今日の一貫

EPAと農業はなじまないのか? NO3 水田大規模複合経営の創出

農家所得を確保するには、景気回復、経済成長が大切と書いた。
そのためにEPAは必須。
また、機関車農家論では、農村での自助努力を喚起することによって、財政に頼らない形での農家所得の維持も可能だとした。農産物価格低下の中でも十分に対応可能である。
とすれば、最後に残る課題は、多くの兼業農家を支える機関車農家の馬力が高まるかどうかということになる。
すべては、生産性が高く、収益性に優れた経営が、わが国農村に層厚く形成されるか否かにかかってくる。

この点に関し、「大規模水田複合経営」の創出を主張し続けてきたが、政策的肩入れは微弱といって良い。
だがそうではあるが、大規模経営はこの間急速に増加している。
ただ、園かっずは圧倒的に少ない。
水田経営に関して、2000万円以上販売農家は、わずか2千経営しかないという悲惨な状況。
畜産や野菜など、水田作以外の経営も含めても5,7万戸にすぎない。

水田農業に関しては、40倍の、8万経営体ぐらい必要だし、わが国の農業経営全体としては、42万戸必要とするのが、農水省の公式発表。

課題は明瞭だろう。
これらの経営が、①農業資源の効率的利用、②競争力のある生産性の確保、③農業産出額の確保、④借地への地代支払い、を実現する主体なのだから、

わが国の農政は、これを不可能としてしまっている。
だから保護し続けるとする主張。
それもわからなくはないが、20-30ha規模の農家を8万こつくるというのは、必要農地にして160万から240万ha。
わが国の耕地面積のおよそ半分、水田の6割から9割をカバーする勘定だ。
決して不可能なことではない。

これを終局の目標として、毎年達成率を国民に示したらどうだろうか?
食料自給率を毎年発表するよりよっぽど実態があると思うのだが、、.いかがだろうか?

つまり、水田大規模農家数目標達成率は、現在のところ2.5%(=2千/80千)。
これを10%にするとするのを政策課題としてみてはいかがだろうか?

こうした方向に強くアクセルを踏むかどうかだが、わが国の農政の後追いをしてきた韓国は、ウルグアイラウンド以降、大きく開放路線へ舵を切って、李明博政権では、20万戸の経営者を育成するとしている。

特に、金大中政権(98年)以降の、韓国農政は、開放体制を目指しており、参考になる。
金大中政権が「45兆ウォン投・融資」(1999~2004)によって産地育成や輸出促進に邁進したのは、講演でもよく話してきた内容(私の講演を聞いたことのない方はわからないが、、)。
さらに盧武鉉政権(93年)の二期目では、「10年間119兆ウォン投融資計画(2004~2013)」によって、FTA推進のための経営育成政策を断行し、、任期が間近に迫った07年「米・韓FTA」を妥結させた。

李明博政権ではさらにこの流れを確実なものとしていく。
農政方針は、儲かる農業、効率性を強調する市場競争の促進である。
そのため、農業への参入規制を緩和し、農業分野に大企業と外国資本を誘致し
2012年まで20 万の 企業的農業者と、1 万の法人を育成していく方針をすすめている。またその前提となる高品質技術及び輸出農業を育成すると公言している。

農業・農村中長期投融資計画(119兆ウォン事業)を改組。農業対策は07年11月6日に農林部が詳細骨子を発表。
韓米FTAによる追加支援額は2008-17年の10年間で20.4兆㌆となり、総計139兆ウォンの農村対策を組んでいる。

日本は、保護で、農業を安楽死させ、壊滅的にするか、あるいは市場開放で、農業従事者は減少するなかで、少数の経営への選択と集中によって農業生産額を維持拡大するかの選択に迫られている。

(韓国の話題は、一つの項目として明日コピ^しておこう。)


参考日本の主要穀物の生産性

トン/ha
      2005 2007 2008 倍率
とうもろこし 日本   2.50 2.58 2.58
     ドイツ 8.03 9.45 9.81 3.80
イタリア 8.73 9.31 9.01 3.49
韓国  4.73 4.92 5.06 1.96
大豆 日本 1.61 1.64 1.64
ドイツ 1.00 1.00 1.00 0.61
イタリア 3.10 3.13 3.21 1.96
韓国 1.73 1.50 1.76 1.07
小麦 日本 3.84 4.34 4.10
ドイツ 7.20 6.96 8.09 1.97
イタリア 3.73 3.41 3.87 0.94
韓国 3.34 3.81 4.06 0.99
イギリス 8.04 7.22 8.28 2.02
コメ 日本 6.34 6.51 6.49
イタリア 6.28 6.62 6.24 0.96
韓国 6.71 6.35 7.39 1.14
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