ハニカム薔薇ノ神殿

西南戦争の現地記者の話他、幕末〜明治維新の歴史漫画を描いてます。歴史、美術史、ゲーム、特撮などの話も。

「青天を衝け」に木戸孝允が出ない理由

2021年10月04日 | ドラマ映画アニメ音楽(エンタメ)
維新政府!というわけで
当然出るのかなという中、何人も出てない。
出てこない中一番削られ感があるのは、木戸孝允でしょう。
というか、木戸さんのおかげだろうという部分は多い中、逆に出さずにシナリオ書く技量がスゴい大森美香さんです。

このドラマ、あくまで
政治家は脇役。民間が主役。
政治家のおかげで今日の日本が成ったのでなく、それこそ日本人全て
戦って死んだ、知られざる武士も
ずっと農民やってた人も
夫を支えてきた妻も
みんな主役である、という見地のようです
みんな八百万の神。
モブ時代の新しい時代劇観。

平成から、群像劇が増えました。

歴史秘話ヒストリアで仮面ライダーを取り上げていて、平成ライダーからは正義の定義が複雑になったとありましたが。
現代は確かに多様性の時代で、どちらかの考えに属する、何かを成した英雄の伝説よりは、
それぞれが推しになるような作りになったと思います。
スマホアプリのゲームやコレクションカードを連想してもらえるとわかるかも。


そうすると
シナリオを成立させるのに難しいのがキャラクター配置です。
特に、主人公はメインで物語を運んでいきますから、みんなが主人公になると
同時多発的事象が多くなり、
ストーリーとしてまとめるのが困難になります。

物語を進めるには、昔ながらのパターンではありますが、二枚目三枚目など
キャラクターにポジションを与える、
主人公に脇役を配置する方が描きやすい。どうしても。

明治維新で、民間をメインにやりたい場合だと、木戸孝允は微妙に…キャラクターが五代友厚とかぶる。

もちろん、木戸さん自身、史実は五代とは全く違う。リアルはそれが当たり前。
ですが
あくまで現代的に更に「イケメン俳優」がこれを演じるとなると、キャスティングから難しいでしょう。
各キャラクターの個性を際立たせる事は
ドラマでは必須。
かぶってはならない…。

物語を進める上でどのセリフを誰に言わせるのか、がキャラ配置ですが。

個人的には確かに木戸さん出ないと寂しいなとも思いましたが。
これ、注文言い出すとあの人も!この人も!になりますよね。
しかも時間は限られていて、全部はムリ…。

維新政府メインメンバーのドラマは、また別の作品を作ればいいですよ。


これはあくまで、日曜日8時の大河ドラマ。ドラマコンテンツなんですよ。
歴史研究番組ではありませんよ。
(コンテンツとは何かを考えたら逆でしょ…知らん人が見るのよ、勉強しようでなくて、人の生き様が見たくて、明日に活かしたくて)

「カイコをゆでる」には爆笑してしまったです。
こういうちょっと挟むギャグのテクもスゴい。
私は「あさが来た」の時は、やらされてるのか脚本家の意図なのかはわかりませんが、若干公正な立ち位置ではない気がして、ややアンチでありましたが

あえて木戸さんでなく五代友厚を推す
その意図はこれ結構、大きい。
福沢諭吉だけでなく、当時並び評価されていた福地源一郎を出すのも。

さすがNHKだから、考証のすごさは細部の小道具美術を見ても充分です。
歴史ドラマの新時代を作る事を、安易なスノビズムで阻害しないでほしいです。
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