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今日の一貫

対立軸を求めて、「自由な新結合の場」対「政府の統制下の場」、日経土谷英夫コラム

次の選挙の対立軸は、官僚内閣制か議院内閣制かの選択かも、、と書いた。
18日、日経新聞のコラムニスト土谷英夫さんという方が、「改革とバラマキの間で――政党の耐えられない軽さ」という実にもっともなコラムを書いている。
なかなかに良いコラムだ。
中川秀直先生、このコラムに敏感に反応し、「都市型改革政党」か「田舎型バラマキ政党」かに対する新解釈を披露した。
曰わく、「自由な新結合の場」対「政府の統制下の場」という対立軸だという。

後者は、政府の統制と一体化した「上位下達」の行政と一体化した組織であり、野党でいえば労組と一体化した組織のことだ、、という。要するに官僚内閣制を言ってるのだろう。この中で、安住を求める人々は、「自由な新結合の場」に反対するだろう、、とも。

「自由な新結合」の場なくして、グローバル経済に対応することはできない、クリエイティブ世代がこれを支える、、とも。

「自由な新結合の場」は、民主党岡田・前原氏らと共同歩調にあり、小澤路線とは反対の「場」にあるといいたいのだろう?
なにやら、政界再編の対立軸を、日経土谷さんのコラムを利用して語ってる風でもある。


以下現在の状況を適格に書いた土谷コラムを引用しておこう。

改革とバラマキの間で――政党の耐えられない軽さ(核心)2008/08/18, , 日本経済新聞 朝刊, 5ページ, 有, 1923文字


本社コラムニスト 土谷英夫
 〓あれは三年前……とつい口ずさみたくなる。二〇〇五年の八月は、政治も熱かった。郵政民営化法案の参院否決を受け、小泉純一郎首相が衆院を解散した。ちょうど今ごろは九・一一選挙に向け、郵政造反組の選挙区に送り込む「刺客」の顔ぶれが、ワイドショーをわかせていた。
 三年でこうも変わるのか。郵政造反・復党組の野田聖子氏が消費者行政担当相に、保利耕輔氏が自民党政調会長になった。六年続いた長期景気が終わり、景気対策に名を借りたバラマキ・コールが高まる。
 昨年の参院選後に「自民党はこの敗北に耐えられるか。民主党はこの勝利に耐えられるか」と評したのは小泉氏だが、むしろ三年前の郵政選挙の後に、だれかが問うべきだった。「自民党はこの大勝に耐えられるか。民主党はこの大敗に耐えられるか」と。
 「はっきりと改革政党になった自民党が民営化に反対の民主党と闘って、国民はどう審判を下すか聞いてみたい」と、衆院解散の日の記者会見で小泉首相が語っている。既得権益の組織票を捨て「改革」を旗印に大都市住民や若者の票を広く集めて圧勝した小泉流は、政党の“ビジネスモデル”の転換だった。
 しかし、小泉後の自民党は、改革政党の役割に耐えられなかった。
 後継の安倍晋三首相は、就任の三カ月後に郵政造反組を「お帰りなさい」と迎え入れ、支持率を一挙に二〇ポイントほど落とした。安倍政権がこだわった国民投票法制定、教育基本法改正、防衛庁の省昇格などは大都市住民や若者の改革への期待とは、ずれていた。
 改革の痛みへの不満、「消えた年金」への後手後手の対応や、閣僚らの不祥事もあり、自民党は参院選で大敗した。衆院の三分の二を超す与党議席と戦後最長景気という小泉改革の遺産を、ほとんど使い果たしてしまった。
 民主党も郵政選挙の大敗に耐えられなかった。
 その前の〇三年の総選挙は、大都市部や地方の県庁所在地がある都市型選挙区(一区)で躍進し「一区現象」とはやされた。一転、郵政選挙では首都圏などで壊滅的な敗北。
 「都市型の改革政党」という立ち位置を小泉自民党に奪われた民主党は、小沢一郎代表の下で、田舎型のバラマキ政党に転身した。
 参院選マニフェストでの農家への戸別所得補償が典型だろう。ほかに子ども手当の創設、税でまかなう最低保障年金なども盛る一方、年金財源にすると言ってきた消費税増税は引っ込めた。総額十五・三兆円の政策経費は行政改革でひねり出すというだけで、詳細は示さなかった。
 公共事業が減るなど地方は「改革の被害者」意識が強い。「一票の重み」格差が大きい参院は議席配分が地方に厚い。参院選に限れば、ねらいは当たった。
 小沢代表の前任と前々任の、前原誠司、岡田克也両副代表が最近、相前後して日本記者クラブで講演するのを聞いた。
 岡田氏は「民主党は改革のための政党」であり、グローバル化や少子高齢化に対応するには、社会保障、地方分権、財政構造の改革が必要と説いた。前原氏は「少子高齢化や、国の膨大な借金といった制約要因は民主党が政権を担っても変わらない」と語った。
 今のマニフェストは、岡田氏が「優先順位をつけて財源の裏打ちも示すべきだ」とし、前原氏は「欠点は時間軸があいまいなこと」と指摘した。二人とも、“小沢流ビジネスモデル”に違和感を隠さない。九月の代表選挙で政策論争を深めるよう求めていた。
 だが、民主党内では「総選挙は小沢代表で」の空気が強いようだ。参院選後に同党が追加した政策も合わせると、必要な財源は二十兆円を軽く超える。
 民主党にあおられた面もあるだろう。与党もバラマキに傾きつつある。麻生太郎自民党幹事長は「財政再建より景気対策優先」を公言する。公明党は、所得減税を含む「兆円単位」の景気対策を求める。十年前に小渕恵三政権に商品券(地域振興券)を飲ませたDNAがよみがえった。
 政府の総合経済対策は月末に決まる。与謝野馨経済財政担当相が中心にまとめた「考え方」では、旧来型の経済対策とは一線を画す、というのだが。揺らぐ改革路線と歳出増加圧力の間(はざま)で、福田康夫首相が裁断を下す。
 総合経済対策とは懐かしい。九〇年代のバブル崩壊後に、公共事業中心の総合経済対策を連発しながら「失われた十年」にもがいた。日本と同じころバブルが壊れた北欧諸国は、銀行の不良債権処理に素早く取り組み、三年ほどで不況を脱している。
 いまの日本経済の苦境は石油、食糧など一次産品の高騰で、所得が海外に流れ出し、購買力を奪われている点にある。企業も国も悪化した交易条件の回復がカギになる。バラマキに頼り政策の「選択と集中」を怠った九〇年代の轍(てつ)を踏んではならない。
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