<ここまでの話>
【第1部】
「
<第1話> から <第24話>までのリンク」
【第2部】
「
<第25話> から <第46話>までのリンク」
【第3部】
「
<第47話>月面着陸・・」
「
<第48話>敵か味方か?」
「
<第49話>アロー市自衛軍」
「
<第50話>大丈夫だよね・・」
「
<第51話>フォン・ブラウンへ・・」
「
<第52話>セカンド・ルナ」
「
<第53話>スパイ容疑・・」
「
<第54話>特務の内容・・」
「
<第55話>情報戦・・」
「
<第56話>妄想と現実・・」
「
<第57話>再会?!・・」
「
<第58話>違和感・・」
「
<第59話>ムサイ級ワルキューレ」
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何という事だ! 全てのモヤモヤが払拭され、点と点が線で繋がった・・
嵌められた感もなく、全ての情報が連鎖し、アドレナリンが沸騰している・・
これは、神が私に与えた試練だ!
サイド6リボーコロニー、200万人の市民の命を救え!と、神が言っている。
(さて5分前か・・)
最初の射出はガボット級突撃艇で、そのあと2機のボールが続く・・
アロー市軍の訓練が終った後、YUKIKAZEの射出だ・・
(そろそろ、ジムコマンドに乗り込むか! 輸送機&貨物コンテナは準備できたのか?)
と、格納庫に向かった。
・・・
格納庫に入ると、オーリン准尉が私を見つけ手を振る・・
「どうだ? 輸送機は手配できたのか?」
「それがね・・ マスミン姐さん居ないんだよ・・
何処に行ったんだろうね・・ 発進時刻なのに・・
ただ、アロー市軍の訓練後にYUKIKAZEには推進剤の補給があるんだって・・
ジムには注入口の形状の関係だとかで、無理なんだってさ。
だから、YUKIKAZEとジムはくっついて飛べ!って事だよね・・
YUKIKAZEのブースター上面にフックがあるよね・・ 無骨な奴・・
そこにジムの脚部を架け、マニピュレーターで機体を掴むと、ホールドはできるかなぁ・・って・・」
「おいおい、私は振り落とされないようにしがみついとけ?ってか?」
「そうね・・ しがみつくしかないでしょ? ジムコマンドの推進剤は使いたくないでしょ?
YUKIKAZEの推進剤を補給してくれるんなら、こっちは少々使っても大丈夫だし・・
つうかYUKIKAZEのブースターって、大きすぎるなぁ・・とは思ってたんだけど、
今、考えたら、MSのフライトシステムも試行上考慮してるんじゃないかな?とか思うのよ、
妄想できるよね? 前から気になってた、あのフック・・ まぁ汎用的と言えば汎用的なんだけど・・
はっきり言って、邪魔って思ってたわけ♪
でも、ジムが乗るって考えたら、十分にフラットな広さが確保されているし、フックが
足の位置に来る・・ そう思わない?」
「強度的に大丈夫だったら良いのだがな・・」
「完全にYUKIKAZEの機体とジムコマンドの機体を一体化して、慣性にズレが働かないようにすれば
問題ないと思うよ・・ まぁ、それしか思いつく方法が無い訳だし・・
YUKIKAZEをカタパルトに接続したら、女の子に乗っかるように、優しく乗っかってね♪」
「ああ・・ 解った・・ それは得意だ♪ 可愛い女の子だったらな・・
でな、新たな情報を入手した・・ マスミンが居ないので相談も出来んのだが・・
アロー市軍からの情報は99%ガセ情報と思う・・ やはり罠に嵌められているような・・」
「どういう事?」
そんな時、ヘルメット装着を指示するアラームが鳴り響く・・
ガボット級突撃艇の発進準備が終わり、いよいよ発進されるようだ・・
私はヘルメットを装着し、オーリン准尉のヘルメットに自分のヘルメットをくっつけた・・
「YUKIKAZEに搭乗して待っていてくれ、後で話す・・」
「了解♪ って・・ まさかと思うけど・・ クレジットの番号は伝えたよね?」
(・・・ しまった・・ 忘れてた・・ まぁ良いかぁ・・♪)
ジムコマンドの足元まで行くと、ジムのコックピットからリフティングワイヤーがぶら下がっていた
リフティングワイヤーのエンドリングに足を掛け、コックピットに潜りこむ。
「ご苦労!整備感謝だ! なにか引き継ぎ事項はあるか?」
と、傍らで整備モニターを見ている整備兵に声をかける。
階級章を見ると一曹だ・・ 聞いていた教育兵や曹候補生ではない、整備班の班長だろう・・
「はい、右脚部の反応が、左脚部に比べ悪くなっています。
前の戦闘でのひずみだと思いますが、我々では調整する事ができません。
あと、メインカメラで接続不良が発生する可能性があります。
端子の交換を行っておきましたが、原因が端子なのか?は私達には解りません・・
でも、現物のモビルスーツ、しかも新型の点検が経験出来、非常に感謝しております!!
勉強になりました!」
「おう!
慣れない機体の整備・・ ありがとう! さて、頑張ってくるかっ!
一曹、ハッチを閉めるぞ、下に下りろ!」
「はっ! ご武運を!!」
と、敬礼し、リフティングワイヤーで、整備の一曹が降りて行く・・
完全に下に降りた事を確認し、ジムコマンドのハッチを閉めた。
前面のモニターをオンにすると真っ暗だったコックピットが明るくなる・・
モニター横に貼ってある、リン、ヒロ、そして私の3人の写真を一瞥し、苦笑した。
(L4方面警備中隊第7MS小隊に乾杯っ! やってやんよ!)
やっぱり、MSのコックピットは、意識が高揚する!
核融合炉グリーン、生命維持装置グリーン・・ 各種チェックを実施しながらヘルメットの通信機をオンにした。
すると、ガボット級や2機のボールのコックピットから会話が流れてくる・・
「・・・ というか・・ この子のコックピットって狭いよね・・」
「・・・ そうかな? 私は戦闘機よりは後ろのスペースもあって、広いと思うけど・・」
「・・・ 一人だから狭く感じるのかな・・ ぼっちなう、だぜぇ!」
「・・・ 無線があるじゃん、大丈夫だよ。そばに居るから・・」
「・・・ でも、宇宙空間に出てミノフスキー粒子が散布されてたら・・ ほんと、ぼっちなうだよね・・」
「・・・ だね、というか、お腹すいたな・・ どっかにおにぎり落ちてないかな?」
「・・・ 落ちてないよ、というか、実際に落ちてたらどうする?」
「・・・ こら! プラス! チロル!! 私語は慎め! ごちゃごちゃ言ってると、
こちらに居るラム准尉とメロ准尉と交代させるぞ!」
「・・・ プラス三尉殿! 交代しましょうか?」
「・・・ にゃろめ! 交代しないよ~ん! 貴様はピカチューでもやってろ!!
関係ないがチロルは俺の嫁だ!! まだまだ若いもんに譲る気はな~い!」
「・・・ ぴっかちゅ~」
「・・・ あざ~す♪」
「・・・ 本当に貴様らの話はいつも意味が解らん・・
つうかこれ以上私語を続けると本当に交代させるぞ!
今回はボール実機に乗るのは初めてだが、シミュレータの動きとは大きく異なるはずだ・・
どちらかと言えば、突撃艇や戦闘機に特性が似ているかもしれん・・ その差を身体で感じ
この機体をどのように活用すれば良いかを後でまとめ提出させるからな!
カタパルト射出速度とブースタースロットルの連携部分には注意しろ!」
「・・・ ラジャ!」
「・・・ じゃ、こっち(ガボット)は先に宙に上がっているからな、
メロ准尉、発進シーケンスに入れ!」
「・・・ ラジャ(だじぇ♪)・・
管制塔・・ こちらガボット15メロ准尉です、発進許可願います!」
「・・・ こちら管制塔・・ ガボット15メロ准尉、シグナルオールグリーンです。
カタパルトプレスゲージグリーン!
ガボット15のタイミングでコンタクトください!」
「・・・ ありがとうございます・・・ 艇長(キング一尉)発進許可出ました。」
「・・・ よし、次・・ ラム准尉!発進時のメインスティックをやってみろ・・
ラム准尉、レディ? ユーハブコントロール!」
「・・・ は・・ ハイ! アイハブコントロール・・ ブースターアクセルオンにします・・
エンジンブースト70・・ 75・・ 80・・
管制塔・・ こちらガボット15、カタパルト発進願います!」
「・・・ オーケイ! ガボット15カウントダウン! 3・2・1・・」
ズン!という振動とともに、ガボット突撃艇がカタパルトから射出され、ブースター全開で天空に上昇していく・・
アロー市軍は突撃艇を番号で識別しているようで、ガボットの15号機のようだ。
実は、地球連邦軍の突撃艇は番号ではなく固有の名称で呼ばれている・・
これは軍が命名した呼称ではなく、艇長が勝手に自分のコールサインと同様に突撃艇に名称を付けるのが慣わしだ、
それを管制塔も採用し呼称している・・(中には、その名前を機体にもペイントしていた艇も少なくなかった)
軍の中で、突撃艇の艇長にだけ与えられた特権なのだが、なぜそのような事が許されているのかは、
突撃艇の艇長に対するリスペクトが理由だ・・ 一番危険な軍務が突撃艇乗りだという意味でもあるのだが、
アロー市軍にはそのような特権は無い・・ やはり中立は平和なんだと感じる・・
というか、初々しくて気持ちが良い! これが慣れてきたら「出るぞぉ~」の一言だけで発進していく・・
何時までも、この気持ちを持っていて欲しいとも感じていると
「・・・ ボール21B1、カタパルト発進願います!」
「・・・ 21B2も連続で出してね!」
どうやら、機体番号は仮番号だろう、私達グリフィン隊で設定した番号がボール本体にマーキングされている
番号はそのままで使用しているようだ。
なぜか番号の呼称だけなのだが、聞きなれた番号に懐かしさを感じてしまう・・
2機並んでいるカタパルトから、2秒ほどの間隔を置いて連続でボールが射出された・・
2人とも、ブースターオンのタイミングが少し早い・・ 射出された直後に、MAX出力になるよう
今後も訓練が必要だな・・と感じる・・
「・・・ わぁ・・ ち・・ ちびる・・」
「・・・ え~、え~、え~っ・・ だ、だめぇ・・」
(ちびったな・・)
声だけを聞いていると萌えてしまうが・・ 後からの声がチロル三尉だろう・・
だとしたら、ちびったのは、プラス三尉か・・
というか、かなり大きなブースターなので、YUKIKAZEよりGが強いかもしれない、
カタパルトの台座が発射始点に戻ってきた、ロボットアームがYUKIKAZEをカタパルトに設置する・・
「・・・ ワサビィ! お待たせ! ゆっくり上に乗ってね!」
「了解・・ 女の子に乗るように優しくだよな・・ 私は乗られるほうが好きなんだが・・」
「・・・ あんたの好みなんて、聞いてないわよ・・」
「そうか? 覚えておいて欲しいものだが・・ 損はしないと思うぞ♪」
「・・・ 隊長! 私は覚えましたっ!」
「すまん・・ チコちゃんはまだ覚えなくて良い・・ 私が悪かった・・」
「・・・ そういえば・・・ 前にYUKIKAZEで帰艦したとき、
ウーミンちゃんが隊長のひざの上に乗ってましたよね? あれって隊長の好み?・・」
「チコちゃん・・ もう勘弁してくれ・・ あの時は両艦長に散々絞られたんだから・・」
とか言いながらもYUKIKAZEの後部ブースター部分にジムコマンドを乗り上げ、脚部をフックに掛ける・・
ジムコマンドのメインカメラが、YUKIKAZEの後部座席を捉えていた
中でチコ伍長が手を振っている・・
「いいぞ、固定した・・」
「・・・ ラジャ!
管制塔、発進許可願う、こちらESFSスペースファイターYUKIKAZE
長期に渡り、滞在させていただきアロー市自衛軍には心から感謝をしている。」
「・・・ こちら管制塔、オーリン准尉殿! 我々も色々とご指導いただき、感謝しております。
発進準備オールグリーンです。 チコ伍長もありがとうな♪
カタパルトプレスゲージグリーン!
スペースファイターYUKIKAZE、コンタクトください。ご武運を祈っております!」
「・・・ うん! ありがとう♪ カタパルト発進カウントよろ!」
「・・・ 了解です! YUKIKAZEカウントダウン! 3・2・1・・」
ズンという振動とともに、強烈なGが身体を襲う・・
地上基地に設置されたカタパルトの加速度は、やはりグリフィンなどの簡易カタパルトとは
比較にならない半端ないパワーだ・・
絶妙のタイミングで、YUKIKAZEのブースターが全開になった・・(さすがオーリン・・)
振動の音が大きすぎるのか、スピーカが何かを怒鳴っているのだが、何も聞こえない・・
しばらくすると振動が小さくなる・・ 慣性飛行に入ったのか?
メインカメラで前方を確認しようと、ジムの上半身を起こした・・
「・・・ っちょっと・・ ワサビィ!! 急に上で動かないでよ!
思わず行っちゃいそうになったよ♪・・」
無線通信ではなく、接触通信(ふれあい通信)でオーリンが割り込んできた・・
一旦通常無線のマイクだけを切り、接触通信に切り替える・・
「悪い・・ まさかこんなに早く行っちゃうなんて・・ 若いわね♪ なんてな・・
すまん、前が見たかったんだ・・ ずっとチコちゃんを見ているのもストーカーみたいだろ?」
「・・・ わぁ・・ ずっと見られていたんだ・・ えっちぃ♪」
「いつの時代の言葉だよ? チコちゃん年齢詐称してないか?
というか、YUKIKAZEには、フライトシステムのソフトは組み込まれてないんだな?」
「・・・ かな、あるのか?ないのか?も解らないわ・・アドオンされていてもロードされてないと見えないし
ただ、上でジムが動くと、モーメントをモロに受ける・・ って事は理解したわ・・」
「そうだな・・ ただ、急に上で動く事もあるだろうな・・ そう考えておいてくれ・・
ジムがYUKIKAZEに乗っていると、YUKIKAZEをの上部半球方向に自由にビームガンを撃つ事ができるからな・・」
「・・・ そうだね、うまく連携しロールしたりすると、下部半球にも撃てるよね・・」
「ああ・・
そう考えると、こいつはすごい機動性のある武器になるなぁ・・ 早く量産化に入って欲しいものだ・・」
「・・・ だよね? 今後は宇宙戦闘機乗りは、ほとんどがモビルスーツに機種変更し替わって行くし
セイバーフィッシュのベテランパイロットがいなくなる前に、早く作って欲しいね
MSフライトシステムって確かに使えるかも!」
「さて・・ マスミンが指定した訓練宙域までは、2時間半ぐらいか・・ つうか、ボールにもブースターを
つけているから、この速度でもガボット級と併走できる訳か・・ うまく考えているなぁ・・
まぁ、奴らの訓練までは少し時間があるって事だな・・ じゃ、さっきの話の続きだ、チコも聞いてくれ・・」
と、チーフから聞いた話をオーリン、チコの両名に話す・・
マスミンからの最終的な指示が届いていないため、まずは当初の作戦通りサイド5方面に向かうしかない・・
しかし、サイド5に向かうと、チーフからの情報が正しい場合、YUKIKAZEでぶっ飛ばしても8時間以上かかり
距離的・・、いや時間的に間に合うかどうかが不明だ・・
あと、ザクⅡ/Cを搬入するランデブーポイントから考慮すると、まだヘルシング艦隊はランデブーポイントまで
移動できていないはず・・ というか、まだザクⅡ/Cを受け取っていない・・と考えられる・・
「どう思う?・・」
「・・・ ワサビィはどうなのさ?」
「私は、チーフからの情報が正しいと思う・・
万一、マスミンの言う座標にパプアとムサイが居ても、そいつらは核弾頭は持っちゃ居ない・・
ジャンク屋商会は商売だ、受け渡しの座標は間違いはない! そこにターゲットのワルキューレが居る!
というか、今からそこでザクⅡ/Cを受け取ると考えている・・」
「・・・ そだね・・ ワルキューレは確かにサイド2宙域に向かっているだろうさ・・
ただね、後からこの話を聞いた私が思うに・・
ワルキューレに核弾頭が搭載された可能性はあるものの、100%ではない! て事ね!」
「ん? そうか?」
「・・・ そうだろ? ザクⅡのC型を搭載するのはワルキューレだが、核弾頭を搭載しているのは
どの艦なのか?の情報が無い・・ 単発バズーカもワルキューレの可能性がある・・ってだけだろ・・
違うかな?」
「確かに・・ 確かに言われるとそうだな・・
でもな、この話をチーフから聞いた瞬間に、ビンゴだと思ったんだ・・ 直感だがな・・」
「・・・ ワサビィ得意の野生の感って奴ね♪」
「・・・ 隊長ぉ・・ いいかな?」
「なんだチコ?・・ 言ってみろ・・」
「・・・ マスミン大尉は言ってたよ・・ 最後は隊長の野生の感に任せるって・・ 違ったっけ?」
「・・・ そう・・ 確かにそう言っていたわね・・ 連絡は私が取ろうとしたけど、
何故か何処にも居なかった・・ 今、考えると、これも不思議よね・・」
「ああ・・ 何かあったのかもしれんな・・
とにかく、訓練ポイントは月とL4の中間点、つまりサイド6(リーア)と月の中間点だ・・
そして、マスミンの言う座標は、L1のサイド5(ルウム)に近い位置・・
チーフの情報の座標は、サイド6と同じL4にあるサイド2(ハッチ)の残礁宙域だ・・
訓練場所はちょうどそのど真ん中・・ 訓練後にどちらに行くか? って事だな・・」
「・・・ あのね隊長・・ 提案があるんだけど・・」
「チコ?、いいぞ自由にしゃべって・・」
「・・・ 隊長♪、ありがと!
えっとね・・ ジオンの最終ターゲットは、サイド6のコロニーだよね?
だったらサイド5に居る? ソロモンも近くって、連邦軍もうようよ居るかもしれない宙域にだよ。
でね・・、作戦が始まってから38万kmほど移動しないといけないんだよ? 馬鹿みたいだよね?
訓練するL4の中間点ってのは、マスミン大尉の聞いた情報から訓練宙域を設定したと思うんだけど・・
その情報が正しければ、待ち伏せで奇襲も可能なので、戦力差もカバーできるけど・・
隊長の言う座標の方がもし正しかったら・・ 後追いになって戦術的にも不利になるよね?」
「ああ・・ 確かにそうだが・・」
「・・・ だからね・・ 訓練宙域を変えないと、まずいように思うんだけど・・」
「ん? 訓練後にルウム(サイド5)に行くと、待ち伏せと後追いの半々・・
でも、ハッチ(サイド2)に向かうと奇襲になり、もしマスミンの情報が正しければ、待ち伏せも出来る・・
って事ではないのか?」
「・・・ さすが隊長だね♪ でもね、私が言いたいのはそういう事じゃなくって・・
なんか、訓練がね・・ 嫌な感じがするんだけど・・ だから場所変えない?・・」
「訓練場所をか?」
「・・・ さっき思ったんだけど・・
どうして、ジオン軍の移動は、連邦軍のソロモンへの掃討戦の開始タイミングに合わせるの?
というか・・ ソロモン掃討戦の開始時間をどうしてジオンが知っているの?
おかしいと思わない? チコ達だって、さっき聞いたばかりでしょ?
あとさ・・ ボールの宙域訓練だってさ・・ ボールにブースターを取り付けたばかりだし
考えたら、パイロットの2人も、ボールに乗るのは初めてでしょ?
月とL4の中間点までわざわざ出向く必要なんて、私には全然理解できないんだけど・・
あと、さっき隊長が言ってたけど・・ ジオン側も作戦準備中で移動中なんでしょ?
だとしたら、すごく近い場所に、ジオンが居るような気がして・・
なんかね・・ 訓練最中にジオンの攻撃を受けるんじゃないかな?って・・
チコがジオンだったらそう考えるよ・・ これってまずいよね・・」
「ああ・・ どこかマスミンの情報は違和感がある・・て事だよな・・
アロー市軍のヒックス准将が、ジオンのスパイだったら・・ 」
「・・・ ちょっと、ワサビィ! だったら、キング一尉達もグルって事?」
「それは、解らんだろ・・ グルだとジオンの攻撃があったら、急に敵に回るだろうが、
わざわざ、そこまで仕組むか? それだったら拘束中の私や、基地にいたオーリンを殺害すれば
済むことだ・・ パイロットが不在だと、この作戦は実施不可能になるからな・・
グルの可能性は低いと思う・・ ヒックス准将がスパイだったら単独だろう?」
「・・・ だったら・・ 自分の部下達を見殺しにする気?」
「まぁ・・ ジオンと繋がっていれば、アロー市軍には攻撃するな!ってなってるだろ?
そのため、識別コードを・・ あっ! そうか・・ 今、私達の識別コードは Unkown だな・・
逆に、アロー市軍の奴らは専守防衛だから、自らは攻撃を開始しない・・
でも、奇襲されてたら、多分私達は、戦闘力の弱いアロー市軍を守ろうとするだろう・・
もし、ジオンに情報が渡っていたら、奴らはアロー市軍への攻撃は行わないが、
それが我々にはわからない訳だ・・
そう考えると、ジオンの思うツボか・・ 考えると良く出来た作戦だ・・ 犬死にだよな!」
「・・・ じゃね? カマかけちゃおうか?♪」
「どうやって?」
「・・・ キング一尉にさ・・ 訓練宙域の変更を伝えるの・・
というか・・ 訓練宙域までは想定航路の変更はなしでも良いのだけど、その地点での訓練は
きな臭さを感じる訳だから、訓練はもっと先のL4に近い宙域にする・・ってのはどう?
『地球連邦軍側の都合だから、ごめんね!』って でも、宙では常に状況は変化する!
とか・・ 新しい訓練内容を適当にぶち込めば、グルじゃなければ、速攻で乗ってくる筈!
でも、グルだったら、必要以上に計画宙域での訓練に固執するはずでしょ?
僚機が敵か味方か、不明だなんて、精神衛生上よくないもん お肌だって荒れちゃうし!!
とりま・・ カマかけちゃおうよ!!」
「チコ・・ お前、良い子だな♪ 奴らがグルだと、確かに嫌だよな、確かめるか?」
「・・・ は~い! 良い子で~す♪ やりましょうよ!」
「・・・ そうだね、やりますか♪ 内容は任せるよっワサビィ!」
「じゃ・・ ちょいと考えるか?」
「
<第61話>(SS-2)パブリク突撃艇!」続く・・・
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