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今日の一貫

総合的穀物政策の観点から生産調整を見直せ

金曜日から、1年生の基礎ゼミ合宿。
鳴子温泉。大崎市にはお世話になった。感謝。

ところで、コメ政策に関するシミュレーションだが、もうすでに全国にあまねく伝わったことだろう。
「国民的議論が必要不可欠」との農政改革閣僚会合決定のもとに、農水省は、よく全国を駆け回ったと思う。私も、この間「減反廃止を」といった趣旨の主張を二つほどしたが(4月22日wedge5月号、5月31日朝日新聞「耕論」)多様な議論の一つととらえてもらえればそれでいいと思っている。

ところで、5つのシナリオが示されているが、「減反強化や現状維持が取りえない政策だ(石破大臣発言)」とすれば、残るは、3つ。

「完全廃止」をひとまず置いておくとすれば、リアリティがあるのは次の生産調整緩和シナリオ3と4の生産調整緩和の①と②。

シナリオ3,
「生産調整緩和」シナリオ①
10万ha増加
生産調整を緩和するが、麦、大豆、飼料作物等への助成によって、主食用米作付面積の増加を抑制。
米価は12000円程度。

シナリオ4,
「生産調整緩和」シナリオ②
30万ha増加
生産調整を緩和し、麦、大豆、飼料作物等への助成等も一定限度のものとすることで、主食用米作付面積は大幅に増加。
米価は10500円程度。

その際、「麦、大豆、飼料作物等への助成」の有り様が見えてこない。これから検討すると言うことだろう。

ところで、4月17日に首相に提出し農政改革閣僚会合で決定した「農政改革の検討方向」の中には、いくつもの重要な論点が含まれている。
その中の一つに「戦略的穀物政策」がある
(特命チーム会合で、私は「総合的穀物政策」といったのだが、検討方向には「戦略的穀物政策の総合化」として挿入されているが、とすれば、「総合化」はいらなかったのではないか。穀物政策の総合化を目指す「戦略的穀物政策の構築」でもよかった。ただそれは主要な論点ではないのだが、)
重要なのは、この「戦略的穀物政策の総合化」

その内容引用すると、「穀物対策は戦略的に自給力を向上させる上で重要であるが、施策が細分化され、それぞれの目的が生産現場に浸透していないものも見られるため、戦略的穀物政策の総合化を図るべきである。」
というもの。

これは、国内生産の問題としてとらえられる書きぶりになっているが、「戦略的穀物政策」というなら、穀物輸入の問題も含めて考えなければならない課題。
輸入の主要な部分が、家畜の飼料で占められることから、飼料供給のあり方がコメを含めた穀物政策のゆがみを生んでいることにスポットを当てなければならない課題ではないか。
となるとこれは生産政策というより、まさに「総合的食糧問題」なのだ。

今後、そうした観点から、麦、大豆、飼料作物の水田での生産が仕組まれるのか。
どのように総合的施策展開が可能となるのか、、
これが生産調整問題への入り口であり、出口にならなければならない、と私は思う。

そうした中で、構造改革がどのように進み主業農家の経営が安定していくのか、セーフティネットがどの様にかけられるのか、見通しをたてなければならないだろう。
「完全廃止・直接支払い」のEU型も可能性なしとはしないが、中庸が好きな我が国の政策土壌からは少々むずかしいのかもしれない。

ともあれ、もはや、主食用コメを作れ、減らせ、といった議論ではないことだけは確かだ。
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