今日の一貫

農水省はなぜ農地法を改正できないのか?

農水省はなぜ農地法を改正できないのか?
①一言で言えば、「農林族」の論理が浸透しているから、、。
その考えの根本は、「農地法」のままで構造改革が可能と考えているから、、ではないでしょうか。
②また農地法の精神(農家による農地所有)を前提にしないと、農家をベースとした組織を形成しているJAの組織崩壊をまねく可能性があるからではないでしょうか?

26日夕方
農林漁業金融公庫の経営アドバイザー研修会で講義。
その前、1時間半ほど、総裁と懇談。
農政の当事者に、「農水省は何故農地法改正を謳わないのか」、
抵抗勢力が「農地族」だというが、この実態はどうなのか、、伺ってみた。

おおよその話をまとめると次のようになる。
①農地法を改正しようとした、、日本で最大のうねりは、昭和40年41年の2度に渡る農地管理事業団構想だった。
それが廃案になってからは、合理化事業になって、45年改正はしたものの、改革のエネルギーが失せてしまったようだ。

②「農地族」と言っても、お金をばらまくというのではない。
尊敬できる先輩の方々だが、私とは意見・考えが違っていた。
農地法を維持しながら、農業の構造改革が可能だと考えておられたようだ。
私は、新農政プランの時も、、有識者会議を作って、、、この点を検討しようとしたが、「株式会社参入を認める」、、という記事が毎日新聞にでて、、急遽検討取りやめさせられた経験がある。
改革は、往々にしてこうしてダメになることがある。

③また、農水省には、農地法の改正・廃止の作業は大変だという意識が強い。
農地法下で整合性を持つ様々な制度が、微に入り細に渡り、おびただしくある。
農地法を廃止するとするとそれらとの整合性をどうするか、かなりのエネルギーが必要となる。
だから私は、別立ての法律を作って、徐々に乗り換えていったらいいと言っている。使い勝手のいい方が結局は残っていくのだから。

④現実にも、農地法下では、矛盾が多くなっている、、
そうではあるが、それにどう対応するかの国会答弁はできるようにはなっている。
例えば、農業委員会が監視するとか、市町村長が判断するとか、、、
現実にできるわけがないものを、、、国会答弁用に作ってるというのが今の状態ではないか?
矛盾が大きくなってるのだから、国会答弁さえできればいいのか?ということだ。

確かに、課長や局長は、長くて2年、自分の任期中にあえて火中の栗を拾わなくても、、と思うかも知れない。
まだまだおもしろい話があったが、

⑤印象は、やはり、農地法改正には、大きな政治的決断が必要なのだと言うこと。
ただ、その政治決断に、、持って行くには、やはり、農協の存在が大きいのではないか?
いつも、「企業参入反対」、を言い、防護璧として農地法を利用しているからだ。

その農協をはじめ、企業が入って困る人々は、その理由として、次のような項目をあげることが多い。
①転用目的ではないか?産業廃棄物処理に使われたところもある。
②企業が参入しても、もし失敗して撤退すると、あとの農地ががらんどうになってしまう
、、だから、、農地法改正には反対というもの。

しかしこれは企業が入っても、農家がやっても、誰がやっても同じこと。
特に①に関しては、農業委員会がしっかり環視・勧告しなければならないのだが、、。
農業委員会にとっては、農家転用よりも、むしろ企業が違反した時の方が勧告しやすいはず、。ということは、①に関しては、企業が入ったときの方がむしろ健全化する、、といえまいか。

そんな理由より、農地法が無くなって困るのは、やはり農協組織の崩壊が急速に進んでしまうと言う懸念の方が大きいのではないか?
農協組合員900万、
うち農家400万戸、
500万戸は準組合員など、サラリーマン、
400万農家のうち、
販売してる農家、200万戸(うち主業農家40万戸)。
他の農家は、自給農家90万戸と土地持ち非農家120万戸。

これは農業で生計を立ててるのが、40万戸もないのに、農家は、400万戸もあり、、この数は、、農地法があることによって、やっと支えているのが実態なので、、農地法が無くなったら、この人達が農協を離れてしまう、、??
と考えてるのではないか?

私はそうは思わない。
農協は非農家組合員が500万戸もあるのだから、農地法がなくても大丈夫だと思う。。

農協を善導し、農地法を改正し、国民に農業を開放し、日本の農業を再生する、、こうしたプロセスに同調し、熱心になる政治家が今必要なのだ。
自民党でも、民主党でもどちらでも良い。



(ちなみに農地法擁護、株式会社参入反対の、農地族、農業経済学者の論文を紹介しておこう。農業経済学会ではこうした論調が主流?である。農地族学者にも微妙な違いがあるようで、農地族の中心である関谷俊作さんを原点に置くなど、この軸自体が偏った分類で、お笑いである。申し訳程度に、佐伯尚美、生源寺真一を載せてるが、別の表をもう一つ作らないとこれらの人は乗らないだろうし、農地に対する他の論者はもっといるが、無視してるのは、この著者では整理はできないからだろう。)

また日本農政に対するまともな論文も載せておこう

コメント一覧

渡部健司
賛同します。
兼業農家も無くなります。
田畑は荒れ放題になります。
私は60歳ですが、10年前に米作りを止め、
近所の人に作って貰っていましたが、高齢でその方も
止めました。3年前までは周りの田んぼに迷惑が掛るので草を刈っていました。が今は荒れ放題です。
最近田んぼの買い手が現れてほっとしていましたが農地法の問題で売れない。買い手の条件が厳し過ぎます。その方が買えば農地は綺麗に成り、周りにも迷惑が掛らない。農地は個人の持ち物では無い事を初めてしりました。
今の儘では必ず自給率が落ちます。
矛盾しています。
膨大な農協組織を守る為の法律です。
又、官僚は全く現実(現場)を理解していないと思います。
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