goo blog サービス終了のお知らせ 

一歩先の経済展望

国内と世界の経済動向の一歩先を展望します

1月日銀会合の主な意見、次の利上げに積極的な複数の声 市場織り込みとギャップ

2025-02-03 17:05:31 | 経済

 日銀が3日、今年1月23-24日に開催した金融政策決定会合における「主な意見」を公表した。今回は政策金利を0.5%に引き上げる利上げが決定された会合だったが、早くも次の利上げに向けて積極的な意見が複数、盛り込まれていた。市場の利上げ織り込みに大きな変化はなかったが、7月利上げの織り込みが70%、9月が90%と市場の多くは次の利上げが6カ月以上、先にあるとみており、足元で起きている「変化の胎動」に鈍感ではないか、と感じた。

 

 筆者が注目したのは、利上げを決めた会合において次の利上げの可能性や必要性を指摘する声が複数紹介され、全体として次の利上げに前向きとみられる「印象」が強くなる構成だったことだ。

 一人の委員からは「利上げ後も、実質金利は大幅なマイナスであり、経済・物価がオントラックであれば、それに応じて、引き続き利上げをしていくことで、そのマイナス幅を縮小していく必要がある」との見解が示された。

 この意見が単独で「タカ派的」であれば、それほど強い印象にはならなかったとみられるが、別の委員も「新年度に向けた価格転嫁の一段の進展や円安進行で、物価が上振れる可能性もあるほか、不動産も含めた資産価格上昇で投資家の期待も高まっている」と心理面での変化が指摘した。その上で「今後、過度な緩和継続期待の醸成による円安進行や金融の過熱を避ける観点から、金融緩和度合いの調整を行うことも必要である」と述べ、利上げ継続の必要性について言及した。

 さらに別の委員は「企業や家計の予想物価上昇率は、概ね2%程度となっているとみている。今後は、金融政策が影響を及ぼし得る『市場ベースの物価』(家賃や公共サービスを除いた物価)をよく見ながら、物価の上振れリスクに注意していくべき局面にある」と、物価上振れのリスクに言及した。

 「経済・物価がオントラックで推移する中、インフレ上振れリスクが膨らんでおり、金融緩和度合いを適時・段階的に調整していくことが適当である」と述べた委員も含めると、遠い将来にインフレリスクが目立ち始め、それを見逃さないようにしたい、というスタンスとは明らかに違うトーンが醸し出されていると感じた。

 

 市場の3日時点での利上げ織り込みは、3月会合がゼロ%、4月30日ー5月1日の会合が18%、6月が38%、7月が70%、9月が90%となっている。大まかにいえば、7月あたりから利上げの可能性を指摘する声が多数派となり、9月までには利上げするとの見方が大勢を占めるということだ。

 だが、筆者が今回の「主な意見」を見て感じたのは、ボードメンバーの中には物価上振れと金融緩和度合いの調整を目的にした利上げの検討をもっと手前で行う必要性を感じている声が増えているということだ。

 過去のデータを基に次の利上げまで最低でも6カ月はかかる、と決めつけている市場参加者が多いとすれば、それは「油断」につながる可能性があると指摘したい。

 これから出る様々の経済データに関し、細心の注意を払って分析する必要があるだろう。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« トランプ関税の影響と行方、... | トップ | 対メキシコ・加の関税実施先... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済」カテゴリの最新記事