<ここまでの話>
「<第1話> から <第16話>までのリンク」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/db812e820f927a8fe6b4ad02703b5e32
「<第17-1話>重力発生装置(1)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3d6bb92df8da3656451e713dc79d4c6c
「<第17-2話>重力発生装置(2)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/8b2a66c9eb5a5d42ed124cda0e4f2838
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カーゴデッキは、戦闘で損傷を受けたハッチも修復され、空気が満たされていた
私が乗っていたボール3号機(チコ伍長機)であるが、表面に残った傷跡は痛々しいが、
既に可動可能にまで修復されている。
サミー曹長の2号機は、完全整備終了していた・・
我グリフィンの整備班の力量は連邦軍でも1、2を争える腕前ではないだろうか・・
素人目に見ても凄い・・
奥では、クマ軍曹機ジムの大修理が実施されている・・ おや? あれは?・・・
「おーい、中尉! 何をしているんだ?」
「あっ たいちょぉ~ 聞いた話ですけど、この子たち、グリフィン所属になるって
聞いたものだから、少しでも早く使えるようにしないと・・って・・」
「聞いた話って・・おいおい・・ 誰から聞いたんだ?」
「・・・ えっとぉ・・ 軍機っす ♪」
(中尉の情報収集力も素晴らしい・・ 乗艦してまだ間が浅いのに、すでに情報網を
確立している・・ さすが、ベリーツーだ♪ でも・・一体どこから?
というか・・ この艦には軍機は無いのか? なんかみんな知っているみたいだ・・)
「まぁいいか・・ で、直りそうか?」
「そうっすね・・ MSデッキのコマンド4機は全部終らせちゃって・・
あとは、この子ぐらいですが・・ ちょっとかかりますね
基盤も、オーリン機に入れちゃったので設定もあるしなぁ・・
でも、整備の連中・・みんな凄いっすよ・・ モチベーションが高くって♪」
「そうだな・・ 私も感謝している・・ 良いチームだ!
それが終ったら、中尉も簡易重力発生装置に入っておけよ・・ 艦長命令だ!」
「うぃっっす♪!!」
中尉は元整備の虫が疼くのだろう・・ 朝早くに来て手伝っていたようだ・・
既にMSデッキ側の私達のジムコマンドは、修理&整備が終了し、ミィ少尉と
リン少尉がスクランブル待機に入っている・・
「そんなに褒めてもらっても、何も出ないですよ♪ 大尉!」
後ろから声がした。サミー曹長だ・・
「おう・・ サミー!・・」
「いやぁ・・中尉には感謝しています・・ 整備の腕もさすがですよ!
要員不足状態でもあったので、本当に助かりました♪」
「そう言ってくれると中尉も嬉しいだろう・・
奴に直接言ってあげてくれ♪」
「了解です・・」
「じゃ・・ 行こうか♪」
「えっ? 行こうか?って・・ ひょっとしたら例の奴ですか?」
「ああ・・本日の索敵は、私が担当なんだが『ボールを使いたい』と艦長に申請したら
OKが出たんでな・・ どうだ? 今日は私と2人で索敵だ!
これは正式なミッションだから コソコソしなくて良いぞ♪
勝手に乗ると軍法会議物だからな♪」
「私も索敵ミッションに出れるのですか?」
「ああ・・ なぜか、簡単に承認されてな・・ ちょっとビックリだ・・」
「やったね!了解です大尉・・ 嬉しいなぁ♪」
「おう! お宝探索大作戦だ!!」
「じゃ、行きますか・・」
私とサミー曹長はクレーンハンガーに吊るされたボールに飛びつきハッチを開け
コックピットに入った・・
メインスイッチをオンにする・・軽いモーターの音がして機器に命が吹き込まれる
機動が早い・・ これがボールの良いところだ・・
通信をオープンにする、
「こちらボール3号機、ワサビィだ、コントロール誰かいるか?」
「・・・ こちらコントロール・・ オーリンよ♪
どうしたの? ワサビィ・・」
「おう・・雌豹さんか・・って・・ えっ、どうしてお前が?・・」
「・・・ いつまでもタダメシ食っている訳には行かないジャン!
で・・ 何の御用事かしら?」
「おう・・艦長に伝えてくれ・・ 索敵に出る、承認をもらいたい」
「・・・ 了解・・ ちょっと待ってね・・
・・・
艦長の承認を確認したわ・・ で・・ ボールね
じゃMSデッキじゃないんだ・・カーゴデッキね・・
発進シーケンスを開始するので、もう少し待っててね・・」
「了解だ・・ 3号機ワサビィ 2号機サミー曹長だ・・
これも艦長に報告済みだ・・ 確認してくれ!」
「・・・ ベリーベース・・ 了解・・」
コンコン コンコン・・ (ん?なんだ?・・)
ボールのハッチを誰かが叩いているのか?・・ 私はハッチをあけてみた・・
「たいちょぉ~ なんか、2人でコソコソとぉ! ズルいっすよぉ!」
「いや・・ その・・ 中尉・・ 索敵には熱源の小さいボールが良いか?と・・」
「言い訳はいいっす! なんか隠してる・・ どこに行くんすか?
で・・ どうして、サミー曹長となんすか?・・
俺だってボールの操縦は出来るのにぃ!! なんか臭うんですけどぉ!」
(さすが中尉・・ 鼻が利く・・)
「じゃ・・ 一緒に行くか?」
「了解!♪ シートの後ろにお邪魔しま~す ♪」
ボールには後ろに若干のスペースがあり、人が1人ぐらいは入れるようになっている・・
「今度、2人が確実に乗れるようにちゃんとした椅子でも付けるべきかもな?」
「そうっすね♪」
「簡易用のベルトは装着しておけよ! 何があるか解らんからな・・」
「了解・・ でも・・ちゃんとベルトが付いてんのになぁ・・
こんな鉄板じゃケツが2つに割れちゃいます・・」
「まぁ有事の際の最低装備だろ・・ あるだけマシってもんだ!
しかし・・ ケツは最初から2つに割れてはないか?・・」
「ですね・・ ♪」
「・・・ ブー、ブー、ブー・・ ボールの発進シーケンスを開始します。
カーゴデッキの減圧開始まであと30秒・・
カーゴデッキの要員はノーマルスーツにヘルメットを装着の事。」
「・・・ 大尉! 12時方向、完全クリアですが、コロニーの残骸は随所にあります。
ご注意を!
・・・
ボール3号機、2号機、発進準備よろし!・・」
「ボールスリー 了解!」
「・・・ ボールツー、サミー了解!・・」
「・・・ ブー、ブー、ブー・・ カーゴデッキハッチオープンします!
カーゴデッキハッチオープンします! 」
ゆっくりとカーゴデッキの扉が開いていくのをモニター越しに確認する・・
「・・・ ベリーベースより、ボールスリー、ボールツーへ
シグナルオールグリーン 進路クリアです 出発OKです! 」
「オーリン曹長・・ ありがとう♪ ボールスリー! ワサビィ 出るぞ!」
「・・・ ボールツー 続いて出ます!」
2機のボールは軽くロケットを吹かし、グリフィンのカーゴデッキから飛び出した
2号機の背後に回り、マニピュレーターで2号機に触れる・・
震動を利用したふれあい通信だ
「サミー聞こえるか? バーニアを使いたくなるなぁ・・」
「・・・ ですね・・ でも、通常は使わないでロケットだけで動けるよう練習しましょ」
「でな・・ 1つ報告すべき重要な事象がある・・」
「・・・ えっ? な・・なんですか?大尉・・」
「こっちにな・・ 実はヒロ中尉がくっついてきた・・」
「・・・ ええっ!! 中尉がですか?」
「ああ・・ さすがベリー小隊だ・・ 鼻が利く・・」
「・・・ まぁ良いじゃないですか・・ リン少尉じゃなくって♪」
「そうかもな・・ じゃ・・ どこに行く・・」
「・・・ 28バンチに行きたいと思っています・・ 外壁に穴はあいていますが、
シリンダー部分の形状はそのままですので・・
宇宙港は破壊されていないと思い・・
あと、とあるお店もあるんですよ ♪」
「そうか・・ 了解だ・・ では29バンチから調査し、その後28バンチに向かうぞ!」
「・・・ 了解です!」
「たいちょぉ・・ とあるお店って・・ 何ですか?」
ヒロ中尉が聞く・・
「それはなぁ お宝さ♪」
「やりぃ♪!・・ やっぱ、付いて来て良かったね♪って」
「でもな・・ ジオンが居なかったら・・って条件付だがな・・」
「28バンチかぁ・・ ジムコマンドで全速だしたら、何分ぐらいかなぁ」
「カタパルトを使用して、約5分って所かな・・」
「じゃ、見つかったら5分頑張れば、なんとかなるっすね・・
でも・・ 会いたくないっすね・・」
「まぁ・・そうだが・・ 見つけるのが我らの任務って、解ってんのか?」
「あっ・・ そっか・・♪」
2機のボールは軽くロケットで方向を修正し、慣性で宇宙をゴミのように流れて行った・・
目の前には、幾つもの破壊されたコロニーと連邦軍の戦艦や宇宙戦闘機の残骸が
見えている・・・ ルウムの戦役での傷痕は今もそのまま放置されているのだ・・
しばらくすると29バンチコロニーが近づいて来た・・ 間近で見るとコロニーの
大きさに驚愕するが・・ このコロニーも30バンチコロニー同様に 完全に崩壊している
割れたコロニーの中に街が見えるが、1年前まではここに人の暮らしがあったのだ・・
戦争という物は、破壊しか生み出さないという事実を突きつけられ
こんな下らない戦争は、早く終らせなければ・・との決意を再認識させられる・・
見えるコロニーに対し、外から見た状況を記録する・・
「29の外観は・・大破・・と・・ 28は小破だな・・ 内側に11,10か・・
今回の索敵範囲はこの辺が限度だな・・」
「たいちょぉ・・ 1チームじゃ滅茶苦茶時間がかかっちゃいますね・・
1つづつ上陸して確認しないと駄目なんしょ?
俺らは外観とちょっと中を索敵して、あとはランチに要員を乗せて、
調べるって方法もありじゃないっすか?」
「ああ・・ そうだな・・
安全なのか?の判断基準が難しいがな・・ 検討課題になる・・
上陸必要性の判断も同様だろう・・ 現場での感性は大事にするべきだろうな・・」
コロニーが近づくと、浮遊するデブリの数も増えてくる、デブリに当たらないよう
調整しながら進むのだが・・ 休み暇もなくなるぐらいのデブリが漂っている・・
しかし、このデブリ地帯を通過する方が、敵に見つかる可能性も格段に低くなるため
このコースを進むしかない・・
こうなるとロケットだけでは上手く行かず、バーニアも使用する・・
「ボールツー サミー曹長、聞こえるか?」
「・・・ サミーです・・ 聞こえます・・」
「29バンチの宇宙港は完全に破壊されているなぁ・・
外観をセンサーで確認するぞ、各種センサーをMAXにしてくれ!
私は宇宙港を含むコロニー外側を確認する、
サミーは破損しているコロニーの内側を捜索してくれ!」
「・・・ 了解!」
小一時間ほどだろうか・・ 色々な個所を探索したが、センサーの反応は
相手のボールを示す光点以外には発見できない・・ 29バンチは問題ないだろう・・
「サミー 次のコロニーに行くぞ! お目当ての28バンチだ!」
「・・・ 待ってました! じゃ、行きますか!・・」
私達が宇宙港側から外に回り込むと、すでにサミー曹長のボール2号機は前を
流れていた・・ ミノフスキー粒子の濃度をチェックするが、異常はない・・
「コロニーに上陸しなくても、思った以上に時間がかかるな・・
このペースだと2つのコロニーで一杯一杯になるか・・」
「コロニーってデカイっすもんね・・やっぱ、ランチ作戦決行っすか?
ジオンがいたら、センサー探索だけでも大きな反応が出るんじゃないのかなぁ・・」
「いや、機能が残っているコロニーだと、センサーに多数反応するだろう・・
そうなったら細かな部分は解らんと考えている・・
またな、ジオンの探索機など、小さな機器が設置されていたら・・
見つける事は不可能だし、逆に相手に見つかっている事にもなるからな・・
小さい部隊で小規模に・・ と思っているのだが・・」
「そうか・・ スパイ装置かぁ・・
ん? 隊長・・ 逆にかかっちゃったら駄目? 相手を呼び出すって方法・・
駄目っすか?・・」
「ほう!?・・ さすが中尉だな♪・・ ボールで飛び回って、察知させ
相手が出てきたら、ジムコマンドで叩く! ってことか・・
良いかもな、ちょっと考えてみるか!」
「・・・ 大尉! 28バンチに近づきましたが、宇宙港の入り口はきれいですね
ただ・・停止しているので、コロニーの回転と一緒に回ってます・・」
「そうか・・ 中からハッチを開けるしかないか・・・
サミー、私が外に出て、メンテ入り口から中に入ってみようと思う・・」
「・・・ 了解・・ ボールはヒロ中尉ですね・・」
「ああ・・ 中尉、ボールを頼む!」
「アイアイサー♪」
ボールの操縦をヒロ中尉と交代した。
外に出るために、ヘルメットの装着を確認し、移動用のエアノズル噴射機を腰に装着
ボールのハッチを空けた・・
目の前一杯にコロニーの宇宙港ハッチが見える・・
肉眼で見るコロニーは巨大だ・・
こんなとてつもなく巨大な建造物を作り上げた人類の偉大さと、
そのコロニーを破壊する愚かさとを、同時に見ることが出来、複雑な心境になる・・
そんな事を考えながら、エアを噴射し、私は宇宙港ハッチの下部にあるコロニー公社用の、
メンテナンス入り口に取り付いた。
電源が落ちているため、ロックの解除が出来ない。緊急用カバーを叩き割り、
中の緊急レバーをマニュアル位置に引き倒した。
メンテナンス入り口に隙間が開き、その隙間から勢い良く空気が噴出し、
その勢いでメンテナンス入り口が開いた。
暫くすると吹き出していた空気も勢いが無くなってきた。
私はメンテナンス入り口から、コロニーの中に入り込んだが、
案の上、小さなエアールームである。
電源が落ちているため、奥のハッチも閉ざされたままである・・
(そういえば、エアーがあったなぁ・・)
あんちょこにハッチを開けることはエアーの噴出による危険が伴なう・・
私は、中から宇宙港ハッチを開ける事のリスクの高さを察知した・・
さて、どうしたものか?・・
外からボールの180ミリ低反動砲でハッチを破壊する方法が一番早いか・・
ただ・・近辺にジオン軍が潜んでいない事が条件である。
180ミリ低反動砲を使用すると、確実にサーマルセンサーに引っかかる・・
敵を誘き寄せる事になりかねない・・
お目当ての、小型船舶用化学ロケット燃料の調達は、このコロニーでは難しいと感じた・・
「サミー曹長・・ 聞こえるか?・・
電源が完全に落ちている、また随所にエアーが残っている・・
ハッチを開けるリスクは高いと思うが・・」
「・・・ 大尉・・ そうですか・・ 仕方ないですね、了解です。
では・・化学ロケット燃料は次のコロニーということで・・」
「そうだな・・ ボールに戻る・・」
「・・・ たいちょぉ~ ・・ 次に行くんすか?」
「そうだな・・」
「・・・ 大尉・・ 次に行く前に、ちょっとだけ・・寄りたい所が・・
破損した穴からコロニーの中に入リたいのですが・・」
「そうだな・・ 目的はボールの燃料だけでは無かったなぁ・・」
「・・・ おっ! 待ってましたってばぁ! お宝っすね ♪」
「ああ・・ そういうことだが・・
サミー・・ 中は空気が無い・・ 回転を合わせて亀裂から入り込んでも、
コロニーの地上部分はかなりのスピードで回転している。
コロニー内壁にボールで着陸するリスクは非常に高いぞ・・
また接地した瞬間に重力がかかる、その衝撃度合いが未知数だ・・
それでも入るか? 」
「・・・ 難しそうですね・・ 中に入ってロケットでコロニーの回転スピードに合わし
接地するまで、低空に下げ着地かぁ・・ 出来るかなぁ・・」
「・・・ サミー曹長ぉ・・ こいつにはマニュピレータがあるでしょ・・
コロニー内でなにか掴まるものを探し、それに掴まれば楽かもね♪」
「・・・ そうですね、中尉・・ 」
「じゃ・・ 掴まれそうな物があるか・・探して見るか・・
中尉! ボールのハッチを開けてくれ!」
「・・・ 了解っ!」
私は、ボールに戻るためにエアノズルを噴射した・・ その時・・
「・・・ あれぇ・・ たいちょ~ぉ・・ なんか光りませんでした? あのコロニーっす・・」
「なに? 光っただと?」
ハッチを開け、ボールから身を乗り出したヒロ中尉が指差す方向に、1つのコロニーが見える・・
この28バンチの1つ内側に位置するの10バンチコロニーだ・・
「どのように光ったのだ?」
「・・・ デブリが太陽を反射しての光じゃないっすね・・
人工的な・・ バーニア炎かロケット噴射のような・・」
10バンチは一見すると破損していないような綺麗な外見を保っているコロニーだ・・
「サミー・・ 非常に申し訳ないが、お宝は後回しのようだな・・」
「・・・ 了解! ジオンですか?」
「可能性はあるな・・
中尉!・・ グリフィンにエマージェンシーコールだ・・・
29バンチの陰にジムコマンドを配置だ・・」
「・・・ 了解っす! 隊長はサミー曹長のボールに搭乗してください!」
「そうだな!・・ サミー・・ボールのハッチを開けてくれ!
10バンチコロニーを偵察するぞ!・・」
「<第19話>10バンチコロニー・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/87f8316d9259230698040d84e13931c3に続く・・・
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(2007/09/25 19:37)