インテリジェンス交渉術の14回目。
その中に、「中途半端な海外研究者の見分け方」、がでている。
基準は、語学力が貧弱なこと、という。
ロシア語が全くできないロシア専門家もいる、
アジア語をまったく解さない東京大学の教授がアジア太平洋地域情勢の専門家として活躍している、というのだから驚きだ。
彼らが、生きていられるのは、外務省が大切にするからだという。
「こういう輩は、情報の入手、政策提言の双方において外務省に依存するので、
外務官僚の手の掌の上で思い通りに操ることができる」(350P)。
実はここが肝心。
よく御用学者というが、
御用学者は
「情報の入手、分析、政策提言」等、専門に関わる事柄の判断を省に委ねてしまう輩をいう、という。
その背景には、語学ができない、現場を知らない、人脈がないなど、学者としての情報収集力の弱さがある。
また政策判断する仲間のなさも反映するのだろう。
日本の「官・学社会」の中に、、
一方は、自分の自信のなさを省に頼り、、
他方は、自分の言いたいことを、あやつりやすい学者に依存する、、
そんな持ちつ持たれつの世界が再生産されている。
ところで日経新聞NBolineで少々書いた鈴木君の話だ。
これまで一緒にやってきただけに、評論の対象にしたくないのだが、、、
どうも最近は明らかに保守バラマキ路線を語るようになった。
NBonlineの6回中コンセプトが違うのが、鈴木宣弘君がでてくる3回目。
国民の負担(消費者の犠牲)がなければ食糧自給率の向上はないなど、農業サイドの産業化努力とは直接関係ない意見を語っている、、、。
ただ、これは彼の責任ではなく、編集者の問題。
この人、バラマキ型の直接支払いを主張している。
農水省の予算2兆8千億を3兆円にでも戻そうと考えてるのかも知れない。
アメリカも、スイスも直接所得補償で農業が成り立っている、、
日本もそうすべきと主張し、財政支援を語るのだが、、
その前に産業化に努力するという姿勢があってこその直接支払いだろうに、、。
日本農業の再生方法について語ったことがない。
マスコミも、記者クラブ制のせいか、農水省のお薦めに従わざるを得ないのだろうか。
それに見事にはまったのが、読売新聞7月31日。
「WTO交渉決裂 国内農業「付加価値」がカギ 鈴木宣弘・東大教授」
この記事内容、農水省のメッセージそのもの。
あえて新聞紙上に学者を出す必要はなかった。
農水省学者は、かつては生源寺先生だった。
だが、彼には、御用学者との批判はほとんど無かった。
一応自分の考えで農水省をリードしていたからだ。
農水省が保守化バラマキ化してしまい、
愛想を尽かして?各種審議会委員を降りることに。
大義名分は農学部長になり忙しくなるので、。
彼が辞めたとたん、農水省は、彼の下で作った「米政策改革大綱」を反故にしてしまった。
生源寺君立つ瀬がない。
気の毒な感があるが、学者としての矜持もあろう。
やめるのは当然と思う。
ところが、そのあとを継ぐお抱え学者候補がこれまたいない。
井出官房長(当時)大いに悩んだところだ。
当時、鈴木君と小田切君を推薦したこともあるが、そこはさすがの農水省、まともな学者の小田切君を選択しなかった。鈴木君に白羽の矢を立てた。
鈴木君、農水省の守旧バラマキ路線に合わせてどんどん守旧化してしまった。
全国農協中央会とも親しくなった。
民主党の品目横断法案の審議では自民党サイドの参考人として登場し、自民党守旧派農政の正当性を述べるまでに成長する。
しかし彼のバラマキ直接支払いは民主党路線そのものなのだが、、。
これ、わずか1年間ののこと。
スイスなどは国民が負担して農業をさせている。
日本も国民の犠牲で農家を支えろと言った発言をするまでに、、。
「スイスでは、あるスーパーで国産卵一個約六〇円、輸入卵が約二〇円で売られている光景を目にした。
見れば、ほとんどの人が割高な国産卵を買っていく。
「なぜ高いほうを買うの」と客に尋ねると、これを買うことで、農家の生活が支えられ、それで私たちの生活が支えられる」と(7月26日ダイヤモンド)
さらに、今の「バラマキを、バラマキといわせない」ための措置が大事とも(7月26日ダイヤモンド)
「自給率の低さは支持水準の低さの証」(週間農林7月25日)という主張も。
これいずれも農水省の財政規模増加を正当化しようとする議論。
ダイヤモンドの編集者は発言者を間違えた感がある。
他方で、「日本の農産物は開放的」とも主張している。
(だから米関税は高額で良いといった趣旨、、)
開放的の根拠が農産物平均関税率12%、EUの20%よりはるかに低いというもの。
根拠としているデータだが、OECDの計算を農水省が無条件に使ってから前提なしに使われるようになった代物。
計算は単純平均だし、輸入実績のない米などの788%は計算には入ってない。低くなるのはあたりまえ。それをもって日本の関税は低いというのは、一般の人が言うならともかく、専門家が使うのは問題が多すぎる。
農水省発表だから安心して使ってるのだろうが、その農水省もOECDが発表したのを使ってるだけ、、と意に介さない。
世界の舞台で交渉課題になってるのは、いずれも計算に入ってない輸入実績のない高関税農産物なのに、、、。
ちなみにこの数字には、日本語でも以下のような注釈が付いている。
OECD"Review of Tariffs Synthesis Report"(1999年)。(従量税については、96年に輸入実績のあるものについてのみ、最終譲許税率を対平均輸入価格に換算したものを参入)。
「日本は開放的」でも良いのだが、開放の仕方が課題なのだ、、
はやく普通の論調に戻って欲しいものだが、、、。
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