Miraのblog

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映画

2024-04-28 20:09:25 | 過去Blog

 

映画トラブル

   趣味という程ではないが、映画鑑賞はしている方だと思う。
小生の場合いわゆる青春時代、つまり昭和時代は映画館がよくやってくれていた2本立てや、3本立てを観に行ったものだ。
500円くらいで3本観れる。お得だった。

ロードショーという言葉を最近聞かなくなったが、貧乏人は最新封切りでなくとも、いわゆる中古品でも、映画は映画だ。

しかし映画はテレビという怪物に圧されていったのも昭和であろう。少しづつ3本立ての映画館も減少していく。

   だからと言って経済的に少し裕福になったであろう昭和末期であっても、積極的に映画を観に行く事はなかった。忙しかったという事もあったが「正規料金を払ってまで観る価値を感じなかった」のが本音だ。

   平成という時代の前半に世間はバブルという現象が起きたらしい。小生の回りには、その恩恵に預かった人を見なかったので「らしい」が本音だ。
   その頃も映画館に通った覚えはない。

   そんな小生が出来るだけ積極的に映画鑑賞をするキッカケを作ってくれた人がいた。
年下で特に優れた能力を感じた事もない男だが、シャレが利く。
   その映画のタイトルは何だったのだろうか?宇宙物でハリウッド映画だったのだろう。小生は彼に対し「くだなねぇ」とか言った覚えがある。
「先輩、あれってスッゲエ金、掛かってますよね!」
新宿東南口の交番前から見える看板を指して言った彼の言葉だ。

この時、小生の貧乏人根性に火がついた。
「そうだ、映画って大金を掛けて作っているんだ」「安い作品でも数千万円、高くなれば何十億円?」
急に1000円、2000円の映画の切符が安く感じられた。

「お得だから観る」これこそ小生の映画鑑賞哲学だ。

   先日、一時間半をかけて、ある映画を観に行った。MovieWalkerというサイトが一位だとランク付けしていたからだ。
12時からの上映で午後2時くらいには終わるスケジュール。午後3時にアポイントがあるので、ちょうど良い。

   ところが、切符売場のお兄さんが、小さな声で「実は・・・」
「えっ、どうしたの?」と小生。

「申し訳無いのですが、映写機の故障で、12時の上映は無くなりました」とさ・・

いまどき・・・頭が真っ白に・・・
交通費もバカにならない。「どうしてくれるんだ!」とお兄さんに言いたい。

   時間を2ヶ月ほど巻き戻す。
小生は、とある映画館の切符売り場にいた。
この時、隣の売り場に原発事故を題材にした映画を見にきていたお年寄りがいた。どうもプログラムの情報が古く、老人が思っていた時間に上映されておらず、切符売場で食い下がっている。
なぜなら老人が映画館に着いたら、その映画は既に一時間前に始まっていた様だ。

老人は、この映画を観るために新幹線に乗ってワザワザやってきた。
今日、絶対に観て帰りたいのだ。
   売場の兄ちゃんはオタオタしていた。
ところが状況を察知した近くにいた若者がスマホを駆使して、銀座の方でその映画の上映がある事を発見したようだ。
今から行けば上映に十分間に合いそうだと、何人かの若者が路線案内を調べ始める。
さらに違う若者が老人を連れて地下鉄の駅に向かって歩き出した。
   いまどきの若者達が田舎から出てきた老人の苦境を知って、連携して動いた美しい物語を見てしまった。

この事件に比べれば、小生が1時間半かけてやってきた電車代など、取るに足らない金額だろうし、大した苦労ではない。
映写機の故障は、この売場のお兄さんのせいではない。
我慢する事にした。
午後3時のアポイントまで、スタバでこの文章を書いている(笑)

おしまい