消費拡大や、研究開発、の後退がその良い例だ。
特に研究開発が遅れてしまった。
私は、飼料用米であれば、今すぐにでも1,5トン取りは可能と考えている。
既に60年代後半、新佐賀段階とよばれ、700㎏取りを達成しており、また植物育種学の泰斗角田重三郎先生は、私が助手をしていた70年代半ば頃、1トン取りは可能とすでに主張していた。
ところが、現在の我が国の稲作技術にとってはそうでもないようだ、
農水省の研究機関で、稲作研究といえば、かつては花形だった。
それが生産調整政策を堺に、良食味米の研究に雪崩を打ってシフトし、その後、研究目標を失ったかのように衰退していった。
多収米研究も、主流から取り残された形で細々と行われてきたが、当初こそ「超多収作物の開発と栽培技術の確立」(81-88年)と「多収」を堂々と言ってはいたが、その後、多収の文字ははずされることになる」
したがって、その成果も、25年たって10アールわずか1トンにしか達していない。コンスタントに達成できるのは、800キロにすぎないというのだ。しかも、研究の大半は、良食味米の多収化。
これをどう評価するかだ。
目立つのは、日本の稲作研究や開発力の弱体化だ。
遅々として進まない多収米研究といってよい。
戦略性がないといえばない。
これで世界を相手にすることは不可能だ。
ただ、こうした研究、別の観点から言えば、よくぞやってこれたと感心もする。
1トン取りならコストは半減、米価は下がる。
これ、「価格操作・需給調整」をモットーとする農水省・農協路線に抵触する。
研究機関だから、お目こぼしでどうにかやれたのかもしれない。
予算も少額だったに違いない。
そんな状況だから、研究の意気は上がらない。
テーマも、「多収」という文字は見られない。
①「需要拡大のための新形質水田作物の研究」(89-94)
②「画期的新品種創出等による次世代稲作技術構築のための基盤的総合研究」(95-00)
③「食料自給率向上のための21世紀の土地利用型農業確立を目指した品種育成と安定生産技術の総合的研究」(01-05)
などなど、、、。
⑤多収飼料用米を研究した98-00年の研究名は「多様な自給飼料を機軸とした次世代乳肉生産技術の開発」といった畜産の研究課題。
飼料用米研究も、多収よりも、WCSとしての牛の食いつきの良さの研究がメイン。
こうしてみると、多収にターゲットを絞った本格的研究はなされてこなかったといっていい。
⑥今進行中のものとして「加工用米の低コスト研究」(06年から10年まで)があるが、本格的多収研究は、08年度から、飼料用稲ではじまるのだという。
しかし、それも目標が1トン取り以下というのだから、その志の低さに驚いてしまうが、、。
予算の増額、栽培での民間との協力を推進すべきだろう。
もし上記研究が5年以内に1,5トン取りを実現できないなら、水田でのデントコーン栽培に転換すべきだろう。
同時にデント栽培の研究も重要だ。
日本がアジアで貢献で来るとしたら、水田資源の総合利用、利用効率の向上が最も大事なのだから、、、
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