西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

ロンドンでの動物(ペットなど)風景(2)

2010-05-16 | ロンドンの思い出(LSE時代など)
1982年12月11日のロンドン滞在日記より(続き)


 糞というと犬より大きくて明らかに違うものもある。それは馬の糞である。僕の住んでいるBorough of Barnet(バーネット区)は北の郊外で、Open Spaceが豊富なので、馬の運動ををさせるところも多いのであろう。僕の家の近所に、ゴルフ場と墓場の間を抜けて林の小道があるのだが、この小道は馬の散歩道の一つにもなっているようである。
 狭い小道なので、こちらの散歩と向こうの馬での散歩とかち合うことがあるが、木の間に入ってよけてやると「Thank you!」と可愛い娘さんの声が返ってくることもある。時々、自動車に貼り付けているのと同じ「L」マークを乗馬服に貼り付けている人も見かける。(「L」マーク・・・Learning 修行中、初心者)

リス
 この小道の両側の林には、リスが住んでいる。散歩の途中、ガサガサいうので何かと思ったら小リスが木をのぼり木を飛び移っているのだった。色はうすい灰色をしている。僕はヘンドン図書館に通う時は、たいていこの道を通るのだがいつも、2、3匹のリスに出会う。
 中には全く逃げずにすぐそばの道ばたで木の実か何かを盛んにかじっている。食べるのに夢中で逃げ忘れたか、あるいは「また例の奴が通るぞ」と安心しているのかどうか分からない。逃げるといっても姿も見せずにいつの間にかというわけでもなくて、大抵は音のするほうを見ると、リスが木をよじ登っていたり木の蔭にかくれたりしているのがみえるのだから、「間が抜けている」といえるかもしれない。

小鳥
 ロンドンに初めて来た人がまず行くところは、「トラファルガー広場」かもしれない。ここからは、繁華街の方にも近いし、ビッグ・ベンのある国会の方にもバッキンガム宮殿の方にも近い。また、すぐ横にタダで入れる「ナショナル・ギャラリー」(国立美術館)がある。このネルソン提督の高い塔の下の広場は、また、鳩の群れが集るところである。観光客が、奈良の鹿に対するのと同じようにエサを買って与えるために、全く人怖じしない鳩の群れとなっている。足元まで来ても、意識的に蹴飛ばさない限り逃げないし逃げるといってもバタバタと2,3メートル飛び下がるだけである。手や肩、頭の上にさえ平気に止まってエサをねだっている。
 これほどでもないが、僕が「ハイ・ホルボーン」の公園で「take away(お持ち帰り)」のサンドイッチなどをベンチで食べていたら、やはり鳩とスズメがやってきた。鳩が人に近づくのは当然としてスズメがすぐ手の届くほどそばまで来て投げてやったパンくずを平気で食べているのには少し驚いた。
 イギリスの庭にやってくる小鳥(文字通りGarden birdsと言う)も、日本より種類が多いようだ。スズメや鳩のほかにblack bird(カラスにあらず)や私の知らないものも来る。イギリス人はバード・ウオッチング(小鳥観察)が好き、というのも多種多様なの小鳥がいるからだろう。ある日の朝、となりのモーア老夫妻の家と僕の家の境に立っている木にガーデン・バードが鈴なりになっているのを見つけて、フト餌でもやってみようか、という気になってパンくずをパラパラと庭先にまいてみた。しかし、一向に我が庭に降りてこず、となりの庭のほうばかりに降りてくる。おかしいなと思って2階の窓からとなりの庭を見下ろしてみてたまげてしまった。そこら中、2-3メートル四方一面に白くなるほどパンくずがまかれているのだ。他に止まり木付きのエサ箱も木に吊るしているのである。これでは、こちらに降りてこないはずである。
 次の日から捨てていたパンの耳を大切に大切にとっておいて、それを細かくちぎって隣りほどではないが、少し芝生が白くなるほどにまいてみた。案の定、降りてきた。小鳥にも習性がもちろんあって、見ていると面白い。勇気のある(?)一羽がまず近くに降りてきて様子をうかがい思い切って食べだすと、いっせいに木々や屋根や塀に止まっていた奴が降りてくる。窓のカーテンをめくったり、一寸物音をさせるといっせいに飛び立ってしまう。別の日に焼き飯の残りや白い飯の残りも置いてみたが、知らないうちになくなっていた。

 以上、猫、犬、馬、リス、小鳥について観察した二三のことを書いてきたが、総じて、こちらの小動物は(日本と経験的に比較して)人間により近い存在ではないかということである。イギリス人は動物好きの国民といえるだろう。(一応、終わり)

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