今日の一貫

日本農業新聞がいい

この間の経営安定対策大綱に関する日本農業新聞のスタンスがいい。
経営所得安定政策へのスタンスである。

前向きに努力しようとしている点も評価できる
農協役職員向けにこの政策への対応を特集したりしている。
おしなべて記事はポジティブ。
農協組織の主体性が見える。
これまでの農協の主体性はどうも政策の足を引っ張るものが多かったが(たとえば、産地づくりの担い手要件をクリアするため単なる寄せ集めの集団を集落営農と見なすなど、金さえもらえればの構図が見え隠れしていた)、今回は足並みをそろえて、前向きになっている。
これには、制度設計時の農水省の、基準が明確で、経営を営む実体のあるものを譲らなかったことが大きい。
教育でもそうだが、育てるには、目標は少々高い方がいい。育てる気がなくなったら、セーフティネット型の誰でも、野方がいい。これまでの農政は後者型だったが、今回は明らかに前者になった。


日本農業新聞のスタンスは、これを成功させなければ、我が国の土地利用型農業はにっちもさっちもいかなくなる危機感が共有できてる証拠だろう。
この制度、少々誤解を受けている節があるが、農業新聞のとらえ方はまとも。


ただ、河北新報にみられるような、誤解は解いておいた方がいい。農水省は例によってキャラバンを組んで、各地で説明会をするとのことだが、それだけでは手ぬるい。HPでいつでもQ&Aがみれるようにすべきだ。
これから対象とする人々はネットで情報を探すような人たち。

もともと、農水省の対外広報は、農協に大きく頼ってきたのを、UR時の悪しき経験から、独自路線へ大きく前へ踏み出した経過がある。

関税化では、農民にとってメリットのある情報が正確に伝わらなかったため、農協が唱える「関税化阻止」で、結局不利益を被ってしまった。この修正、あるいは傷跡は12年たった今でもいえてない。MA米の処理は頭の痛い課題だ。それも当時の農協のやり方がそうだったから、ではすまない問題だろう。やはり、農水省の公報がしっかりしていればの感がある。

しかし、まだまだ本格的とはいえない。もっとも多くの政策対象者を抱えるのが農水省だ。

ところで、この対策だが、誰もが当初セーフティネットとして考えていた。
しかしどうもそうではないのだ。

現状は現状として、認識するのだから、農水省は規模の小さい農家を切り捨てたといった批判は当たらない。
しかし、東北地方のある地方紙に、「日本の農業の大多数を占める中小農家を切り捨て、いわば少数のエリート農家に施策を集中させ、本当に食料自給率は向上するのか。いかにも現場知らずの霞ケ関の「エリート」たちが机上でひねり出した「大転換」である。」といった批判記事を載せた評論家がいる、民族研究家だそうで、中小農家に思い入れがあるのもわからなくはないが、事情をしらなすぎる。こうした型にはまった言い方がまかり通って半世紀たつが、実は、こうした言い方が我が国の農業の構造改革を遅らせ、ずるずると、耕作放棄地などを容認し、自給率低下に手を貸してきたことをもっと真剣に考えなければならないのではないか。

今回の政策に限っていえば、私は、「努力する人を支援することが、中小農家を切り捨てることになる」という批判は、論理的におかしいと思っている。
政策は、育成すべき担い手の目標を掲げ、そこに向かって努力する人は、対象としますよ、という政策だ。

そうしたくない人、そう考えてもできないと思う人は今まのままで結構ということになる。別にいやだという人の保護が手薄になるわけではない。
切り捨てをいう人には、農政は、何か社会福祉政策的なものをもたなければならないとするイメージがあるのではないだろうか?

課題は、日本農業、特に土地利用型農業の未来を担っていきたいという人を、どう支援するかということである。
農村では今や農業をやろうとする人は、ほとんど見あたらなくなってしまった、という現実をこの評論家は知らないはずはない。
もうひとがんばりしたいという人が今いないのだ。

しかし、そういう人をあえて支援しようというのが今回の政策。
「のばすものをのばす」、そうしないと、日本農業がだめになってしまうという主張は、私などは至極当然と思う。
いつも、農政は兼業農家の方をもう向いてくれない、などというナイーブな主張に押し切られ、プロの農家の全面支援を怠ってきた経緯がある。ナイーブな話は別の次元でするべきだろう。

農政の農家への対応は今まで通りでもっとも農業振興に本質的な部分のてこ入れをするというのが今回の対策、と考えた方がいい。
だから農協も前向きに取り組んでいるのだと思う。
そうした姿勢が日本農業新聞にはあふれていて気持ちがいい。



ただ米は問題ないとして、問題となるのは転作部分、と北海道などの畑作地帯。たとえば麦をとった場合、現在86万トン分の生産に対して「麦作経営安定資金」がでているが、これが担い手要件を満たしている農家が工作する分子か対象にならない。それが現在の面積でどの程度のものなのかの試算が完了しているのかどうかだ。
全中が、「作業受託組合」(生産組織)を担い手に入れるように強く主張したのもそうしたことがあるから。これは大豆でも、甜菜でも同様だ。
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