今日の一貫

経済は農業の縮小と共に付加価値を作り出している

タイトルに書いたことは、ペティ・クラークの法則である。
産業は、経済成長と共に1次産業から2次3次と移っていく。コーリンクラークがペティの法則と名づけたもの。その後世の人はペティ・クラークの法則と呼んでいるが、、、、


なぜこんなものを持ち出したのか、といえば、農業が縮小して経済全体が縮小した歴史は、少なくても先進資本主義国といわれる国にはない、ということを言いたかったから。

農水省が本年2月26日に経済財政諮問会議に提出した「国境措置を撤廃した場合の国内農業等への影響について」とする報告書がある。
今時の骨太の方針2007にもある意味影響があった報告である。

この報告書、国境措置をなくした場合には国内農業生産額は約3兆6千億円減少し、GDPが9兆円の減少するとしている。370万人の雇用が奪われるとも試算し、食料自給率はいまより7割減少するとしている。

この試算、公表されるに及んで農業界に衝撃的な影響を与えた。
だから日豪EPAや、WTOの上限関税は反対し阻止すべきとする運動を盛り上げた。

しかし、よく考えてみると、我が国では、現実に90年から05年までの15年間におよそ3兆円の産出額が減少している(11.5兆円が8.5兆円へ)。
これは通常「構造改革の遅れ」による減少と考えられている。
今後も国境措置のあるなしにかかわらず構造改革の遅れによって10~15年以内に3兆円強の産出額減少の可能性は考えられるところである。
この予測はさほど現実離れしたものではない。

重要なのは国境措置のあるなしにかかわらず、農業は縮小している、という点。

縮小する中で、考えておきたいのは、過去に3兆円強が減少した90年からの15年間に、はたして9兆円ほどのGDPが減少し、はたまた375万人近い数の就業機会が失われたかである。
さらに自給率が7割ほども減少したかも検証されるべきだろう。

いずれも歴史的事実はノーである。
農業の縮小は必ずしも経済成長の後退には結びついていない。
経済成長は農業の相対的比率を低め、2次・3次へ移るという、ペティ・クラークの法則がここでも生きている。

とすれば、次のようなことが言えはすまいか?
農業の縮小は、国境措置をしようがすまいが、現在のわが国の農政下かでは必然的に進行する。しかし、農業の縮小は経済成長を後退させない、ということ。

農水省のこのマクロ計算、これはこれとして、その解釈はどこか変だと感じているのだが。
ただ、だからといって農業がなくても良いというものではない。良い農業経営を作るには、農政の転換が必要ではないか?
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