今日の一貫

日本農業経済学会に  いい評価があった

既に、3月31日で、農業経済学会に出てみた、といったことを書いた。
このシンポジウム、本間さんと田代さんの対立ディベートをねらったものだが、本間さんのロジックは対立にはならなかった。むしろ座長をやった生源寺さんの方が、田代さんとは対立点が明確になったのではないか?
というのも、田代・本間は大枠の違いで行き来するだけで、きょうびの政策はもっと精緻であり、その点、田代、生源寺の違いの方が今日的なのである。

この会で、会場からの質問として私は4点に渡って質問した。ひとつは、今日の農政は、市場原理が見えないため混乱を来していること、第二に、手法が見えないまま生産目標数量を提案しているため混乱を来していること、第三位、品目横断の担い手が経営者育成から寺際の現場ではkじょうたいし、混乱が見られること、そして第四に、このような行きつ戻りつ政策、あるいはソフトランディング政策であるため、構造改革のペースが著しく遅いこと、である。

これは、いわば、生源寺座長に対する右からの批判である。彼は、確かにその通りであるといってはいたが、とすれば彼もまた農水省のやり方には不満が多いのだろうか?田代氏が左からの批判だとすれば、私の質問は市場原理をソフトランディングさせようとする農水省・生源寺氏への右からの質問といえよう。

政策はこのような微に入った議論となっているの、農業経済学会はいまだに大枠のところでの議論を、対立として行っている。考えるべきだろう。
それはそうと、珍しくマスコミ、とは言っても業界紙にほめられた農業経済学会はひとつのイーポックを作ったかもしれない。
この学会を評価した記事が載っていた13日付の日本農業新聞を、私もそう思うので、掲載しておこう。


2006/04/13, , 日本農業新聞, 2ページ, , 1110文字
 大学や研究所など各研究機関は、その学問が中・長期的にどのように社会に役立っているかによって、その価値が決まる。当然ながら国の政策や方針と対立することもある。今日、多くの学問分野で学会が開かれ、研究・報告が行われているが、対立を恐れたり、重要な議論を避けたりしてはならない。特に今、農業は「農政改革」という大きな政策課題を抱えており、農業経済学の研究が果たすべき役割は大きい。政策提言できる研究、日本農業の将来方向を示す議論を望む。

 先月、東京で開かれた日本農業経済学会大会のシンポジウム「徹底討論・日本の農政改革」は、これまでにないユニークさがあった。品目横断的経営安定対策と担い手育成を中心とした「農政改革」をどう評価するかについて、肯定と批判に大別し、それぞれの立場で論者が問題を提起し、討論した。
 日本人には、ある課題で論点を明確にして、肯定と否定の立場で白黒をつけるディベート(討論)は、なじまないと言われる。まして学会のような同じ研究分野の専門家が相手をやり込めるような論戦は少ない。昨年、一昨年の大会テーマをみても「食料自給率の変容と展望」、「日本農業の構造変化と政策体系」で、その時の農業・農政上の課題を反映してはいるものの、いずれもテーマ自体に議論を呼ぶような躍動感はない。内容も研究成果の発表に留まり、現実の農業政策に影響を与えるような議論にはなっていない。

 学会のシンポジウムは時間が限られ、十分な討論とまではいかなかったが、経営安定対策について、視点は異なるものの肯定、批判両派とも担い手育成の狙いや対象、実施方法などで疑問点を挙げるなど、議論の広がりと深まりがあった。農業経済学会に限らないが、シンポジウムのあり方に一石を投じたものとして評価できる。

 今日、日本農業にとって課題は経営安定対策や担い手だけではない。農地制度や貿易問題、JA改革など利害関係が複雑になり、これまでの経験的な政策では対応できない課題が山積し、農水省やJAだけで解決することが困難な課題も増えている。一般経済学や政治学など、農業経済学以外の分野の研究者を含めた議論の場も必要であろう。

 「国は、審議会などでわれわれの意見を聞いたふりをして何もしない。研究者の頭脳をもっと使うべきだ。農業以外の分野や欧米はそうではない。WTO(世界貿易機関)やFTA(自由貿易協定)の交渉結果など、もっとオープンにしてほしい」と、研究者の疎外感を示すような発言も大会で聞かれた。「農政改革」は将来の日本の農業、国民の食料を左右する重要な課題である。国民的な課題として、政・官・民を問わず正面から議論し、その結果を政策に生かすべきである。
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