<ここまでの話>
【第1部】
「<第1話> から <第24話>までのリンク」
【第2部】
「<第25話>子にゃんこ」
「<第26話>緊急信号!」
「<第27話>チーム戦!」
「<第28話>ジャジャ馬」
「<第29話>一撃離脱・・」
「<第30話>帰艦・・」
「<第31話>ソロモンへの足音」
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オーリン曹長は片手を挙げて、更衣室に消えていく
氷が溶け、薄くなったジンジャエールを喉に流し込んだ・・
頭の中でさまざまな情報と思考が交差する・・
私は簡易重力発生装置を出て、MSデッキに流れていった
「あはぁ! たいちょ~ なにしてんですかぁ?
さっき、麗しのマスミンちゃんが、こんな顔して探してましたよ~
ねっ! リンちゃん♪」
「バカ・・ そんな顔じゃないわ、こんな顔よ♪」
と、ヒロ中尉とリン少尉が、目を吊り上げた顔を作ってこちらを見ている
「って・・ おまえら・・ マスミンに見られたら知らんぞ!
で・・ リン! お前さっき哨戒任務じゃ・・ 休憩は? 」
「だって・・ 要員が不足ですよぉ・・ 今、ミィちゃんとチコちゃんが飛んでます
まぁ私は待機だから、休憩と同じですけど・・♪」
「そうか・・ すまんな・・ 頑張ってくれ・・
で・・ マスミン大尉だが・・ 何で探してるか言ってたか?」
「いんや・・ ただね
『ワサビィはどこだ!インターセプト待機者はどこに居る!』
って、すごい剣幕でさ・・」
「で・・ そこの楽しげな中尉どのは、なんて答えたんだ?」
「ここには居ませんよ~ スクランブル待機者ならいますけどぉ♪」って
「あちゃぁ・・ そりゃ火に油じゃないか・・」
「また、なんかしたんすか?」
「そうよ! 隊長はいっつも目を付けられてるんだから!
その迷惑が私たちにもかかってるんだから・・」
「こらこら・・ そんなに迷惑か? って、また、はないだろ」
「もう! これだわ・・ ぜんぜん自覚なし!」
「ほんと、そうっすよね♪ リンちゃん!」
「あんたも同じだけど・・」
「わかった・・ ありがと・・ そっか・・ ばれちゃったか・・
で・・ どっちに行った?」
「うん・・ タゴサ中佐も一緒だったよな・・ だからヒポグリフかな?」
「いいえ・・ レイテよ・・ きっと・・」
「ん? レイテって・・ サラミス級か?」
「そう・・ 撃沈された方がサウスジョージアだって・・」
「で・・リンちゃん・・ どうしてレイテなん?」
「だって、さっき整備兵が言ってなかった?
小破したレイテは、負傷兵と捕虜を乗せて、ルナ2に戻るって・・」
「だから?」
「バッカねぇ・・ そうなったら、食料や燃料、その他もろもろの物資は?」
「そっか! グリフィンとヒポグリフに搬送か!」
「でしょ? だから、ここも整備兵だけになってるでしょ?」
「じゃ! 訂正っす! 隊長! レイテっす♪」
「なるほど・・ 負傷兵と捕虜を搬送するのにレイテを使うのか・・
私は、前に中尉が漏らした 補給艦 が連れて帰ると思ってたが・・」
「あっ、その補給艦がヒポグリフっす♪ 間違いない!
でも、戦況が変化しているので、変わったみたいっすね!」
「じゃ、パイロットの増員があるかもしれんな♪」
「申請してたんすか?」
「おう♪」
「可愛い子だったら良いっすね♪」
「だよな・・ って 痛い!」
と、中尉と同時に2人はお尻を押さえ、顔を見合わせる・・
そこには、リン少尉の怖い顔があった・・
「もう・・ 学習って言葉・・2人の辞書には載ってないのかしら・・
で・・ 隊長! あのウーミンって子・・ 一体なんなのよ!」
「いや・・ それは・・ 軍機だ! レイテだな! サンキュ♪」
「いってらっしゃ~い♪」
「もう! また逃げる!!
あっ、それからね~ ヒトハチマルマルに、ブリーフィング集合よ~!」
「オウ!」
レイテは宇宙港のA埠頭に停泊し、被弾した艦橋部の応急修理を行っている
すでに私がA埠頭に到着したときには、大体の荷物をグリフィンやヒポグリフに
搬送完了していた
そんな中、前から数人が流れてくる・・
MSデッキ班長のターチン軍曹だが・・ 他の2人は知らない顔だ・・
「おっ・・ 隊長さん! レイテで宴会やってますぜ!」
「おう軍曹! 宴会なのか?」
「はいな・・ 搬送できない余剰物資などや、新鮮な食材は食べちゃえ!って
艦長が言われて・・ ワシらも今、頂いてきたとこですわ・・
あっ・・ 悪い悪い・・ この大尉はんMS隊の隊長さんや・・
で・・ この2名はヒポグリフのMSデッキ班長さんで・・ えっと・・」
「大尉殿!よろしくお願いします
ヒポグリフMSデッキA班班長、オビッチです ♪」
「そうそう! この姉ちゃん、オビッチはんや! 見てみこの黒帯!
ブラックベルトや! すごいやろ? 同じサイド1の出身や!」
「サイド1かぁ、私も同じや!
で・・ なんでベルトの代わりに帯なんや?」
「みんなに言われますね・・ でも! 帯をギュっと締めたら
気合が入りますよ! 気分も良くなりますし、姿勢もね ♪
ミスゼロがうちらの使命ですから! 大尉殿も、帯しめまひょか?」
「そうやな・・ それもええかもしれん
根性入れるときに相談するわ、こちらこそよろしく!」
「で・・ こちらが・・」
「同じく! MSデッキB班班長、モジトです!」
「そうそう・・ モジトはんって、すごいんやで!
サイド6でバーを経営してるんや! どんなカクテルでも作るんやて!
まぁ、予備役やさかいに、今回担ぎ出されたって事やんな?」
「まぁ・・ 私はリザーブ(予備役)ですので、仕方が無いです。
戦争が終わりましたら、ぜひ店にお寄りください。
最高のカクテルを、ご馳走しますよ! ヒポグリフの命の恩人ですから♪
実は・・大尉とは、2度目です。YUKIKAZE発進時に担当しましたから・・」
「そうか! 実は先週までサイド6のリボー駐留してたんだぜ!
どこのコロニーだ?」
「同じです。私もリボーですよ♪ ただ地下1層ですがね・・」
「そうか・・ もっと早く知り合えば・・
で・・ 女の子は? 居るんだろうな?」
「♪ 大尉殿はそちらの方ですか? もちろんです!」
「軍曹! 今日から貴様は、私の親友だ♪
で・・疑問があるんだが・・ どうして班長が2人も要るんだ?
というか・・ YUKIKAZEって・・ 何だ? セイバーブースターか?」
「あっ・・ それは私が答えるわね・・
大尉、ヒポグリフはグリフィンとは違って、右舷左舷のデッキにも2機づつ
合計4機のカタパルトを装備しているMS運用艦になっているのよ。
サイドハッチを開いて、MSを収納してから、燃料補給と弾薬の補充を
実施して、フロントハッチから再発進するまで、3分なんですよ。
その運用を実現するために、右舷と左舷は別の管理下で運用しています・・
だから2チーム・・ お分かりになりました?」
「お・・ おい! 軍曹・・ いや・・ターチン軍曹!
(3人とも軍曹か・・ ややこしい・・)
聞いたか? ほら!私が前に言っただろ!
3分で再発進可能だと、彼らは言っているぞ!」
「いや、ちゃんと聞いてぇな、隊長さん・・ 片舷に2機でっせ!
こっちのはたった1機や・・ ハッチはフロントだけやし・・」
「ああ・・ そう言ったなぁ・・ でも、なんで2機?」
「それはね・・ グリフィンは重力下での運用を考慮した装備を、
宇宙に持ってきた場合に、どのような課題が発生するのか? がポイントで
テスト実施していましたけど、うちらのヒポグリフは、
当初から宇宙だけで運用する場合に一番適した形は?という要求仕様で設計され
テストしていました・・ その差だとおもいますが・・」
「まぁ・・ 簡単にいうとやな・・ グリフィンはジャブローでの改修設計や、
でも、ヒポグリフはルナ2の改修設計・・というこっちゃな」
「ということは、ヒポグリフの方が運用艦の能力としてはグリフィンの上か?」
「まぁ、一概には言えんやろ・・ ヒポグリフは砲艦やないし・・」
「ターチン軍曹・・ ここは私が補足します・・」
と、モジト軍曹が割り込む・・
「実は、こんな話を聞いています・・
ジャブローの設計は宇宙には向かない・・と・・
宇宙でのMS運用は、どう考えてもジオン軍の方が上です。
連邦にはそのノウハウがありません!
だから、ジオン軍軽巡洋艦ムサイ級のデッキを参考に設計されています」
「何? ひょっとしたら・・」
「はい!さすが隊長さんですね♪
その通り! 片舷に2機ですが、1機は床に、そして1機は天井にあります
そのため、補給に混乱がなく、再発進に3分を切る運用が可能なんです・・
地球から宇宙を眺めていても、そんな設計は思いつきません・・
まぁ、新型の揚陸艇は、重力下でも運用されるとのことですので、
確かに、グリフィンでのテストは重要ですが・・ 宇宙軍に必要な装備としては
ヒポグリフの装備が勝っていると言われています。」
「モジト軍曹!説得力があるな・・ 確かにそうだろう・・
そう考えたら、ヒポグリフは、我ら宇宙軍にとってはすごい艦だなぁ・・」
「はい・・ あと・・軍機ですが・・ MS4機同時射出も可能ですよ♪」
「なんだって! すごいじゃないか!!」
「だからぁ・・ 軍機ですよ、絶対に秘密にしてくださいよ・・
タゴサ艦長って・・ 怖いんだから・・」
「おう! 解ってるさ! 悪いようにはしないから♪
それで・・ YUKIKAZEってのは?」
「あれ?ごらんではないのですか? セイバーブースターの側舷に書かれてます」
「そうなのか? 見てなかった・・」
「聞いた話ですが、その名前は、前世紀の大きな戦争で活躍した駆逐艦の名前で
開戦時から終戦まで、ほとんどの大きな作戦に参加し、
どんな激戦でも戦果をあげて、必ず戻ってきた不沈艦だとか・・
すごいのは、その艦での戦死者が累計でも1桁だったとも・・
幸運艦ってことですね。
で・・そのYUKIKAZEが参加した有名な海戦がソロモン海戦とかで・・
ハービック社の研究者が、ゲン担ぎで書いたのかもしれませんね・・」
「そういえば・・ そんな艦が存在した事を戦史で聞いたようにも思うが
まぁ良い名前じゃないか 幸運艦かぁ・・ だから、助かったのかもしれんな♪」
「そうかもしれませんね♪ では!私たちはこれで・・」
「じゃ、ワシもヒッポに行って来るわ!」
「なんや、ターチン♪ もう略語か?」
「おう! そういうこっちゃ!」
私はターチン軍曹達と分かれ、レイテに向かった・・
元々輸送船として設計され、それをを改装したグリフィンとは違い、
最初から軍艦として作られたサラミス級巡洋艦の移住性は、グリフィンの比ではない。
食事も保存食ばかりのグリフィンとは異なり、新鮮な野菜や果物も用意されている。
やはり搭乗員が100人程のグリフィンと、300人以上のサラミスでは比較する事が
おかしな話だ。まぁ、グリフィンがカプセルホテルなら、
サラミス級は一流ホテルのスィートルーム・・ それぐらいの差だと考えても
間違いはない・・
(良し! 美味しいものを食べてやろう・・♪)
と、思わず笑顔になっている自分がいた・・
・・・
ミィ少尉から哨戒任務の報告を聞きながら、時計を見ると
時刻が18時になろうとしていた・・
「ミィ・・ ブリーフィングの時間だ・・ 行くぞ・・」
「はぁい♪」
私とミィ少尉は、ブリーフィングルームに流れていく・・
中に入ると・・ 二酸化炭素濃度は大丈夫か? と不安にもなってしまうほどの
すごい人数が集まっていた・・
先ほど会った、MSデッキ班長3軍曹の顔も見える事から、ヒポグリフの
要員も参加しているのだろう・・
「たいちょ~ こっちこっち! 遅いっすよぉ・・」
ヒロ中尉に呼ばれるまま、隣の席に着き、1つ後ろのユカ少尉の横にミィ少尉が
滑り込んだ・・
「たいちょ~ 一番後ろに可愛いウエーブ発見っす!」
「何♪ そうか!」 と後ろを向いた瞬間にリン少尉の顔が全面に・・
「はいはい! 前を向いて! 会議がはじまりますよ!」
まぁ、楽しみは後に取って置くか・・と、ヒロ中尉と顔を見合わせた時
ドアが開き、艦長、副艦長、参謀、そしてタゴサ中佐と
見慣れぬ中尉が入ってきた・・
「アテンション!」
当番の号令で全員が起立し敬礼・・ いつもの光景だが、人数が多いので
壮観な感じがする・・
「レスト!・・ 着席して・・」マメハ艦長が話を始めた・・
「初めて見る顔も居るわね、私はグリフィン艦長のマメハです。
そして、副艦長のクロヒッツと、参謀のマスミンね。
本日付けで我ら第21独立部隊は、第21独立戦隊に昇格し、僚艦にヒポグリフを
迎える事になりました。 こちらがヒポグリフ艦長のタゴサ中佐と
副長のマサップ中尉ね。中尉は整備班も統括しています。
それでね・・同時に、グリフィンは戦隊旗艦となり、私は戦隊長とのことで、
艦長はクロヒッツ少佐が赴任されます。
皆さん、いいわね? ただ、戦闘時はクロヒッツに砲雷長をお願いするので
あまり変わらないとは思うけど・・ 皆さん協力してね♪
尚、ご心配のレイテですが、応急修理後に負傷兵と捕虜をルナ2に搬送
しますので戦列を離れます・・ あとは、マスミン参謀・・ お願いね♪」
「では! ブリーフィングをはじめます・・」
マスミン特務大尉が口を開き、今後の作戦についての説明が始まった・・
内容的には、オーリン曹長に聞いた話と同じだが、具体的な時刻設定など
詳細なスケジュールの説明となっていた・・
チェンバロ作戦・・ その作戦開始時刻前に、指定空域に集まる事が
決まっているだけで、その後の作戦は集合地点で告げられるとの事・・
ただ、それまでは、訓練と哨戒が主な任務となり、特筆すべき事項として
無駄な戦闘はできるだけ控えるよう、通達も発信されてとの事だ・・
つまり、ジオン軍と遭遇したら、全能力を駆使し、全力で逃げろ・・という事
それだけ、戦力を温存する必要がある・・という事で、今回の作戦が
重要な作戦である事を物語っている・・
「最後に、人事についての発表がある・・ ヒロ中尉、前へ!」
「おい・・ 中尉・・ お前、何かしたのか?」
「そんなぁ・・何もないっすよぉ・・」
「早くしろ! 中尉!」
「は・・ はい!・・」
「ヒロ中尉にこれを!」
中尉が受け取った物は・・ 一枚の記章だった・・
その記章は、小隊長の記章!・・
「えっ? これ・・ これって 俺が隊長?」
「そうだ! 精進しろよ! 期待しているぞ♪」
「イエス・サー!
た・・ 隊長!! ほらこれ! 俺!隊長に・・って あれ? 隊長は?」
「バカ! 早く席に戻れ・・」
(って・・ 何も聞いてないぞ!・・ まぁヒロ中尉が小隊長は、納得だが)
「次! ユカ少尉! 同じく、小隊長を命ずる!」
「えっ? 私?・・ なんで?」
「やったね♪ ユカちゃん! 早く行かないと、
マスミン大尉のの気が変わっちゃうよ♪ さぁ!」
「もう・・ ミィったらぁ・・」
「何をボケッとしている、正しい評価だ、期待している頼むぞ!」
「は・・ ハイ! 了解であります!」
「次! オーリン准尉! 前へ!」
その時、ルームにざわめきが走った・・ 皆が耳を疑ったのだ・・
「早くしろ、准尉!」
「おい・・ オーリン・・ お前だぞ! 准尉だぞ!」
誰かが口笛を鳴らした!! 大きな歓声が沸きあがる!
准尉と言う位は、確かに少尉の下ではあるが、扱いはそうではない。
曹兵(曹長、軍曹、伍長の曹、そして、兵長、上等兵、一等兵、二等兵の兵)の
最高位を表す位が准尉という位であり、皆がなれるものではなく
曹兵のトップの意味を持つ。
「やったな! オーリン! 准尉さまだ!!」
「さすが、ルウムの雌豹! 二つ名は伊達じゃないぜ!」
「ほら・・ どうした、おしっこちびったのか? 早く行け!」
皆が口々に囃し立て、オーリン曹長・・ いや准尉が前に進んだ。
壇上ではマスミン特務大尉が微笑んでいる (へぇ・・こういう顔もするんだ・・)
「オーリン准尉、貴官に小隊長と、中隊付准尉を命ずる、頼むぞ!」
「はっ! 命に代えて職務を遂行します!」
「さて・・ これで、終わりかな・・」
(おいおい・・ 私は? ちょっと待て・・オーリンが中隊付きって?)
と思った時、隣のヒロ中尉が
「あのぉ~ 質問っす」
「なんだ? ヒロ小隊長?」
「えっ・・ いや・・ 良いなぁ、もう一度呼んでください♪」
「ああ良いぞ・・ ヒロ小隊長! なんだ?」
「ウキぃ~ 最高っすね!! ねっ!たいちょ・・って おっ! そうだそうだ!
マスミン大尉! 質問です。 あのぉ・・ 元?隊長は?・・ 」
「ん? スクランブル待機者だと、艦長や私に嘘をつき、更にレイテで美味い飯を
食ってた、卑怯者の根性無しの誰かさんの事か?」
(あちゃ~・・ やっぱり怒ってる・・・)
「ねぇねぇ・・ ユカぁ・・ どうしてマスミンって、いつも隊長にきついの?」
「そんなの、解るじゃない・・ きっとあれよ あれ・・」
「そっか・・ あれかぁ」
「こら! そこ!何をゴチャゴチャ言ってるんだ! 聞こえないぞ!
意見があるなら大きな声で言え!」
「ありません! サー!」
「ふんまぁ良い・・ どうやら部屋に忘れてきたようだ♪・・
ワサビィ大尉、あとで部屋まで取りに来るように、貴殿にMS中隊長を命ず!」
「ふっ・・ 了解だ!・・ というか・・ 他の話は?
MSパイロット増員などはどうなった?」
「それは、この後の小隊長会議で説明する
あっ・・ そうだ・・ ワサビィ・・1つ残念な事がある・・
タゴサ中佐配下のウーミン伍長な・・ 伍長も貴様の部下だ・・
もう、これで、デートは出来ないよな♪」
「おい・・ そんな事をここで言わなくても・・」
「あれぇ・・ 隊長ぉ やっぱりナンパ済みだったんすね♪」
「もう! 隊長はいつもそうなんだから!」
「見ろ! ヒロ中尉やリン少尉、それだけではない、皆に慕われているじゃないか!
みんなも聞いてくれ! 私は中隊長として、ちゃんとして欲しいと思っている!
中隊長とは指揮監督下にある部下に対し、懲戒処分をも行うことができる
部隊長なんだぞ! 権限がなかった小隊長とは違うんだ!
服務指導! 中隊長は艦内服務にあたって、部下と真に一体となって率先垂範に努め、
隊員相互の親和を助長し、もって中隊長を核心として強固に団結した中隊をつくり上げ
なければならない!・・ 解っているよな?
それじゃ、各小隊長とパイロットは残ってくれ、要員の新規配属と移動・・
そして、各小隊のチーム編成について説明する・・
以上! ブリーフィングを終了する、解散!」
と、他のメンバーが部屋を出ようとした時であった・・
艦内を緊急通信アラームが鳴り響いた
「・・・ 艦長! こちらブリッジ、緊急通信です!」
「何? どうしたの? 繋いでいいわよ!」
「・・・ 了解! 繋ぎます!」
その緊急通信の内容は、サイド6リボーコロニー内で、本日19日午後18時40分頃、
ジオン軍モビルスーツがコロニー内に進入、連邦軍モビルスーツ隊と戦闘になり、
これを撃破するも、多くの死者やコロニーのへの破損が発生した。
この事態を重く判断(2日前に締結のサイド6との安全保障条約)した連邦政府は、
サイド6近海地区に展開する連邦軍艦船に通達し、ジオン艦船の掃討を命令する
・・ という内容であった
尚、侵入したジオン軍MSは、たったの1機だとか・・
<第33話>喧嘩売ってんの!に続く・・・
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Copyright ichigowasabi
【第1部】
「<第1話> から <第24話>までのリンク」
【第2部】
「<第25話>子にゃんこ」
「<第26話>緊急信号!」
「<第27話>チーム戦!」
「<第28話>ジャジャ馬」
「<第29話>一撃離脱・・」
「<第30話>帰艦・・」
「<第31話>ソロモンへの足音」
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オーリン曹長は片手を挙げて、更衣室に消えていく
氷が溶け、薄くなったジンジャエールを喉に流し込んだ・・
頭の中でさまざまな情報と思考が交差する・・
私は簡易重力発生装置を出て、MSデッキに流れていった
「あはぁ! たいちょ~ なにしてんですかぁ?
さっき、麗しのマスミンちゃんが、こんな顔して探してましたよ~
ねっ! リンちゃん♪」
「バカ・・ そんな顔じゃないわ、こんな顔よ♪」
と、ヒロ中尉とリン少尉が、目を吊り上げた顔を作ってこちらを見ている
「って・・ おまえら・・ マスミンに見られたら知らんぞ!
で・・ リン! お前さっき哨戒任務じゃ・・ 休憩は? 」
「だって・・ 要員が不足ですよぉ・・ 今、ミィちゃんとチコちゃんが飛んでます
まぁ私は待機だから、休憩と同じですけど・・♪」
「そうか・・ すまんな・・ 頑張ってくれ・・
で・・ マスミン大尉だが・・ 何で探してるか言ってたか?」
「いんや・・ ただね
『ワサビィはどこだ!インターセプト待機者はどこに居る!』
って、すごい剣幕でさ・・」
「で・・ そこの楽しげな中尉どのは、なんて答えたんだ?」
「ここには居ませんよ~ スクランブル待機者ならいますけどぉ♪」って
「あちゃぁ・・ そりゃ火に油じゃないか・・」
「また、なんかしたんすか?」
「そうよ! 隊長はいっつも目を付けられてるんだから!
その迷惑が私たちにもかかってるんだから・・」
「こらこら・・ そんなに迷惑か? って、また、はないだろ」
「もう! これだわ・・ ぜんぜん自覚なし!」
「ほんと、そうっすよね♪ リンちゃん!」
「あんたも同じだけど・・」
「わかった・・ ありがと・・ そっか・・ ばれちゃったか・・
で・・ どっちに行った?」
「うん・・ タゴサ中佐も一緒だったよな・・ だからヒポグリフかな?」
「いいえ・・ レイテよ・・ きっと・・」
「ん? レイテって・・ サラミス級か?」
「そう・・ 撃沈された方がサウスジョージアだって・・」
「で・・リンちゃん・・ どうしてレイテなん?」
「だって、さっき整備兵が言ってなかった?
小破したレイテは、負傷兵と捕虜を乗せて、ルナ2に戻るって・・」
「だから?」
「バッカねぇ・・ そうなったら、食料や燃料、その他もろもろの物資は?」
「そっか! グリフィンとヒポグリフに搬送か!」
「でしょ? だから、ここも整備兵だけになってるでしょ?」
「じゃ! 訂正っす! 隊長! レイテっす♪」
「なるほど・・ 負傷兵と捕虜を搬送するのにレイテを使うのか・・
私は、前に中尉が漏らした 補給艦 が連れて帰ると思ってたが・・」
「あっ、その補給艦がヒポグリフっす♪ 間違いない!
でも、戦況が変化しているので、変わったみたいっすね!」
「じゃ、パイロットの増員があるかもしれんな♪」
「申請してたんすか?」
「おう♪」
「可愛い子だったら良いっすね♪」
「だよな・・ って 痛い!」
と、中尉と同時に2人はお尻を押さえ、顔を見合わせる・・
そこには、リン少尉の怖い顔があった・・
「もう・・ 学習って言葉・・2人の辞書には載ってないのかしら・・
で・・ 隊長! あのウーミンって子・・ 一体なんなのよ!」
「いや・・ それは・・ 軍機だ! レイテだな! サンキュ♪」
「いってらっしゃ~い♪」
「もう! また逃げる!!
あっ、それからね~ ヒトハチマルマルに、ブリーフィング集合よ~!」
「オウ!」
レイテは宇宙港のA埠頭に停泊し、被弾した艦橋部の応急修理を行っている
すでに私がA埠頭に到着したときには、大体の荷物をグリフィンやヒポグリフに
搬送完了していた
そんな中、前から数人が流れてくる・・
MSデッキ班長のターチン軍曹だが・・ 他の2人は知らない顔だ・・
「おっ・・ 隊長さん! レイテで宴会やってますぜ!」
「おう軍曹! 宴会なのか?」
「はいな・・ 搬送できない余剰物資などや、新鮮な食材は食べちゃえ!って
艦長が言われて・・ ワシらも今、頂いてきたとこですわ・・
あっ・・ 悪い悪い・・ この大尉はんMS隊の隊長さんや・・
で・・ この2名はヒポグリフのMSデッキ班長さんで・・ えっと・・」
「大尉殿!よろしくお願いします
ヒポグリフMSデッキA班班長、オビッチです ♪」
「そうそう! この姉ちゃん、オビッチはんや! 見てみこの黒帯!
ブラックベルトや! すごいやろ? 同じサイド1の出身や!」
「サイド1かぁ、私も同じや!
で・・ なんでベルトの代わりに帯なんや?」
「みんなに言われますね・・ でも! 帯をギュっと締めたら
気合が入りますよ! 気分も良くなりますし、姿勢もね ♪
ミスゼロがうちらの使命ですから! 大尉殿も、帯しめまひょか?」
「そうやな・・ それもええかもしれん
根性入れるときに相談するわ、こちらこそよろしく!」
「で・・ こちらが・・」
「同じく! MSデッキB班班長、モジトです!」
「そうそう・・ モジトはんって、すごいんやで!
サイド6でバーを経営してるんや! どんなカクテルでも作るんやて!
まぁ、予備役やさかいに、今回担ぎ出されたって事やんな?」
「まぁ・・ 私はリザーブ(予備役)ですので、仕方が無いです。
戦争が終わりましたら、ぜひ店にお寄りください。
最高のカクテルを、ご馳走しますよ! ヒポグリフの命の恩人ですから♪
実は・・大尉とは、2度目です。YUKIKAZE発進時に担当しましたから・・」
「そうか! 実は先週までサイド6のリボー駐留してたんだぜ!
どこのコロニーだ?」
「同じです。私もリボーですよ♪ ただ地下1層ですがね・・」
「そうか・・ もっと早く知り合えば・・
で・・ 女の子は? 居るんだろうな?」
「♪ 大尉殿はそちらの方ですか? もちろんです!」
「軍曹! 今日から貴様は、私の親友だ♪
で・・疑問があるんだが・・ どうして班長が2人も要るんだ?
というか・・ YUKIKAZEって・・ 何だ? セイバーブースターか?」
「あっ・・ それは私が答えるわね・・
大尉、ヒポグリフはグリフィンとは違って、右舷左舷のデッキにも2機づつ
合計4機のカタパルトを装備しているMS運用艦になっているのよ。
サイドハッチを開いて、MSを収納してから、燃料補給と弾薬の補充を
実施して、フロントハッチから再発進するまで、3分なんですよ。
その運用を実現するために、右舷と左舷は別の管理下で運用しています・・
だから2チーム・・ お分かりになりました?」
「お・・ おい! 軍曹・・ いや・・ターチン軍曹!
(3人とも軍曹か・・ ややこしい・・)
聞いたか? ほら!私が前に言っただろ!
3分で再発進可能だと、彼らは言っているぞ!」
「いや、ちゃんと聞いてぇな、隊長さん・・ 片舷に2機でっせ!
こっちのはたった1機や・・ ハッチはフロントだけやし・・」
「ああ・・ そう言ったなぁ・・ でも、なんで2機?」
「それはね・・ グリフィンは重力下での運用を考慮した装備を、
宇宙に持ってきた場合に、どのような課題が発生するのか? がポイントで
テスト実施していましたけど、うちらのヒポグリフは、
当初から宇宙だけで運用する場合に一番適した形は?という要求仕様で設計され
テストしていました・・ その差だとおもいますが・・」
「まぁ・・ 簡単にいうとやな・・ グリフィンはジャブローでの改修設計や、
でも、ヒポグリフはルナ2の改修設計・・というこっちゃな」
「ということは、ヒポグリフの方が運用艦の能力としてはグリフィンの上か?」
「まぁ、一概には言えんやろ・・ ヒポグリフは砲艦やないし・・」
「ターチン軍曹・・ ここは私が補足します・・」
と、モジト軍曹が割り込む・・
「実は、こんな話を聞いています・・
ジャブローの設計は宇宙には向かない・・と・・
宇宙でのMS運用は、どう考えてもジオン軍の方が上です。
連邦にはそのノウハウがありません!
だから、ジオン軍軽巡洋艦ムサイ級のデッキを参考に設計されています」
「何? ひょっとしたら・・」
「はい!さすが隊長さんですね♪
その通り! 片舷に2機ですが、1機は床に、そして1機は天井にあります
そのため、補給に混乱がなく、再発進に3分を切る運用が可能なんです・・
地球から宇宙を眺めていても、そんな設計は思いつきません・・
まぁ、新型の揚陸艇は、重力下でも運用されるとのことですので、
確かに、グリフィンでのテストは重要ですが・・ 宇宙軍に必要な装備としては
ヒポグリフの装備が勝っていると言われています。」
「モジト軍曹!説得力があるな・・ 確かにそうだろう・・
そう考えたら、ヒポグリフは、我ら宇宙軍にとってはすごい艦だなぁ・・」
「はい・・ あと・・軍機ですが・・ MS4機同時射出も可能ですよ♪」
「なんだって! すごいじゃないか!!」
「だからぁ・・ 軍機ですよ、絶対に秘密にしてくださいよ・・
タゴサ艦長って・・ 怖いんだから・・」
「おう! 解ってるさ! 悪いようにはしないから♪
それで・・ YUKIKAZEってのは?」
「あれ?ごらんではないのですか? セイバーブースターの側舷に書かれてます」
「そうなのか? 見てなかった・・」
「聞いた話ですが、その名前は、前世紀の大きな戦争で活躍した駆逐艦の名前で
開戦時から終戦まで、ほとんどの大きな作戦に参加し、
どんな激戦でも戦果をあげて、必ず戻ってきた不沈艦だとか・・
すごいのは、その艦での戦死者が累計でも1桁だったとも・・
幸運艦ってことですね。
で・・そのYUKIKAZEが参加した有名な海戦がソロモン海戦とかで・・
ハービック社の研究者が、ゲン担ぎで書いたのかもしれませんね・・」
「そういえば・・ そんな艦が存在した事を戦史で聞いたようにも思うが
まぁ良い名前じゃないか 幸運艦かぁ・・ だから、助かったのかもしれんな♪」
「そうかもしれませんね♪ では!私たちはこれで・・」
「じゃ、ワシもヒッポに行って来るわ!」
「なんや、ターチン♪ もう略語か?」
「おう! そういうこっちゃ!」
私はターチン軍曹達と分かれ、レイテに向かった・・
元々輸送船として設計され、それをを改装したグリフィンとは違い、
最初から軍艦として作られたサラミス級巡洋艦の移住性は、グリフィンの比ではない。
食事も保存食ばかりのグリフィンとは異なり、新鮮な野菜や果物も用意されている。
やはり搭乗員が100人程のグリフィンと、300人以上のサラミスでは比較する事が
おかしな話だ。まぁ、グリフィンがカプセルホテルなら、
サラミス級は一流ホテルのスィートルーム・・ それぐらいの差だと考えても
間違いはない・・
(良し! 美味しいものを食べてやろう・・♪)
と、思わず笑顔になっている自分がいた・・
・・・
ミィ少尉から哨戒任務の報告を聞きながら、時計を見ると
時刻が18時になろうとしていた・・
「ミィ・・ ブリーフィングの時間だ・・ 行くぞ・・」
「はぁい♪」
私とミィ少尉は、ブリーフィングルームに流れていく・・
中に入ると・・ 二酸化炭素濃度は大丈夫か? と不安にもなってしまうほどの
すごい人数が集まっていた・・
先ほど会った、MSデッキ班長3軍曹の顔も見える事から、ヒポグリフの
要員も参加しているのだろう・・
「たいちょ~ こっちこっち! 遅いっすよぉ・・」
ヒロ中尉に呼ばれるまま、隣の席に着き、1つ後ろのユカ少尉の横にミィ少尉が
滑り込んだ・・
「たいちょ~ 一番後ろに可愛いウエーブ発見っす!」
「何♪ そうか!」 と後ろを向いた瞬間にリン少尉の顔が全面に・・
「はいはい! 前を向いて! 会議がはじまりますよ!」
まぁ、楽しみは後に取って置くか・・と、ヒロ中尉と顔を見合わせた時
ドアが開き、艦長、副艦長、参謀、そしてタゴサ中佐と
見慣れぬ中尉が入ってきた・・
「アテンション!」
当番の号令で全員が起立し敬礼・・ いつもの光景だが、人数が多いので
壮観な感じがする・・
「レスト!・・ 着席して・・」マメハ艦長が話を始めた・・
「初めて見る顔も居るわね、私はグリフィン艦長のマメハです。
そして、副艦長のクロヒッツと、参謀のマスミンね。
本日付けで我ら第21独立部隊は、第21独立戦隊に昇格し、僚艦にヒポグリフを
迎える事になりました。 こちらがヒポグリフ艦長のタゴサ中佐と
副長のマサップ中尉ね。中尉は整備班も統括しています。
それでね・・同時に、グリフィンは戦隊旗艦となり、私は戦隊長とのことで、
艦長はクロヒッツ少佐が赴任されます。
皆さん、いいわね? ただ、戦闘時はクロヒッツに砲雷長をお願いするので
あまり変わらないとは思うけど・・ 皆さん協力してね♪
尚、ご心配のレイテですが、応急修理後に負傷兵と捕虜をルナ2に搬送
しますので戦列を離れます・・ あとは、マスミン参謀・・ お願いね♪」
「では! ブリーフィングをはじめます・・」
マスミン特務大尉が口を開き、今後の作戦についての説明が始まった・・
内容的には、オーリン曹長に聞いた話と同じだが、具体的な時刻設定など
詳細なスケジュールの説明となっていた・・
チェンバロ作戦・・ その作戦開始時刻前に、指定空域に集まる事が
決まっているだけで、その後の作戦は集合地点で告げられるとの事・・
ただ、それまでは、訓練と哨戒が主な任務となり、特筆すべき事項として
無駄な戦闘はできるだけ控えるよう、通達も発信されてとの事だ・・
つまり、ジオン軍と遭遇したら、全能力を駆使し、全力で逃げろ・・という事
それだけ、戦力を温存する必要がある・・という事で、今回の作戦が
重要な作戦である事を物語っている・・
「最後に、人事についての発表がある・・ ヒロ中尉、前へ!」
「おい・・ 中尉・・ お前、何かしたのか?」
「そんなぁ・・何もないっすよぉ・・」
「早くしろ! 中尉!」
「は・・ はい!・・」
「ヒロ中尉にこれを!」
中尉が受け取った物は・・ 一枚の記章だった・・
その記章は、小隊長の記章!・・
「えっ? これ・・ これって 俺が隊長?」
「そうだ! 精進しろよ! 期待しているぞ♪」
「イエス・サー!
た・・ 隊長!! ほらこれ! 俺!隊長に・・って あれ? 隊長は?」
「バカ! 早く席に戻れ・・」
(って・・ 何も聞いてないぞ!・・ まぁヒロ中尉が小隊長は、納得だが)
「次! ユカ少尉! 同じく、小隊長を命ずる!」
「えっ? 私?・・ なんで?」
「やったね♪ ユカちゃん! 早く行かないと、
マスミン大尉のの気が変わっちゃうよ♪ さぁ!」
「もう・・ ミィったらぁ・・」
「何をボケッとしている、正しい評価だ、期待している頼むぞ!」
「は・・ ハイ! 了解であります!」
「次! オーリン准尉! 前へ!」
その時、ルームにざわめきが走った・・ 皆が耳を疑ったのだ・・
「早くしろ、准尉!」
「おい・・ オーリン・・ お前だぞ! 准尉だぞ!」
誰かが口笛を鳴らした!! 大きな歓声が沸きあがる!
准尉と言う位は、確かに少尉の下ではあるが、扱いはそうではない。
曹兵(曹長、軍曹、伍長の曹、そして、兵長、上等兵、一等兵、二等兵の兵)の
最高位を表す位が准尉という位であり、皆がなれるものではなく
曹兵のトップの意味を持つ。
「やったな! オーリン! 准尉さまだ!!」
「さすが、ルウムの雌豹! 二つ名は伊達じゃないぜ!」
「ほら・・ どうした、おしっこちびったのか? 早く行け!」
皆が口々に囃し立て、オーリン曹長・・ いや准尉が前に進んだ。
壇上ではマスミン特務大尉が微笑んでいる (へぇ・・こういう顔もするんだ・・)
「オーリン准尉、貴官に小隊長と、中隊付准尉を命ずる、頼むぞ!」
「はっ! 命に代えて職務を遂行します!」
「さて・・ これで、終わりかな・・」
(おいおい・・ 私は? ちょっと待て・・オーリンが中隊付きって?)
と思った時、隣のヒロ中尉が
「あのぉ~ 質問っす」
「なんだ? ヒロ小隊長?」
「えっ・・ いや・・ 良いなぁ、もう一度呼んでください♪」
「ああ良いぞ・・ ヒロ小隊長! なんだ?」
「ウキぃ~ 最高っすね!! ねっ!たいちょ・・って おっ! そうだそうだ!
マスミン大尉! 質問です。 あのぉ・・ 元?隊長は?・・ 」
「ん? スクランブル待機者だと、艦長や私に嘘をつき、更にレイテで美味い飯を
食ってた、卑怯者の根性無しの誰かさんの事か?」
(あちゃ~・・ やっぱり怒ってる・・・)
「ねぇねぇ・・ ユカぁ・・ どうしてマスミンって、いつも隊長にきついの?」
「そんなの、解るじゃない・・ きっとあれよ あれ・・」
「そっか・・ あれかぁ」
「こら! そこ!何をゴチャゴチャ言ってるんだ! 聞こえないぞ!
意見があるなら大きな声で言え!」
「ありません! サー!」
「ふんまぁ良い・・ どうやら部屋に忘れてきたようだ♪・・
ワサビィ大尉、あとで部屋まで取りに来るように、貴殿にMS中隊長を命ず!」
「ふっ・・ 了解だ!・・ というか・・ 他の話は?
MSパイロット増員などはどうなった?」
「それは、この後の小隊長会議で説明する
あっ・・ そうだ・・ ワサビィ・・1つ残念な事がある・・
タゴサ中佐配下のウーミン伍長な・・ 伍長も貴様の部下だ・・
もう、これで、デートは出来ないよな♪」
「おい・・ そんな事をここで言わなくても・・」
「あれぇ・・ 隊長ぉ やっぱりナンパ済みだったんすね♪」
「もう! 隊長はいつもそうなんだから!」
「見ろ! ヒロ中尉やリン少尉、それだけではない、皆に慕われているじゃないか!
みんなも聞いてくれ! 私は中隊長として、ちゃんとして欲しいと思っている!
中隊長とは指揮監督下にある部下に対し、懲戒処分をも行うことができる
部隊長なんだぞ! 権限がなかった小隊長とは違うんだ!
服務指導! 中隊長は艦内服務にあたって、部下と真に一体となって率先垂範に努め、
隊員相互の親和を助長し、もって中隊長を核心として強固に団結した中隊をつくり上げ
なければならない!・・ 解っているよな?
それじゃ、各小隊長とパイロットは残ってくれ、要員の新規配属と移動・・
そして、各小隊のチーム編成について説明する・・
以上! ブリーフィングを終了する、解散!」
と、他のメンバーが部屋を出ようとした時であった・・
艦内を緊急通信アラームが鳴り響いた
「・・・ 艦長! こちらブリッジ、緊急通信です!」
「何? どうしたの? 繋いでいいわよ!」
「・・・ 了解! 繋ぎます!」
その緊急通信の内容は、サイド6リボーコロニー内で、本日19日午後18時40分頃、
ジオン軍モビルスーツがコロニー内に進入、連邦軍モビルスーツ隊と戦闘になり、
これを撃破するも、多くの死者やコロニーのへの破損が発生した。
この事態を重く判断(2日前に締結のサイド6との安全保障条約)した連邦政府は、
サイド6近海地区に展開する連邦軍艦船に通達し、ジオン艦船の掃討を命令する
・・ という内容であった
尚、侵入したジオン軍MSは、たったの1機だとか・・
<第33話>喧嘩売ってんの!に続く・・・
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