・
 マクシミリアン・バーガー少尉で・・ 性格的にはヒロ中尉みたいな ♪ 」

「なるほどな・・ そういう奴がレイヤーの部下にいるのか・・ 
 少尉の先輩は、良い隊長の下についたな!  良いことだ・・」

「はい! で・・ ユカはぁ? 良い隊長の下に付いたのですか?」

「それはこれからの心掛けしだいってことかな・・」
 まぁ・・ 変なところで繋がりがあったな ♪ 今度、飯でも食おうか♪」
「と・・ 言っている間に、訓練の時間になるぞ、TVもそこそこにして、
 訓練の準備に入りたまえ・・」

「は~い! たいちょう♪ ベリーベース、職務に戻りまぁ~すっ!!」

TVには2機のジムが映し出されていた・・ 薄いグレー1色というカラーリングは
特殊部隊編成である事が推測される・・ しかし・・肩の「白い狼」の部隊マーク、
ホワイトディンゴか・・ カッコ良いではないか!
しかし、カッコ良さでは、私の「かじったいちご」にはとうてい勝てないが・・
(本当か? 絵はまだ見てないが・・)

というか、同じような戦術論を持論として議論していた奴が、成果を上げているという
事が、すごく嬉しかった。それは私の考えに間違いが無い!という確証にも変わるのだ、
心の中に芽生えていた、小さな不安をホワイトディンゴが打ち消してくれた! 

私はMSデッキに流れていった・・ 飲料水の玉をつまみながら・・・

「良し! 問題は無い! 行けるぞ!」

「<第5話>訓練開始!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/69b4168945e2ac0387709862e531bf2dに続く・・・
・・・・・

(2007/05/18 12:31)


<第3話>敵襲! / ガンダム外伝

2007-05-09 12:14:27 | [小説]ガンダム外伝


<ここまでの話>
第1話「宇宙暦0079年 12月11日・・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5a747c41d00b1628eb0c8e21e849a9e6
第2話「ソロモン海戦まであと13日」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3657079adce925aa852a122ddf8467dc

・・・

さて、編入の手続きも終えたのだが、シャトルの入港などが重なって、結局
マメハ艦長への編入挨拶が出来ていない、お忙しい人であるらしく、明日の
昼過ぎにアポが取れたそうだ・・ 
それまでは、自分の部屋に荷物を運ぶぐらいしか仕事が無いかぁ・・
自分の荷物を艦に運び込み、部屋にセットアップされている端末を覗くと・・
ほう!、すでにリン少尉からのメールが入っていた・・
依頼していた訓練プログラムである。
さすが少尉だ・・的確に新規編入隊員と新型ジムの適性を考慮した
訓練プログラムになっている。

ただ・・ このまま実施するには場所が悪い、ここは中立コロニーであるため
演習であっても軍事行動と判断された場合はペナルティが課せられる。
かなりの罰金であり、あまりに度が過ぎると軍法会議にもかけられてしまう・・

母艦グリフィンでサイド6エリア外の外海にでて、訓練するしかない、
その旨をリン少尉の訓練プランに追記し、私はマメハ大佐とマスミン特務大尉に
レポートを送付・・ と、最後の署名で止まってしまった・・
「第21独立部隊 MSグリフィン隊 かぁ・・
 もうちょっと粋な名前にしたいなぁ・・ コールサインも決めないと・・」

ふと、いちごを思い出した・・ いちごちゃんかぁ・・
会ってもいない、コンペット准尉が、頭の中でいちごちゃんになっていた・・

「そうだ! MSベリー小隊! 良いじゃないか♪」

名前の由来を聞かれたら困ってしまうが、まぁ、名前なんてそんなもんさ!
私は訓練計画のレポートに「ベリー1、ワサビィ大尉」と署名しレポートを
送付した。

聞いた話では船が出るのは早くても明後日・・ ルナ2からの航海直後のため
隊員たちにもサイド6での休暇が出ていると聞いている。

「あせっても仕方が無いか・・」

私は独り言をつぶやきながら艦を出て、リボーコロニーの内壁部に下りていった・・
コロニーは直径6キロメートル、長さ30キロの大きな円筒状のシリンダーが
空中に浮かんでいると想像すればよい。
その中に1000万人以上が居住するのが一般的だ。
そシリンダーがグルグルと回転し、その回転の遠心力でシリンダー状の内壁に
擬似重力を得る、0.8G・・それがコロニーでの重力であり、地球上の1.0Gに比べると
かなり軽く感じる・・ 50キロのレディであれば、40キロで、軽々とベットにも
お姫様抱っこで連れて行くことも可能である♪

というか、私はスペースノイド・・つまりコローにで生まれた人間であり、
逆に地球に降りた時の重さ感がなんとも言えない。まぁ、違和感は重さだけでなく
空気に匂いと湿度があることかな・・ 天然の気象というのはコロニーの最適さから
見ると、非常に苦痛にも感じる・・
まぁ、それが地球生まれのアースノイド達のすごいところかもしれない・・ 
よく我慢しているなぁ・・って思っている・・
そうそう・・ 月に住むルナリアン達は、もっと辛いって言っていたなぁ・・
ご存知のように、月の重力はコロニーよりもはるかに小さいからである・・

エレベータが地上に近づいてくると、ドンドン重力を感じてくる。西暦での20世紀に
コロニーが考え出され、21世紀にコロニー計画が進み宇宙世紀になった・・
そして、コロニーが現実として出来上がり、宇宙移民が開始された・・
それから、まだ80年も経っていない・・しかし、世代は4世代も生まれ、地球上を
知らない人達ばかりになっているのだ、
この戦争、私達、スペースノイドからすると、同じスペースノイドであるジオン公国
との戦争である、地球連邦軍の正義って一体なんだろう?・・と
考えてしまう事が無いと言えば嘘になってしまう・・
しかし・・軍人である以上、それを口にすることは、絶対に出来ない・・・

地上に降りた・・ 町の中はクリスマスカラーで一色である。
この風景は旧世紀からも継続しているのだと聞いている、本当に戦争中なのか?と疑う
くらい、町の中は平和そのものであった・・

「まっかな おはぁなぁのぉ~ とぉなかぁいさ~ん~はぁ~・・」と口から歌も
出てしまう♪ 「かわいい おねぃちゃんがぁ だいすきなっのっさぁ~ 」って
歌詞が変わっても違和感がないほど・・ 街はクリスマスの雰囲気で浮かれていた・・

・・・

その時・・コロニーの川と呼ばれる、太陽光取り入れ部分に雷のような光が横切った!
と同時にコロニー響き渡る爆発音! 聞いたことがあるぞ! これはザクマシンガンの
破裂音だ! まさかこ中立のサイド6にジオンが攻めてきたのか!!

空を見た、そこには緑の巨人が2体! ジオンの(MS-06)ザクだ!! 脚部が太めで、
見慣れたザクのF型ではなく、その改良型ようには見えるが・・
あと、黒い奴もいる、遠くて解り難いが、多分スカート付き(MS-09リックドム)だろう
ジオンは3機か!

「俺の目の前で、勝手な事はさせんぞ!!」

こんな所でやられては意味が無い!
サイレンの鳴る中、私は近くのエレカーに飛び乗り、前の所属であった、第7小隊の
格納庫に急いだ!まだ我々のRGM79ジムはあるはずだ!

エレカーを走らせていると、格納庫方面からRGM79Gジムコマンド(コロニー戦仕様)が
3機出撃してきた・・ 

「コロニーの防衛隊か?
 何をむやみやたらに撃ってるんだ! コロニーに穴が空いたら、どうするんだ!
 3機での連携はどうした?
 ジムはチーム戦を前提に設計されているんだぞ!
 ちぃ! 一体、誰が乗ってるんだ! 」

想像は簡単に付く・・ 政治の道具としてリボーコロニー自治体に治めたジムだ、
パイロットなど全員、甘ちゃんで平和なコロニーで育った実戦経験がない奴らなのだ、
見ている間に、1機のジムが簡単に撃破されてしまった・・

突然爆発音がまた響いた! スカート付きがバズーカを発射したらしい・・

「あちゃぁ~ 打ちやがった、あのバカ!
 コロニーってのは、板一枚下は、地獄なんだぞ! わかってんの!?」

第7小隊の格納庫前に付いたとき、

「隊ちょぉ~う! こっちこっち!」と

ヒロ中尉である。さすがに彼も同じ行動を取ってくれている、頼りに出来る相棒だ!

「どうだ? ジムはあるか!?」

「それが、あるんすが・・ 火が落ちてて、これじゃ単なる木偶人形っす!」

「ちっ!なに考えてんだ! 戦時中だぞ! 熱核融合炉は落としちゃ駄目だろ!
 完全に平和ボケしてやがる! つうっ・!」
「他になにか無いのか?」

「有線ミサイルなら・・ あっちに・・・」

ミサイル装備を荷台に設置したエレカーを目指し、走り出した・・

「あの戦い方じゃザクにすら勝てないぞ バラバラじゃないか!
 というか、勝手にバンバン撃つな! コロニーを中から破壊するつもりか!!」

「どうやら、ザクだけになってますね・・ ドムは何処に行ったんでしょう?」

「そうだな・・どっかに隠れてやがるか、調子悪いぞ・・」

有線ミサイル車を、戦闘地区とは全く異なる、谷側(回転方向)に走らせた・・
有線ミサイルなどをぶっ放しても、ザクに対しては完全に無力なのである
逆に、こちらの命が危ない。
コロニーの内壁のカーブを利用し、上から見下ろせる場所に車を止めた。
モビルスーツは18メートルもある巨人ではあるが、たかだか18メートルだ!
ビルの蔭に入ってしまえば、見つけることも難しい、それが市街地戦の難しさでもある
破裂音や爆発音はコロニー内で共鳴し、位置の特定も難しい、
上部から見下ろせる場所からの目視がコロニー戦の鉄則だ!

目視での敵の位置をジム部隊に連携する・・ それが、私の取った行動であった。
無線のスイッチをオンにした。

「おい! 第7小隊のワサビィだ! ジムコマンド362、搭乗者は誰だ!」

「ザザ・・ ザ・ ワサビ・・ザ 敵・・ ザザ・・」

「くそぉ! ミノフスキー濃度が戦闘濃度だ! 小型の低出力無線じゃ使えん!」

「隊長、あそこのビルの陰に、スカート付きぃ!
 ありゃ・・ あっちのジム、狙われてますぜ!!」

「中尉!モールス発信灯はあるか? モールスで知らせろ!
 ジムコマンド363! 4時方向にスカート付きだ! 聞こえるか! 4時方向だ!」

ミノフスキー粒子で繋がらないかもしれない・・ でも、少しでも聞こえたら・・
の思いで、私は無線機に向かって叫びつづけていた・・・

・・・

1機のザクとドムはコロニーから脱出し、ザク1機が郊外の森林地帯に墜落・・
コロニー防衛隊のジム3機は、全て破壊され、戦闘は終結した・・
市街地での戦闘行為である、民間人も数十名の巻き添えの犠牲者がでているだろう

中立を宣言している平和なコロニーでも、現在は戦争中であって、その被害に
及ぶ事を、この事件は物語っていた・・
また、モビルスーツの動力源である、熱核融合炉が爆発でもしたら・・
さらに、修復不可能な巨大な亀裂でもコロニーに入ったら・・
巻き添えの犠牲者だけでは済まず、コロニー内の住民全員の命が消えるのだ。

   宇宙に安全な場所など、どこに無いということを思い知らされる・・

元、我々の所属していたL4方面警備中隊の課題である、中立サイド6における
「有事における戦闘行動制約」について、早急に議論を開始し、提案していかねば
ならないのであるが・・ この戦闘行為で自治体の連中も、重い腰をあげるだろう。

しかしなぁ、ガンダムという名のMSは、縁起が悪いのかもしれない・・
数ヶ月前のサイド7でもガンダムを搬送中にザク1小隊に襲われたとの報告を
聞いている。その小隊が赤い彗星の異名をとる、部隊であったとも・・

そういえば、このサイド内の他のコロニーで、赤い軍服を来たジオンの佐官を
見たとの情報も入ってはいるが・・
今回もガンダムの新型が入港したら、すぐこのザマだ!

「赤い彗星だとぉ・・ 洒落にならんなぁ・・」

ジオンは、連邦の動きを確実に察知していると考え、L4方面警備中隊には十分な
準備をして欲しいものだが・・ 腑抜けの中隊には期待できない。
どうやら平和ボケは、知らない間に私もかかっていたようである。

全身が覚醒を始めている・・

「中尉! 至急小隊全員に招集をかけろ!」
「なにかが、迫っている・・・ 嫌な感じだ・・ グリフィンに戻るぞ!」 

その圧力を肌に感じながら、私はヒロ中尉に指示を出していた・・

・・・

グリフィンに戻ると、クルーのほぼ全員が配置に付き、作業を開始していた。
この艦の錬度は高い・・ と感覚的に感じ取っていた。
生き延びる基本が、この艦にはあるように感じた・・  うん、行けるぞ!

モビルスーツデッキでは、我々のジムコマンド整備が終っているようだ

「サミー曹長はいるか?」

「なんでありますか? 大尉・・」

「部隊名を決めたぞ! ベリー小隊だ! いちごの絵を肩に描いてくれないか?」

「やっぱりね・・
 中尉ぃ! やっぱり中尉の言われた通りでありますね!
 いちごを食べれなかった怨念っすか?」 サミー曹長が笑っている

「だから、言ったしょ・・ 食べ物の恨みは恐ろしいって・・」とヒロ中尉・・

そういう話になってたのか・・まぁこれで名前の由来が、いちごちゃんではなく、
かじった最後の1つのいちご、と解釈される・・ 説明も簡単だ・・

「サミー曹長! いちごの絵だが・・ かじったいちごの絵にしてくれ・・」

「え~っ! そりゃないっすよ、たいちょぉ~」

「いちごの恨み、忘れんためにな!」


「遅いぞ! ワサビィ! ヒロ!」

頭上からの突然の声はクロヒッツ少佐だ!

「本艦は18マルマルにサイド6を発艦します 
 モビルスーツパイロットは作戦ルームに集合の事! いいわね!」

「はっ!了解であります!」

私達は壁を蹴って、作戦ルームに流れていった・・


作戦ルームには既に小隊全員が集まっていた・・

「どうやら、本艦は作戦行動に入るようだ、ただ、作戦行動に入る前にMS戦に対する
 訓練を実施したいと考えている。本艦の作戦会議の後に訓練計画について連絡する!
 時間が無いため、無理を言うと思うが、みんな・・ ついてきてくれ!」

私が話し終わるか終らないかのタイミングで、艦長のマメハ大佐と参謀のマスミン特務
大尉が入ってきた。

「艦長・・彼がMS隊の隊長に赴任したワサビィ大尉です。
 以下、ヒロ中尉、リン少尉が同じくサイド6より乗艦、あとの2名はルナ2から乗艦
 している、ミィ少尉とユカ少尉で、この5名で小隊を編成します・・」

「ワサビィ大尉・・私が艦長のマメハです! あなた達の命を、私に託してください!
 今から、マスミン参謀より今回の作戦内容について、説明します。なお、大尉からの
 訓練計画も了解しました。ただし、訓練中でも実弾の携行をお願いします。
 これから向かう先は戦場ですから・・
 参謀! 説明を!」

マスミン特務大尉からの作戦内容説明では、本日このコロニーを強襲した敵艦の追尾と
次の攻撃に対する牽制作戦となる。もともとの敵ジオンの月基地グラナダと、敵の要塞
であるソロモンとの中間点での補給路の断絶が使命であるが、その作戦ポイントと今回
の作戦ポイントが一致する事が理由らしい・・

宇宙空間は3次元の世界であり、自由に行動できると思っているだろうが・・
実は太陽、地球、月の重力の関係で、燃料が少なく移動できるラインは限られている。
そのラインを遮断する・・と言うことになるが・・
メインの宇宙路は、我々1隻では対応できない・・ つまり裏ルートが我々の対象
であり、そのどのルートをジオン軍が使ってくるかを調べるのが、今回の敵艦の追尾
作戦の目的になる・・
要は、見つけた敵に対し、足を止めれば良い・・と言う事だが・・どのルートに船を
向けるのかは艦長の腕次第って事になる・・

でも・・良いなぁ・・艦長♪ 凛として精悍だ! さすが大佐だぁ! 
やはり私は艦長狙いで行くぞ!と、ヒロ中尉とアイコンタクトした。

       やっぱり、死んでも直らんなぁ・・♪

マメハ艦長とマスミン特務が部屋を出て行ったあと、訓練計画を説明した。

「まずは1to2の基本フォーメーション
 ヒロ中尉を前面に押し立て、後方2機で支援するフォーメーションである。
 私が仮想敵となり、訓練を実施する。」

モビルスーツの戦闘では、白兵、射撃、狙撃の3つの戦い方があり、どれも長所と短所が
ある・・ それを互いに補い戦闘を有利に運ぶ方法が1to2の基本フォーメーション
である。

ヒロ中尉が白兵、リン少尉が射撃、ミィ少尉が射撃と狙撃を臨機応変に切り替えて
対処する。ジオン兵は個人技能が高いパイロットが多い事から、1対1の白兵に
持ち込まれると少々不利であるが、その白兵戦闘を中距離&長距離から援護し支援
する戦法が、このフォーメーションであり、この戦法を前提として、連邦軍のモビ
ルスーツジムが設計されているのである。

「その後は、2X2フォーメーション、私とミィ少尉、ヒロ中尉とリン少尉での
 2隊でのフォーメーション、私とミィ少尉の隊とヒロ中尉とリン少尉の隊を
 互いに仮想敵と想定し訓練する。」

これは、我々小隊が4機であることを利用し、2個小隊のような戦闘を行うフォーメー
ションである・・ 今回の任務では、2機1組で1小隊分の働きを求められるケースが
多くなりそうだ・・ そのため、この訓練は絶対に必要な訓練になるだろう・・

「尚、艦長命令でもあったように、常に実弾を携行する。安全装置の確認は怠るなよ!
 演習時の着弾判定はガンカメラを使用する。ガンカメラはオンにして置くように!
 本艦は18マルマル時にサイド6を出航する、訓練開始は19マルマル時より!
 また、コールサインを決定した。
 ヒロ中尉、ベリーツー。リン少尉、ベリースリー、ミィ少尉、ベリーフォオだ、そして、
 ユカ少尉はベリーベース、MS搭乗時はベリーファイブとする。」

「ふぅん・・決めたんですねコールサイン・・ ベリーグッドのベリーですか、隊長?」

「いや、違う・・  詳細はヒロ中尉に聞いてくれ!」

「中尉ぃ・・ ベリーって ブルーベリーとかの・・ ベリィ?
 ねぇ・・ なに? 教えてよぉ!」

ヒロ中尉とミィ少尉、ユカ少尉が顔を見合わせて、笑っている・・
2人は気が付いたようだ・・ 
そんな中、リン少尉だけが、理解できず、ヒロ中尉に食ってかかっていた・・

「そして、私がベリーワンだ! 以上 解散!」

「<第4話>ESFSグリフィン 発進!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/442a20813586f90d0374f30ede983102に続く・・

(2007/05/09 12:14)