2009年10月12日(月・祝) まだ朝
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/5d/f93e19946e35f5b48097149b369d8412.jpg)
いよいよ、鎖場の登場です
「広い沢状の岩場で20m、太い鎖あり」な地点
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/7c/121bf4fb76fda689cedec074ca472f83.jpg)
振り返る度に、来て良かったと思える景色が広がります
百間長屋を過ぎ、西窟を越えたあたりから、いよいよ鎖場が登場してきます。ここからが核心部と呼ばれる本格的な岩場となるようで、身を引き締めて臨まなければなりません。この先に待つのはどんな光景かとドキドキしながら、鎖場を抜けていると、先の方から学生さんらしき二人組が見えてきました。
彼らは、すっかり鎖場に興奮しきりのようで、
「俺の勇姿を見てくれ!」
とかなんとか、鎖をつかみ崖をよじ登りながら写真を要求したりと、なんとも楽しい会話が聞こえてきます。その興奮、よく分かります。
そんな微笑ましい会話を聞きながら後を追っていくと、先に行っていた一人が壁面にへばり付いているのが見えてきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/8e/1b494eba7b5df6e9724f7c53a2c3216c.jpg)
うへぇ・・・何だこれ
登った人には思い出深い、結構難所に感じる鎖場です
鎖を伝いながら上に登り、そのまま鎖に沿って横に移動し、また上に登るということは、つながっている鎖に沿って見れば理解出来るものの、最後の登り返す場所に足場が見えず、変なVゾーンになっているのが気になります。案の定、
「おぃ、ここ足置く場所ないぞ」
という先程の興奮した声とはうって変わって、さらに1オクターブ高い悲鳴のような叫びが聞こえてきました。足運びから判断すると、山レベルはまだまだこれからといった感じですから、こちらもハラハラしながら見守ります。この順番で歩いていると、先陣がいるからか、自分よりも大変そうな人がいるからか、何だか保護者感覚で落ち着いてきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/4f/7a60abfd2559c7f8ae43fb3dfba3d1d6.jpg)
鎖場の登りを越えるたびに振り返ると
頑張ったご褒美と言わんばかりの景色
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/63/ce06dd9a70f0a842abb3a18fa4e14620.jpg)
若者コンビが先陣を切って、鎖場をせっせと登ります
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/62/466266c8fc5341b62e7c3b75a3c6b1b1.jpg)
この時点ではまだ余裕な状態
影を使って記念撮影
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/5f/e12c7f48eff75ada2dc8f250823da697.jpg)
槍ヶ岳もアルプスの山々も、こんなにくっきり一望出来るなんて久しぶり
今日を選んだ自分に、グッジョブ!!
このまま、あの蟻ノ戸渡まで彼らが先陣をきってくれると何かと助かるなぁ、なんて思っていましたが、二人組もさすがに疲れてしまったのか、気を遣ってくれたのか、結局、途中で道を譲られてしまいました。あらら、自分が先頭です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/e5/f3d3fab4ea92717b5449816016cd27cc.jpg)
胸突き岩
「斜度約70度、15m」と聞くと、結構なものだと緊張してしまいます
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/d1/c1caf567dafa32e3bf49c71495035474.jpg)
怖いもの見たさなのでしょうか・・・胸突き岩の上から下を眺めて、後悔しきり
雪景色となったアルプスの景色に見惚れつつ、せっせと鎖場を乗り越えていくと、一目でメインと分かる場所に到着しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/04/5a976978466044efa1f59a1da37e51d1.jpg)
この赤い○印を越えれば、いよいよ蟻ノ戸渡です
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/68/75bf804e93aa6b09d652c148c7042103.jpg)
ついに来ました核心部
まるで蛇がのたくった感じに見えます
・・・いや、これは、なんとも。
予想はしていましたが、実際にこんなルートを見せられては、さすがに緊張度が増してきます。
先のルートが見渡せるこの場所から、蟻ノ戸渡から先の歩き方をシミュレートしているだけで、自然と足が震えてきます。この震えは、ただの運動不足? いやいや、武者震ってるだけ? と、理由を考えてはみるものの、足に根が張ったかのようにパッタリと止まってしまいました。
こ、怖えぇ・・・
幼少の頃に一番怖い場所と感じていたのが、柵の無い屋上だったなぁ、なんてことが何故だか思い出されます。そう、今までは、ロープだ、鎖場だ、岩場だと、まだ何かしらの支えがあったわけでして、何もすがるものが無い場所というのが、一番怖いものなのだと思い知らされます。 まるで、これから独り身で生きていかなければならない、支えの無い人生が一番怖いことを暗示しているかのような・・・って、バカ 兎に角、噛めば噛むほど味が増していくスルメのように、考えれば考える程に怖さが増していく蟻ノ戸渡を前に、心が恐怖に蝕まれていくのでした。
そんな停滞をしていると、後から来ていたオジサンが追い付いてきました。
これ幸いと、お先にどうぞどうぞと先陣を譲ります。オジサンは、「何で先に行かないの?」という顔をしていましたが、こちとら、恐怖にがんじがらめでどう踏み出したものかタイミングが掴めない状態。引きつった精一杯のアルカイックスマイルと共に、景色が良いので写真を撮っていますからという三文芝居を織り交ぜて、先に行くオジサンがどう攻略するのか見守ることにしたのでした。
自分の勝手な期待を一身に背負ったそのオジサンですが、特に恐い場所ではないですよと言わんばかりに進んでいくではありませんか。攻略も何も、普通の登山道のようにスイスイ歩いて行くだけ。これがベテランの凄さなのか・・・いや、もしかすると、名前や見た目のイメージで遠くから見ていると怖く見えているだけなのかもしれないと、すっかりポジティブシンキング。ここぞとばかりに自分もオジサンの後ろ姿を追って、この領域に足を踏み入れたのでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/9a/88715ad9fa267f81697d542e3829ebd4.jpg)
ふふふ、こんなの見た目だけですって
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/c4/33f1c88ff37a7dea53315ff6f2e4ed42.jpg)
最初の鎖場を越えるまでは順調そのもの
歩き出してみると、案外このまま楽チンで歩けるのでは、と思えてきました。「ええぃ、ここまできたらやってやるわ!」というヤケクソながら積極的に進む気持ちも芽生えてきて、とてもいい調子だったのですが、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/50/f33022aa3c47d645459ab8e83825dee1.jpg)
・・・どうしろと?
右側には、エスケープルートとして利用されていたと思しき鎖がありますので、こっち側なら落ちても大丈夫かな(いや、ダメだろ)なんて思いつつ、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/33/1f0f101579209f75d3217f1286291c35.jpg)
左は・・・ダメだなぁ
そう、変な想像をすればするだけ身体はガチガチになるばかり。好奇心から見てしまったのが悪いのですが、手足がナヨナヨと萎縮するような感覚が襲い、四つん這いも見事なへっぴり腰となっていることでしょう。そんな格闘をしている自分の前では、先程順調に歩いていたオジサンが
「こりゃ、大変だぁ・・・」
なんて呟いています。見ると岩場に馬乗りになって進んでいるではありませんか。おいおい、これから先どうなっていくんでしょうか・・・。
それにしても、四つん這いで歩いた記憶など女王様に踏ま・・・ないって 学生の頃以来あったかどうかという、いつの頃か忘れる位ですから、歩き方が上手くつかめません。岩場をしっかり掴みつつとやってみても、狭い場所でもありますし、なんといっても「落ちたら死ぬかも」という恐怖心が手を離すことを躊躇させます。実のところ、『平均台を歩くかの如く軽やかに立って歩いてやろうか』なんて格好つけたいお年頃な想像をしていた数時間前の自分に、この姿を見せて猛省を促したい気分です。しかし、何事も無事に帰ってからの話。笑い話としてブログに書くまでは、何としても突破しなければなりませんから、どんなへっぴり腰だろうと構わず、一歩一歩慎重に進みます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/6e/e697ced2befff70083ea594a9c77e5fb.jpg)
蟻ノ戸渡をなんとかクリア
写真で見ると何てこと無いように見えるんですけどね
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/53/9222fbdeb2e4ecd1905ddb0de9c520e0.jpg)
ようやく周囲を見渡す余裕が出てきました
蟻ノ戸渡という難所は、何とかクリアしたようで、一段落出来そうな場所で腰を落ち着けます。ここで、ようやく周囲を眺める余裕が出て来ました。それにしても、こんな場所を歩いたとは、と自分の来た道を振り返りつつ飽きれてしまいます。しかし、今日の天気の良さは、本当に大正解。やっぱりアルプスまで見渡せる程の天気の良い日の山行は、気分的にもいいものです。ほら、八方睨の山頂ももうすぐのようですし・・・って、前方の岩の先に再び嫌なものを見た気がします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/c9/e1cc812496030ff55cba5307597c0005.jpg)
な、何これ?
今までのがまだ可愛げがあったと言えるような細い細い道、いやこうなるともう崖でしょう。蟻ノ戸渡ばかりに気をとられていましたが、ここが通称「剣の刃渡り」。これを渡るだなんて、何と恐ろしいルートを考えてくれたものだと、何だか笑いがこみ上げてきます。ふふふっ(涙)。とはいえ、渡るのは自分ですから、どうしたものか真剣に考えなくてはいけません。
確か、ルートを調べていた時も、先月歩いていたまゆ太さん達も、ここは下に降りて通過していた事を思い出します。ええっと、「リッジ左下の足場を利用」でしたね。そうそう、こういったコース攻略には、何事も予習が大切です(あること自体を忘れていたくせに)。ここは隣に足を伸ばして・・・。
あれ。
足が伸びないぞ・・・。
まゆ太さんのブログでいとも簡単に降りていた左の足場に、このダックスフンドのような自分の足が届きません、いや届く気がしません。すくんでしまった足は、何とも頼りなく虚空を彷徨うばかりなのです。落ちたら滑落、という選択肢を前にして、このまま足を降ろすというチャレンジをすることが躊躇われます。かといって、このままチワワ・・・もとい、木から降りられなくなったデブ猫のように震えていても何の解決にもなりません。とにかく足を下ろすために方向転換をしたいのですが、正月に見掛ける出初め式のように、ほっ!よっ!と自分に掛け声をかけつつ方向転換を試みますが、いつの間にか進行方向と逆を向いていたりとギクシャクが留まるところをしりません。あぁ、チキンな自分が情けない・・・。
とにかく、落ち着け。
後ろからプレッシャーをかけてくるような方がいなかったのは幸いな事で、取りあえず写真でも撮っている風を装いながら(本日2回目)、気持ちを落ち着かせます。そして、これは、もう最終手段しかないと判断した自分は、おもむろに狭い通路に跨りました。先程のオジサンや他の方の記事でも見た跨ぎ前進(?)を試みることにしました。跨いでみるとこれまた足の置きどころが無いのが悩ましく、例えていうなら、『跳び箱を越えられなくて上に乗っかってしまった状態』とでも言いましょうか。ズルズルと腕とお尻の力で移動する感覚をことさら懐かしく思い出しました。あ、走馬燈じゃないです。
何とか進むコツらしきものを掴み、少しずつ進み始めた自分の目の前に、今回最も細くなる場所と、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/00/f6c6a63122af164a8cdfb20429a7da6f.jpg)
何、あの真ん中の出っ張り
このまま跨いでいくと、あのピラミッド状の突起が何やら悪さをしそうな、何とも嫌な予感がします。とはいえ、出来ることといえば、ここまで来たら、飛び越えるしかありません。ギリギリ直前まで近付き、えいやっと二の腕に気合いを入れ、モンスターボックスにチャレンジするアスリートな気分で飛び出した・・・はずでしたが、こんな場所でジャンプなんて出来るはずもなく、前半部分の貞操(?)は辛うじて守られたものの、最近めっきり重くなった臀部に見事突き刺さったのです。ゴスッと。しかし、正直そんなことにリアクションをとっている場合でもありませんから、ウッという鈍い悲鳴を飲み込み、できる限りの速さでその場をやり過ごしたのでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/d5/6fb9ac2470b3741a87376942236de580.jpg)
つ、ついに通過しました!!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/88/03d6f7f1aff1d9bb123ccec17a1e420b.jpg)
苦労した後の景色はまた格別だなぁ・・・
ようやく安全な場所に避難した途端、今まで興奮で感じていなかった足への負担と緊張が解けたことが引き金になったためか、いきなり太股に筋肉痛のような感覚が襲います。恐らく筋肉が緊張しっ放しで強張っていたためでもあるのでしょう。恐怖なのか何なのか分からない位にプルプルとし始めたのでした。
痛い、でも、生きてる。
何というか、変なポジティブシンキングが生まれてしまいました。この経験を経た事で何かが変わったのかもしれません。
その後、ヒイヒイ言いながら最後の登りを上り終えると八方睨に到着。上からあの場所は、どんな風に見えるか眺めてみると、例の学生さんコンビがチャレンジしているのが見えました。同じ経験をしている仲間としては、「形なんてどうでもいい、とにかく頑張れ」という温かい気持ちで見守ることが出来るようになったのは、いい経験だったのかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/5e/b986dc8b44f7f015a2d267320e2c4705.jpg)
※ この山行報告はノンフィクションであり、かいねこさんも、もうちょっとやれば出来るはずなんです。こんなヘタレな感じになっているのは、このブログに書くための演技・演出であって、蟻ノ戸渡も言うほどそんなに怖くはありません。ですからも皆さんも、この報告を見てやめたなんて言わずに、同じ恐怖と自分自身のヘタレっぷりを味わいに 是非とも絶景を求めてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/5d/f93e19946e35f5b48097149b369d8412.jpg)
いよいよ、鎖場の登場です
「広い沢状の岩場で20m、太い鎖あり」な地点
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/7c/121bf4fb76fda689cedec074ca472f83.jpg)
振り返る度に、来て良かったと思える景色が広がります
百間長屋を過ぎ、西窟を越えたあたりから、いよいよ鎖場が登場してきます。ここからが核心部と呼ばれる本格的な岩場となるようで、身を引き締めて臨まなければなりません。この先に待つのはどんな光景かとドキドキしながら、鎖場を抜けていると、先の方から学生さんらしき二人組が見えてきました。
彼らは、すっかり鎖場に興奮しきりのようで、
「俺の勇姿を見てくれ!」
とかなんとか、鎖をつかみ崖をよじ登りながら写真を要求したりと、なんとも楽しい会話が聞こえてきます。その興奮、よく分かります。
そんな微笑ましい会話を聞きながら後を追っていくと、先に行っていた一人が壁面にへばり付いているのが見えてきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/8e/1b494eba7b5df6e9724f7c53a2c3216c.jpg)
うへぇ・・・何だこれ
登った人には思い出深い、結構難所に感じる鎖場です
鎖を伝いながら上に登り、そのまま鎖に沿って横に移動し、また上に登るということは、つながっている鎖に沿って見れば理解出来るものの、最後の登り返す場所に足場が見えず、変なVゾーンになっているのが気になります。案の定、
「おぃ、ここ足置く場所ないぞ」
という先程の興奮した声とはうって変わって、さらに1オクターブ高い悲鳴のような叫びが聞こえてきました。足運びから判断すると、山レベルはまだまだこれからといった感じですから、こちらもハラハラしながら見守ります。この順番で歩いていると、先陣がいるからか、自分よりも大変そうな人がいるからか、何だか保護者感覚で落ち着いてきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/4f/7a60abfd2559c7f8ae43fb3dfba3d1d6.jpg)
鎖場の登りを越えるたびに振り返ると
頑張ったご褒美と言わんばかりの景色
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/63/ce06dd9a70f0a842abb3a18fa4e14620.jpg)
若者コンビが先陣を切って、鎖場をせっせと登ります
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/62/466266c8fc5341b62e7c3b75a3c6b1b1.jpg)
この時点ではまだ余裕な状態
影を使って記念撮影
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/5f/e12c7f48eff75ada2dc8f250823da697.jpg)
槍ヶ岳もアルプスの山々も、こんなにくっきり一望出来るなんて久しぶり
今日を選んだ自分に、グッジョブ!!
このまま、あの蟻ノ戸渡まで彼らが先陣をきってくれると何かと助かるなぁ、なんて思っていましたが、二人組もさすがに疲れてしまったのか、気を遣ってくれたのか、結局、途中で道を譲られてしまいました。あらら、自分が先頭です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/e5/f3d3fab4ea92717b5449816016cd27cc.jpg)
胸突き岩
「斜度約70度、15m」と聞くと、結構なものだと緊張してしまいます
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/d1/c1caf567dafa32e3bf49c71495035474.jpg)
怖いもの見たさなのでしょうか・・・胸突き岩の上から下を眺めて、後悔しきり
雪景色となったアルプスの景色に見惚れつつ、せっせと鎖場を乗り越えていくと、一目でメインと分かる場所に到着しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/04/5a976978466044efa1f59a1da37e51d1.jpg)
この赤い○印を越えれば、いよいよ蟻ノ戸渡です
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/68/75bf804e93aa6b09d652c148c7042103.jpg)
ついに来ました核心部
まるで蛇がのたくった感じに見えます
・・・いや、これは、なんとも。
予想はしていましたが、実際にこんなルートを見せられては、さすがに緊張度が増してきます。
先のルートが見渡せるこの場所から、蟻ノ戸渡から先の歩き方をシミュレートしているだけで、自然と足が震えてきます。この震えは、ただの運動不足? いやいや、武者震ってるだけ? と、理由を考えてはみるものの、足に根が張ったかのようにパッタリと止まってしまいました。
こ、怖えぇ・・・
幼少の頃に一番怖い場所と感じていたのが、柵の無い屋上だったなぁ、なんてことが何故だか思い出されます。そう、今までは、ロープだ、鎖場だ、岩場だと、まだ何かしらの支えがあったわけでして、何もすがるものが無い場所というのが、一番怖いものなのだと思い知らされます。
そんな停滞をしていると、後から来ていたオジサンが追い付いてきました。
これ幸いと、お先にどうぞどうぞと先陣を譲ります。オジサンは、「何で先に行かないの?」という顔をしていましたが、こちとら、恐怖にがんじがらめでどう踏み出したものかタイミングが掴めない状態。引きつった精一杯のアルカイックスマイルと共に、景色が良いので写真を撮っていますからという三文芝居を織り交ぜて、先に行くオジサンがどう攻略するのか見守ることにしたのでした。
自分の勝手な期待を一身に背負ったそのオジサンですが、特に恐い場所ではないですよと言わんばかりに進んでいくではありませんか。攻略も何も、普通の登山道のようにスイスイ歩いて行くだけ。これがベテランの凄さなのか・・・いや、もしかすると、名前や見た目のイメージで遠くから見ていると怖く見えているだけなのかもしれないと、すっかりポジティブシンキング。ここぞとばかりに自分もオジサンの後ろ姿を追って、この領域に足を踏み入れたのでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/9a/88715ad9fa267f81697d542e3829ebd4.jpg)
ふふふ、こんなの見た目だけですって
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/c4/33f1c88ff37a7dea53315ff6f2e4ed42.jpg)
最初の鎖場を越えるまでは順調そのもの
歩き出してみると、案外このまま楽チンで歩けるのでは、と思えてきました。「ええぃ、ここまできたらやってやるわ!」というヤケクソながら積極的に進む気持ちも芽生えてきて、とてもいい調子だったのですが、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/50/f33022aa3c47d645459ab8e83825dee1.jpg)
・・・どうしろと?
右側には、エスケープルートとして利用されていたと思しき鎖がありますので、こっち側なら落ちても大丈夫かな(いや、ダメだろ)なんて思いつつ、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/33/1f0f101579209f75d3217f1286291c35.jpg)
左は・・・ダメだなぁ
そう、変な想像をすればするだけ身体はガチガチになるばかり。好奇心から見てしまったのが悪いのですが、手足がナヨナヨと萎縮するような感覚が襲い、四つん這いも見事なへっぴり腰となっていることでしょう。そんな格闘をしている自分の前では、先程順調に歩いていたオジサンが
「こりゃ、大変だぁ・・・」
なんて呟いています。見ると岩場に馬乗りになって進んでいるではありませんか。おいおい、これから先どうなっていくんでしょうか・・・。
それにしても、四つん這いで歩いた記憶など
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/6e/e697ced2befff70083ea594a9c77e5fb.jpg)
蟻ノ戸渡をなんとかクリア
写真で見ると何てこと無いように見えるんですけどね
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/53/9222fbdeb2e4ecd1905ddb0de9c520e0.jpg)
ようやく周囲を見渡す余裕が出てきました
蟻ノ戸渡という難所は、何とかクリアしたようで、一段落出来そうな場所で腰を落ち着けます。ここで、ようやく周囲を眺める余裕が出て来ました。それにしても、こんな場所を歩いたとは、と自分の来た道を振り返りつつ飽きれてしまいます。しかし、今日の天気の良さは、本当に大正解。やっぱりアルプスまで見渡せる程の天気の良い日の山行は、気分的にもいいものです。ほら、八方睨の山頂ももうすぐのようですし・・・って、前方の岩の先に再び嫌なものを見た気がします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/c9/e1cc812496030ff55cba5307597c0005.jpg)
な、何これ?
今までのがまだ可愛げがあったと言えるような細い細い道、いやこうなるともう崖でしょう。蟻ノ戸渡ばかりに気をとられていましたが、ここが通称「剣の刃渡り」。これを渡るだなんて、何と恐ろしいルートを考えてくれたものだと、何だか笑いがこみ上げてきます。ふふふっ(涙)。とはいえ、渡るのは自分ですから、どうしたものか真剣に考えなくてはいけません。
確か、ルートを調べていた時も、先月歩いていたまゆ太さん達も、ここは下に降りて通過していた事を思い出します。ええっと、「リッジ左下の足場を利用」でしたね。そうそう、こういったコース攻略には、何事も予習が大切です(あること自体を忘れていたくせに)。ここは隣に足を伸ばして・・・。
あれ。
足が伸びないぞ・・・。
まゆ太さんのブログでいとも簡単に降りていた左の足場に、このダックスフンドのような自分の足が届きません、いや届く気がしません。すくんでしまった足は、何とも頼りなく虚空を彷徨うばかりなのです。落ちたら滑落、という選択肢を前にして、このまま足を降ろすというチャレンジをすることが躊躇われます。かといって、このままチワワ・・・もとい、木から降りられなくなったデブ猫のように震えていても何の解決にもなりません。とにかく足を下ろすために方向転換をしたいのですが、正月に見掛ける出初め式のように、ほっ!よっ!と自分に掛け声をかけつつ方向転換を試みますが、いつの間にか進行方向と逆を向いていたりとギクシャクが留まるところをしりません。あぁ、チキンな自分が情けない・・・。
とにかく、落ち着け。
後ろからプレッシャーをかけてくるような方がいなかったのは幸いな事で、取りあえず写真でも撮っている風を装いながら(本日2回目)、気持ちを落ち着かせます。そして、これは、もう最終手段しかないと判断した自分は、おもむろに狭い通路に跨りました。先程のオジサンや他の方の記事でも見た跨ぎ前進(?)を試みることにしました。跨いでみるとこれまた足の置きどころが無いのが悩ましく、例えていうなら、『跳び箱を越えられなくて上に乗っかってしまった状態』とでも言いましょうか。ズルズルと腕とお尻の力で移動する感覚をことさら懐かしく思い出しました。あ、走馬燈じゃないです。
何とか進むコツらしきものを掴み、少しずつ進み始めた自分の目の前に、今回最も細くなる場所と、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/00/f6c6a63122af164a8cdfb20429a7da6f.jpg)
何、あの真ん中の出っ張り
このまま跨いでいくと、あのピラミッド状の突起が何やら悪さをしそうな、何とも嫌な予感がします。とはいえ、出来ることといえば、ここまで来たら、飛び越えるしかありません。ギリギリ直前まで近付き、えいやっと二の腕に気合いを入れ、モンスターボックスにチャレンジするアスリートな気分で飛び出した・・・はずでしたが、こんな場所でジャンプなんて出来るはずもなく、前半部分の貞操(?)は辛うじて守られたものの、最近めっきり重くなった臀部に見事突き刺さったのです。ゴスッと。しかし、正直そんなことにリアクションをとっている場合でもありませんから、ウッという鈍い悲鳴を飲み込み、できる限りの速さでその場をやり過ごしたのでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/d5/6fb9ac2470b3741a87376942236de580.jpg)
つ、ついに通過しました!!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/88/03d6f7f1aff1d9bb123ccec17a1e420b.jpg)
苦労した後の景色はまた格別だなぁ・・・
ようやく安全な場所に避難した途端、今まで興奮で感じていなかった足への負担と緊張が解けたことが引き金になったためか、いきなり太股に筋肉痛のような感覚が襲います。恐らく筋肉が緊張しっ放しで強張っていたためでもあるのでしょう。恐怖なのか何なのか分からない位にプルプルとし始めたのでした。
痛い、でも、生きてる。
何というか、変なポジティブシンキングが生まれてしまいました。この経験を経た事で何かが変わったのかもしれません。
その後、ヒイヒイ言いながら最後の登りを上り終えると八方睨に到着。上からあの場所は、どんな風に見えるか眺めてみると、例の学生さんコンビがチャレンジしているのが見えました。同じ経験をしている仲間としては、「形なんてどうでもいい、とにかく頑張れ」という温かい気持ちで見守ることが出来るようになったのは、いい経験だったのかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/5e/b986dc8b44f7f015a2d267320e2c4705.jpg)
※ この山行報告は
そうだよねぇ~~~。
まゆ太さんと私とじゃ。。。。。orz
先週、行かなくてよかったよ~~。
かいねこさん、ありがとう。
私はやっぱ、戸隠でお蕎麦食べて、鏡池の景色見て、温泉入って寛ぐのが性に合っているようです。
勇気を奮ってレポ書いてくださってありがとうございました。
飼い猫さんが とってーもカッコヨクみえます。
あっ 不思議じゃないのか・・ぼそっ
よくぞ無事に生還されたし。
「蟻の戸渡り」誰が名づけたのか、あまりにぴったし。
「熊の戸渡り」だったら行くんだけどなー
怖さはもうすっかり忘れていましたが、八方睨からの景色は良かったと記憶しています。
隣の飯縄山から眺む戸隠山もすてきですすョ。
北信五岳は戸隠、飯縄、黒姫、妙高、斑尾です。今度はこれらを極めてみたら如何ですか。
なんか一皮も二皮もむけた感じですよ。
あ、おしりの皮じゃないですよ(笑
戸隠山は、下から見上げているだけにするのが正解だというのが、よ~くわかりました。(^^ゞ
空身で行ったらもしかして、という気が無きにしも非ずですが、うん、やっぱりやめときます。(笑)
にしても、無事に下山できてなによりでした。
木曽駒さんでしたらもっと楽しいことになりそう…もとい、楽に登ってしまいそうな気がしますよ。木曽の山に比べたら同じようなものですって。気になるようでしたら、一度は体験した方がいいですよ。
ただ、まゆ太さんを始めとして他の方々が書いていたよりはすんなり行かなかったです。やっぱり足の長さと勇気不足でしょうね(涙)。
鏡池へが専用バスになっていたので、今回行けなかったのが心残りでした。木曽駒さん行かれたのですね。
いやぁ、カッコいいだなんて、レポ内容も実物もヘタレですけどね。
熊道でしたら誰でも歩けそうですね(笑)。しかし、こんな場所に熊が歩いて来るとなると、逃げ場無しのこの道は余計に危険ですね…。やはりこの近辺にも熊が出るみたいですから、朝方は熊鈴必要みたいです。
ロビンさんも未踏でしたら、いつかチャレンジして下さいよ。この何倍も楽しいレポになりそうな予感(笑)。
コメント有難う御座います。
足慣らしに登っただなんて若いですね。飯縄は行ってみたいと思っていましたから、次回実現したいですね。
五岳情報有難う御座います。何だかスキーで聞いた名前ばかりで、山として認識していませんでした(笑)。今年は、もう寒さが怖いので来年狙うとしたら、妙高あたりですかね。
普段からこんな場所だけには近付かない低山ノボラーですから、無事に生還出来た事は本当に嬉しかったですよ。
岩場を跨いでズルズル歩いたものですから、ズボンの腿の辺りもズルズルに…って、最近の素材はそんなにやらじゃありませんって。
ただ、そんなお尻の刺激が強過ぎたのか、この後に悲しい事が起こりましたが…いやはや。
何と言っても神話の山ですから、体験してみたくありませんか?とはいえ、もちろん自己責任ですし、スリル大好きな方以外にはあまり積極的に薦められないことは確かです…。
神社レポ、遅ればせながら書いてみました。個人的には、山登りよりもこの神道を歩く方がいいコースと思えました。恐らく全て歩いて回れば一日コースですから、これだけでいい史跡巡りになると思います。