金融安定のために、各国は必死に流動性確保に動いている。
我が国も1兆円の資金投入。
各国政府の対応、協調的で今のところ必死さが見えるので、どうにか、、といったところ。
ところで、今後の日本に関して日経「病は改革アレルギー」が書かれている。
もっともだと思う。
記事中の、本来改革的な日本人がそうではなくなった根元には、中央集権的な官僚的意思決定システムがある。
現場から、遠いのいたため、自らのミッションが現実離れしてしまったからだ。
官僚内閣制から議院内閣制というスローガンも確かにその通りだが、肝心なのは、議院内閣制になっても、議院メンバーが現場感覚があるかなしかだろう。
二世には、ノブレスオブリージと現場感覚の二つが欲しい。
以下引用
病は改革アレルギー――避けて難局を越せるか(核心)2008/10/06, 日本経済新聞 朝刊, 5ページ, 有, 1959文字
論説委員長 平田育夫
米国発の金融混乱が広がり、世界経済は歴史的な難局を迎えている。こんなときこそ腰を据えて経済構造を改革し、息長い成長へ布石を打ちたいところだ。
その「構造改革」は今や忌み言葉に近い。小泉改革が格差を広げたと一部の学者も言い募り、選挙を控えた政治家は与野党とも改革を口にしなくなった。
そもそも小泉改革は「郵政民営化を除き、めぼしいものはない」(福井秀夫・政策研究大学院大教授、規制改革会議委員)。それさえ否定される昨今である。
かのサッチャー元英首相は十一年間の在任中、強い抵抗を押して電話や航空の民営化、規制緩和、減税などを断行した。続く三代の首相がそれを引き継いで英国病を克服。一人当たり国内総生産は日本の一・三倍になった。改革は一日にして成らず。改革開始から実に二十九年となる。
その英国に比べ、改革のとば口で旗を巻くところに現代日本の病がある。
だが振り返ってみよう。日本人は本来「改革の民」である。大陸や半島の文物を取り入れた奈良、平安の昔から、改革に改革を積み重ねて今日に至る。
江戸時代、大坂堂島米会所はコメの先物取引を始めた。清算機関や差金決済などの仕組みが整い、世界初の組織的な先物取引だった。伊藤清・京大名誉教授が考案しデリバティブ(金融派生商品)の土台となった確率微分方程式とあわせ現代金融取引にこの国は大きく貢献している。
経済特区も江戸時代にあった。土佐藩の家老、野中兼山は草原だった今の高知県南国市後免町に商取引の場を作るため、租税や諸役を免除した。後免の地名はそれに由来する。上杉鷹山による米沢藩の藩政改革はケネディ米元大統領の言及で世界に伝わった。
その心意気も今は昔。経済の混乱を鎮めるため短期の対策は必要だが、成長への道筋をつけるには供給面の改革も休めない。だが、こちらはさたやみ状態だ。
例えば保育所問題。人口減少下での成長のカギは女性労働力の確保にある。子供を育てやすい環境作りが大切だが、保育所は足りない。潜在的な待機児童は首都圏で約二十六万人という推計があり、全国では百万人近いと政府もみている。
国の補助金が、厳しい基準を満たす認可保育所に集中しているからだ。政府の規制改革会議は認可外の保育所の利用者を含め、親に直接、補助金を渡すよう提唱する。
しかし予算を握る厚生労働省や、高給を得ている公立認可保育所の保育士らの反対で実現しない。
日本が最先端を行く再生医療などの分野は経済成長の観点からも有望である。ところが先端的な保険外の治療を受けると、本来は保険がきく部分も自己負担になる。この「混合診療の原則禁止」は東京地裁も違法としたおかしな制度。
難しい技術を扱えない一部開業医に配慮したこの制度を厚労省は判決後も続ける。これでは「医療技術が進歩せず、医療の質の追求の妨げになる」と松井道夫・松井証券社長(規制改革会議委員)は警告する。
憂えるべきは小泉元首相の退陣後、規制強化の動きが広がっている事実だ。
ワンルームマンション規制はその一つ。東京では、一戸十八平方メートル以上だった床面積の規制を、条例で二十五平方メートル以上に引き上げる区が相次いでいる。
「ワンルームの若者はゴミ出しなどのマナーが悪く近隣との紛争が絶えない」(墨田区)。要するに地元住民の苦情に配慮した建設抑制とみた。
地方の若者を吸い寄せ、サービス業中心に拡大しているのが東京。その活力をそぐのは大きな損失だ。
六年前、タクシーの規制を緩和した国土交通省は供給過剰を理由に再び新規参入や増車を制限し始めた。
先週、内閣府が開いた公開討論会では、京都に本拠を置くタクシー会社エムケイの青木信明社長が「サービス改善などで需要を喚起するのが先」と国交省に反論した。業容拡大を目指す経営者の発言という点を割り引いても説得力がある。
また厚労省は医薬品のインターネット販売禁止、金融庁は銀行以外の業者による決済業務の規制を狙う。
政治家もその流れに逆らえない。小選挙区制になり「地元住民や既存業界の要望が最優先」という政治家があまりにも増えた。
そして改革を避ける理由にあげるのは「派遣労働の規制緩和などの小泉改革は格差を拡大した」という理屈。格差は小さくあるべきだが、改革が格差を拡大したと言えるのか。
「格差問題の本質は年功賃金の正社員と市場賃金の非正社員の間に前からある身分の差が、長い経済停滞で明確に表れたこと」(八代尚宏・国際基督教大教授)という解釈が自然だ。
医療や農業、金融、情報技術などの分野では成長につながる改革の種が多い。政権交代の可能性が出てきたなかで、痛みを伴う改革を封印し、経済再生や国民生活の向上をうたう麻生太郎首相と小沢一郎民主党代表――。どちらも危うい。
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