西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

ロンドンでの動物(ペットなど)風景

2010-05-12 | ロンドンの思い出(LSE時代など)
1988年2月10日以前の日記は、ノートにメモ風に書いている。本来の日記風かもしれない。今日は、ロンドンへ在外研究員で出かけていた1982年10月~1983年7月までの日記ノート4冊を書架に見つけた。読み出すと、これが自分で言うのも何だが面白いのである。

当時の光景がありありと目に浮かぶ。時々、日記の中に「覚え書き風」のエッセイのような文がある。これらは、まとめると面白いかもしれない。今日は、1982年12月11日(土)の日記に付随している「イギリス人と動物(ペット)」を表題のようにして紹介する。(若干、言葉遣いを変えている)

ローラ(猫)
 全体としてみると、イギリス人の方が日本人よりもより多くペットを飼っているといえよう。僕のとなりのモーア老夫妻も「ローラ」というメス猫を飼っている。近所に猫や犬を飼っている家が多い。庭によく近所の猫が入ってくる。少なくとも「ローラ」以外に三毛猫一匹、黒猫二匹をみかけた。そのうちの黒猫一匹が一回家に入ってきたことがあった。朝、台所のドアをあけてゴミを出していた妻が庭にいる黒猫をみつけて「Come on!」と呼んだところ、さっと逃げるのかと思いきや「庭石」を伝って台所口までやってきた。彼女がためしに「ニボシ」を二、三戸口においたらソロソロと近寄って臭いをかぎ、口にいれた。前にとなりの「ローラ」で試してみて失敗している妻は「アレ、この猫、ニボシ食べるよ」と叫んでいる。
 食堂にいた僕も台所口に立っていって見ると真っ黒な猫がノッソリと台所に入ってくるところだった。首輪をしているので当然どこかの飼い猫である。手を出してみたが別に逃げようともせず、かえってドンドン家の中に入ってくるという感じである。ノドをなでてやっても別にいやな顔もしていない。うれしい顔もしていない。ニボシをたべてから、ノソノソと食堂の方まで入ってくる。イスの足や洗濯物干しの足でさかんに背中をこする格好をしている。きっとかゆいのであろう。
 僕は、そんなに特に動物好きでもないのでやや離れて観察しているわけだが、妻のほうは動物が好きなものだから、ひょいと前足二つをつかんでイスの上にのせてやっている。別にいやがるわけでもなくなお背中をイスや妻の足にこすりつけている。
 食堂のドアは、その時すでに閉まっていたのだが、ややあってその黒猫はひょいとイスをおりてそのドアのところまでゆき、さかんに前足で開けようとしている。「ははーん、もう帰りたいのだな」と思って開けてやると、そんなに急ぐわけでもなく、またノソノソ台所の方にもどっていく。台所口まで行くかなと見ていると、途中で止まって、さかんに台所の中をかぎまわしている。
 妻は「ニボシの臭いがするからだわ」と言って又二、三与えている。背中をまるめてゆっくりとうまそうに食べている。恐らく、生まれてはじめての味ではないだろうか。食べ終わってもノッソリと僕らの顔を見上げているばかりで一向に出てゆこうともしない。
 僕は「もう出したら」といっていわば無理に戸外に押し出してドアを閉めた。ドアのガラス越しに見ていると、向こうでうずくまってこっちを見ているのである。ややあって、庭の木戸の下からとなりのほうに出ていった。
 このように、こちらの猫は、全然見ず知らずの人にも近寄ってくる場合が多いのである。


 猫がこうだから犬はなおさらである。朝夕、レセプション・ルームのカーテン越しに近所を散歩させている人を何人も見かける。それもほとんど鎖なしである。買い物に犬を連れてくる人も多い。特別に食物関係の店では「Sorry,no dogs allowance!」(すみませんが犬お断り!)と入り口に書いているが、他の店では中まで入ってくる場合もある。店の外で待たせている例もある。その場合も、おとなしく長時間でも待っている。地域の図書館の前でご主人が中で数時間も読書をしている間、外で待っている例も目撃した。
 地下鉄やバスににも犬は乗せてよいことになっている。盲導犬はタダだし、その他の犬は子ども料金である。地下鉄で真っ黒な犬(犬の種類も日本よりはるかに多くて、よく判別できない)をつれた婦人が僕のとなりに座ったことがあった。その犬は座ったその婦人に足をかけようとして、叱られて無理に足を床におろされている。やむなくそこいらを眺め回しているが、僕と眼があった。ヌーと僕のほうに首をつきだしてひざの上のカバンなどの臭いをかいでいるが、ただそれだけである。
 犬を自動車に乗せている人も多い。近所の家の外壁を塗りに来ていたペンキ屋の犬は、自動車の助手席で長時間、仕事が一段落するのを待っていた。公園に散歩に来ていた犬が帰りに自動車に乗せてもらって帰るのだが、ドアを主人が開けるとヒョイと飛び乗ってちゃっかり後ろの席に鎮座ましましている。盲導犬もよくみかける。
 犬の散歩は日常茶飯事で、鎖をつけていなくても噛み付くなどということはまずないのであるが、一つだけ「オヤッ」と思うことがある。それは、犬の糞を飼い主が始末しないことである。歩道によく「鎮座」しているのをみかける。が、いつの間にかなくなってはいる。その近くの人が処分したのか、市の清掃局の人が清掃したのかよくわからない。ロンドンでは並木も多く、落ち葉も多いのだが、その落ち葉は時々市の人が清掃しているのを見かけるので、その時、一緒に犬の糞も清掃するのかもしれない。(まあ、乾燥しているので、糞は日本ほど臭くはないのだが・・・)(続く)(馬、リス、小鳥編へ)

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1 コメント

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懐かしいです (shin-shin)
2010-05-14 20:18:32
34年前に欧州旅行しました際、ロンドンにも行きました。リージェントパークに行きたかったのですが、時間が有りませんでした。チャンスが有れば、また行きたいものです。
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