今日の一貫

大豆「すずさやか」を使った商品開発 農商工連携

食品産業センター主催の「国産原材料調達円滑化セミナー」。
29日午後
アグリテクノジャパンの事例報告アリ。。

東北三大地主(本間、齋藤、池田)池田家の末裔、第16代目だという。

その池田氏が、平成17年に作った会社。
資本金1000万円。
技術を通じて農業の活性化を狙う趣旨。
商品は、当面、豆腐、豆乳、乾麺の製造・販売。

転作大豆の利用を考える。
すずさやかは、リボ欠大豆(リオキシナーゼ欠失大豆)つまり無臭大豆。大豆の青臭さがない。

製品開発は、会社で。
豆腐はそれほど技術がいるものではない。
課題は豆乳。

それなりの味だ。
乾麺はアウトソーシング。

7人の加工工場で製品化。
毎日稼働。これを転作拡大させた。
拡大のインセンティブは価格か?
アグリジャパンの副社長は、農協理事経験者の土井さん。
会社との契約栽培、、当然に価格設定も独自。
これで、大豆作付け面積が600haまで増加、

増えてはいるのだが、無臭大豆は、栽培条件が厳しい。
2%以上他品種混入すると無臭でなくなるとか、、、
そんなことで農協の営農指導員が必死に技術指導しているのだという。

そんなこんなで、すずゆたかの転作が急速に拡大している。
17年スタートだが、18年には200ha、19年630ha、今年は1000haまで増えそう。

ただし、自社使用は購入量の五分の一だけ。
他をどうするか?

この会社流通業も手がける。
大豆の卸・小売業。
無臭大豆、エルスターと、いちひめ、そえにすずさやかの三品種しかない。
その中でこの会社無臭大豆の6割のシェアーを持っている。
競争優位アリ。
引く手あまた。

とはいってもこれが1000haに増える勢いはいかんともしがたい。
生産制限しないと、価格補償が難しくなる、、、と言う。

ところで、この企業の原料調達に注目したい。

原料供給は農協。
したがって技術指導等、民間企業のフィールドマンに当たるのがこのケースでは農協マン。この機能を会社ではなく、農協が持ってくれているのが、会社のコストが安くなっている理由。

本来この機能は、生産サイド、つまり原料供給サイドが担わなければならないのだが、農商工連携をやってる事例では、加工業、つまり「工」が抱えてるのに優良事例が多い。その加工業、製品開発やマーケッティング機能も同時に持っている。

日本の場合濡産物の供給に本来なら出荷団体、農協が責任を持ち、農産物と需要との間のマッチングを果たしてきたが、この機能、市場が成熟化するに従って複雑になり、外食等も含む食品産業の要望と、わが国農業の製品とがミスマッチを起こすようになり、自給率も下がっていった。
そのマッチング機能を、仲卸や、荷受け卸が行いはじめた。東京青果の業務二部のマッチング機能(提案機能)はそのさいたるものだ。

それを本来の農協が行うというのがアグリテクノジャパンのやり方。
土井副社長が農協の理事だったというのが大きい。

農家の技術をベースにした農機業の立ち上げという点では、宮城県大崎市のヒーロー石井さんもその例に漏れない。
石井さんの篤農技術を商品に活かし、日本で最も高い米を売っている。
アグリテクノは、すずさやかという秋田県農試が開発した品種を農協マンが指導して作付け展開、その商品を製品化しているケース。

中小食品企業の農業参入では、この原料調達力に難点を抱えている。農業現場への足がかりが弱い。その点が建設業者の参入とは異なる点。建設業者は自分で農作業をやってしまう。ただ、品質は二の次。ヒーローはそこに篤農技術を入れた。

足がかりが弱い食品企業の農業参入は従って、原料調達の不安定を抱えることになる。その結果が、東北で、会社の農業参入55件の内、建設業者32社、食品3社という違いになって現れている。

さてもう一社の事例があった。
株式会社グリーンライブ社長二上(にかみ)さん。
2000ねん脱サラして野菜加工販売業に。
もともとSE。
しかし農家の生まれ。第二種兼業農家。
昔から食べていた真仙中長茄子の漬け物を製品化

地元の農家14戸に作ってもらっているが、渡邊採取場を退職した人に技術指導を御願い。
苗を提供して栽培講習会を開催善良買い上げ制でスタートを切った。
その後、事業を拡大するにつれ、製品確保を産地業者に依存するようになり、およそ5割を確保、JAからは25%ほど、そして農家は20%に低下したが、特徴はいずれのルートでも、ここの生産者を特定できること。誰が作った農産物かがわかる仕組みを維持。原料確保のシステム化成功している。

やはりマッチング機能として大きい力となってるのは、産地業者だろう。
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