飼い猫の遠吠え

とにかく気持ちは前向きに寝る間を惜しんでほふく前進・・・

安家洞:怪しい洞窟探検隊

2011-05-21 22:33:58 | 長旅なたしなみ

このご時世で危険とも思える洞窟にあえて潜る人はなかなかいないかと思いますが、洞窟が出来るまでの数万~数千年の過程から考えると、いきなり崩れてしまうとは考え辛いのでは? という自分を納得させるためのへ理屈をこねながら、やってきたのは、岩手が誇る鍾乳洞で有名な観光名所、龍泉洞。今回で三回目となりますが、震災後にどうなったのか、少々気になりまして立ち寄ることにしておりました。

ニュースなどでは、GWに向けて営業を開始したとは聞いていましたが、果たして以前と同じ状態で営業しているのかどうか、どれだけの人が来ているのか、見知った場所ともなれば、ちょっと心配です。
龍泉洞に向けて、岩手の車通りが少ない県道を走っていると、そこかしこに、赤よりもオレンジがかった看板が目に入ります。


「あっか洞」

ほのかなポップ調な字体のせいなのか、それともこのちょっと色あせた感じのせいなのか
どうにも、この看板からは、怪しさが漂ってくるのです・・・


看板からは、「日本最大」であり「天然記念物」でもあることが書かれているのですが、日本最大&国の天然記念物というわりには、全く聞いたことがないというのは、知識不足だけではないと思われます。日本一が大好きな日本人の気質から考えても、こんな日本一スポットをアピールしないというのも不思議でなりません。とはいえ、偶然にも自分が向かおうとしている先にあるようですので、様子だけでも見ることは出来そうです。
この日本最大の洞窟と銘打たれたオレンジ看板は、道沿いに進むと出てくるのですが、あと○○Kという表記が安定しないことが、新たな不安と怪しさを増幅させていきます。あと1.4キロになったり、次の瞬間には、2キロになってみたり、ちょっと気になって地図で確認すると、この先の分岐近くにあるはずなのですが、いったい・・・。

その分岐に近付くにつれて、看板だけでなく、幟も沢山立つようになっており、その場所が近いことを感じます。いよいよ到着かという頃、ひときわ大きな看板を見てビックリ




・・・えっ、あと20キロ?



よく分からないですが、怪しいことだけは分かりました。

普通の人でしたら、この看板を見て近付くのは避ける方向で、メインの龍泉洞に行くことを考えるかと思いますが、どうにも残念な性分のため、怖いもの見たさで吸い寄せられてしまうのでした。




こちらが入口
そのままですと漢字が読めないかもしれませんが
「あっか洞」よりは「安家洞」という表記の方が、ちゃんとした(?)洞窟らしい気がします



この日は、世間でもGWど真ん中の祝日。
のはずですが、駐車場らしき場所には、車は一台もなく、この砂利の駐車スペースのどこに停めようか悩む始末。

もしかすると、震災の影響で休みなのでは? と不安になりながら車を降りると、微かに流れる歌謡曲の調べ・・・これは、恐らくやっているようです。まさか、ここから歩いて20キロかかるというオチにならないことを祈りつつ、先程の看板で入口方面と書かれた場所に向かうと、微かに流れていた歌謡曲のボリュームが突如大きくなったのでした。うわぁ・・・トラップか。すでに自分は、どこぞの係りの方に捕捉されてしまったようで、諦めつつ上り坂を進むのでした。



駐車場からの坂の途中には、何故かカタクリの群生が広がっておりました
終日降ったり止んだりの天気ですので、ちょっと元気はありませんが、ちょっと得した気分



すぐに建物が見えてきたため、20キロというオチは無かったようで、少し歩くと、入口が見えてきました。
壁には、安家洞の全体地図が掲載されておりましたが、




確かに平面図でこれだけの規模とは・・・




歩けるのは矢印の部分までとのことで、ちょっとひと安堵




売店と券売所、そして入口のようです
このような風景、何処かで見たことがあるようなと思っていましたが、松代大本営跡の入口とちょっと似ていますね


こちらの料金は、900円。

若干高い気もしますが、まぁ観光価格だからと割り切ります。
おばちゃんから緑のヘルメットを手渡され、入口に導かれました。洞窟の入口というよりは、高架下を通るトンネルのようなイメージがします。心配度しか高まらない中、あれよあれよと洞窟探検がスタートしたのでした。




ヘルメットは、たくさんあるようですので、100人入っても大丈夫な模様




こちらが入口。普通考える洞窟の入口とは、ちょっと雰囲気が違います
右手には、鏡が付いていまして、ヘルメット姿の身だしなみチェックが可能という気遣いがされています
これなら、カポーで来ても、ヘルメットの着こなしでお相手に幻滅されずに済みますね



入ってすぐ、4人組の一団とすれ違いました。
何より中に人がいたことに少しだけ安心した反面、恐らくこれ以降は誰もいないだろうと、妙な確信を持ったのでした。





入ってみると、おぉ、とちょっと関心
地面はきちんと整備されていますが、それ以外は、洞窟らしさそのまんまで、ワクワクしてきます




いきなり砕けている氷の柱
これがディフォルトなのか、荒らされてしまったのか、入口から微妙に驚かされます




「一の坂」
入り口で感じたよりは、思ったよりちゃんと整備されていて安心しました
ただ、この赤い手書き文字は、暗闇で見るとちょっと怖いんですよね




ほら、こんな字で「迷宮」とか書かれると
絶対に近付いてはいけないと思いますよ・・・



そして、しばらく進むと最初の鍾乳石にあたります。例の赤文字で何か書いてありました。





ええっと・・・何でしょうか・・・これは・・・。

最初は、悪戯書きかと思ったものですが、恐らく、今までの流れからすると、この鍾乳洞の名前なのでしょう。
いきなりこんな事が説明無しに書いてあっても、かなり困惑するか爆笑するかのどちらかになることでしょう。

そして、見上げると・・・


・・・写真にしてしまっては面白くありませんので、是非とも現地でご覧下さい。


蛍光灯の明かりに照らされながら、歩みを進めていきます。
洞窟は粗削りのままのため、ヘルメット効果もあって探検気分で歩けますし、頭をかがめて歩くことになることも多く、かなり水滴も落ちてくるため、ヘルメットの大切さも身に染みます。




蛍光灯のおかげか、綺麗に見えますし、写真もこんな感じでそこそこちゃんと撮れました




ここの良さは、とにかく鍾乳石との距離が近いといいますか、特に規制がされていないこと
歩ける場所はありますが、おおむね自由に探検をしてよい感じになっています(多分)




ここが「神殿」
この安家洞では、一番綺麗な場所だと思います




そんなに進んでいないと思っていましたが、ここで入り口から300メートル
ちょっと駆け足になったのは、予想通り一人きりだったためでもありますかね

そうそう、ここの気温は、大体8℃程度らしいので
ちょっと服装は考えてこないと、後悔しますよ




「一角サイ」
これは、なるほどと素直に納得




ここで終りです


近付いたら、違うものまで終わらされそうな気がします


こんな看板を暗闇に出されたら、近付けませんって・・・何か、奥で赤く光ってますし
以前は、もう少し先まで歩けたそうですが、現在は、ペンギン岩までになっているようです





これは確か「宇宙ステーション」でしたっけか






日本一とはいえ、歩ける場所は、限られていましたから、そんなに奥地へと歩いた感じはしませんでした。
それよりは、予想通りに誰も居ないことの方が怖くて、やや早足になってしたのは致し方ないところ。

折角の見て歩く楽しみを全て掲載してしまっては、行く楽しみがなくなってしまいますので、中の様子はここまでにしますが、最後の写真に皆さんは、どんな名前をつけますか?




災害時の対策もちゃんと考えられていて、ポイントで外との通話ができるようになっておりました
ほら、分電盤もこの通り、水滴対策として・・・え、もえない用ゴミ袋?!




外に出られたことが、ちょっと嬉しかったのは何故でしょう
なんて書いていますが、楽しさの裏返し・・・ですよ




入れ替わりでやって来た、横浜ナンバーのお二人に頑張れとエールを送りつつ・・・



安家洞(あっかどう)
場所:岩手県下閉伊郡岩泉町
開館時間・料金:4月中旬~11月下旬・9時~16時(岩泉町サイト情報より) 一人 900円
所要時間:普通に歩いて30分程度
見どころ:そこはかとない危なっかしさ・・・ではなく、探検気分で洞窟散策。とにかく人が少なめなので独占感が高め
オススメ度:☆☆☆☆

※ 探検といえば、この近くに「氷渡探検洞」という、要予約で本当の洞窟探検ができるスポットがありましたが、平成22年11月1日(月)より安全管理上の都合により、閉洞となってしまっているようです。


=======

その後に向かったのは、本命となる龍泉洞。
日本三大鍾乳洞(秋芳洞、龍河洞、龍泉洞)のひとつともなると、さすがに先程のスポットとは比べるべくもない綺麗に整備された観光地でした。あまりに綺麗過ぎて、少々物足りない位に感じたのは、あちらのインパクトが強かったためでしょうが、少々驚きでした。

震災の影響は、特に無いようで見た目からも壊れたところも感じられず(今回の地震でも崩落箇所なし)、通常営業が出来ているようでした。実際は、揺さぶられた地底湖から沈殿物が浮き上がって透明度が一時的に失われたと聞いていましたが、大きく濁っているような感じはしませんでした・・・昔の写真を見るまでは。人手は、逃避行日記でも書きましたが、ツアー客が居ないと、奥地ということもあってやはり少なく感じられます(来洞者・例年より8割減)。静かに見られるのはいいことですが、やはり観光客に来て頂かないと、岩手・三陸も盛り上がりませんから、早い復興を期待しています。

龍泉洞がリニューアルされたことは、幟に書いてあったのですぐに分かりましたが、あの極彩色豊かな演出が必要かは、正直疑問でした。神秘的な場所を演出したいのでしょうが、どこかのテーマパークのようで落ち着きませんでした。ただ、説明看板が非常に見やすく、写真にもきちんと写ることは、好印象でした。




復興のリニューアルなのか、以前からのリニューアルなのかよく分かりませんが、新しくなったようです




有難かったのは、説明の看板が大変見やすくなったこと
写真に撮ってもこんなに綺麗に写ってくれます








どこかのテーマパークのようなこの演出
正直、気に入りません








世界有数の透明度を誇る湖は、やはり神秘的でした
でも、昔見たものとちょっと違う気が・・・もっと感動したはずなのですが・・・何故?



こちらは研究施設と一緒の洞窟
説明もいろいろありましてためになる洞窟といった感じでした



こちらは、龍泉洞、龍泉新洞(科学館)と一緒の券で1000円。こちらは、適正価格と納得の金額です。
コバルトブルーの湖以外は、後の龍泉新洞の方が良かったと感じます。尚、こちらは、研究施設になるため撮影禁止。写真はありませんので、是非お越し下さいませ。




<おまけ>

最初に龍泉洞に来たのは11年ほど前(若かったなぁ・・・)。
盛岡駅からバスで来たのですが、バスの運転本数も少なかったため、難儀した記憶が残っています。あまりにバスが無かったため、先に来た北リアス線の駅の方に移動したところ、小本駅からの電車がこれまた無くて、一日バスと電車を待つだけで終わったことが印象的でした。久慈まで行けなかったんだよなぁ・・・。
探してみたところ、写真が見つかりましたので、折角なのでご紹介。




入り口は、今でも変わっていないようですね
横の洞内案内も変わっていないよう




イルミネーションもこの程度だったはず・・・この方がいい気がするんですけどね




見え方の違いなのかと思っていましたが、この写真を見返してみるとよく分かりました
どうもおかしいと思ったら、震災の影響は、やはりこちらにも影響を及ぼしていたのですね

発表では、5月中には、元の透明度に戻るそうなので、その後であれば、透明な湖が帰って来るはずです
皆さんも写真では到底表現の出来ない神秘的な透明度、是非ともその目で体感ください!!


龍泉洞(りゅうせんどう)
場所:岩手県下閉伊郡岩泉町
開館時間・料金:年中無休・8時30分~17時(5月~9月は18時まで) 大人 1,000円/小中学生 500円
所要時間:全て見て廻って2時間程
見どころ:コバルトブルーの湖、龍泉新洞(科学館)のためになる鍾乳洞講座、龍泉洞の水を使ったコーヒーやお酒
オススメ度:☆☆☆☆★


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10 コメント

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滝観洞 (かいねこ)
2023-01-27 02:03:11
>アラジンセインさん

コメントありがとうございます。
「滝観洞」初めて聞きました。鍾乳洞の中で滝が見られるということで有名なのですね。折を見て伺ってみたいと思います。こういった情報を頂けると、まだまだ知らない素敵な場所も多いと知られて非常に嬉しいです。
自然の景観スポットは、かなりの有名どころ以外は公共交通機関が益々なくなってきていますから大変ですよね。
返信する
Unknown (アラジンセイン)
2023-01-25 13:11:18
安家洞の記事、楽しく読ませていただきました。20年ぶりに安家洞へ再訪したくて、車以外でのアクセスを検討しているのですが、バスの連絡があまり良くなく、どうしたものかと調べていて、偶然こちらのサイトにたどり着きました。

ところで、鍾乳洞好きの私の中では、東北で一番気に入っている鍾乳洞は「滝観洞」です。洞窟の突き当たりに、けっこうな落差があるきれいな滝があるんですが、ご存じですか?安家洞が気に入ったのであれば、こちらも楽しめるかと思います!(一応、観光鍾乳洞です)
滝観洞は、地図で見ると龍泉洞より南、岩手県南部の住田町にあります。JR釜石線沿線にあり、上有住駅という駅から徒歩1分。JRだけでアクセスできてしまいます。オススメです。
返信する
コウモリ (かいねこ)
2011-05-26 21:28:16
>匿名さん

再びコメント有難う御座います。二度も頂けるとは、ちょっと嬉しい驚きです。

コウモリは、掲載の案内板で拝見しましたが、今回は見ませんでした。冬眠中だったのですね。

照明に関しては、作られた景観をあまり好まない自分の意見ですし、恐らく自分もカポーで来ていたら、「わぁ、素敵~」とか言っていたかもしれません(え。
ただ、コウモリは、あまり女性が好まないので、いたらいたで大変ですね。某コウモリ洞で大モメしたのは懐かしくも悲しい思い出です…。

もっと多くの人が訪れて、色々な魅力を見つけてくれるといいですね。
返信する
Unknown (匿名)
2011-05-26 19:05:45
先日おじゃました匿名です。
その後の龍泉洞は、コウモリが冬眠から覚め、
活発に飛び回っています。
比較的、午前中だと洞内を飛んでるのを
見られる確率が高いですし、
夕方であれば入り口外の上の岩場を見ていれば
ごはんを食べに出かける姿も見れます。
出産シーズンのようで、耳をすませば
鳴き声も聞こえます。
鍾乳石の表面にちょんとしがみついてる固体も
いますので、職員にこっそり聞けば
コウモリポイントも教えてもらえるかも…。

そしてコメントをいただいたように、
照明についても賛否両論をいただいております。
私個人としては、皆様にも見ていただき、ご意見をいただきたいと思っています。

遠いところではありますが、水やコーヒー以外にも
売りがありますので、
皆様のお越しをお待ちしております。
返信する
好奇心 (かいねこ)
2011-05-24 07:43:34
>河童さん

自分も見落としていたのかもしれませんが、こうしてお答え頂いて疑問が氷解するのは、有り難いことですね。やはり、地元の方の情報に勝るものはありません。

遠方への旅行は、時間も限られますから、こういった面白い場所を探すのも、結構難しいですよね。どうしても有名な場所を優先してしまいますから、特に情報溢れる今の時代、アピール度の低い場所は、なかなか行く機会を持たれないですし。
これからも好奇心をもって、自分で楽しい場所は見つけていきたいものです。
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↑素晴らしい!! (河童)
2011-05-24 04:28:45
 良いコミュニケーションを見せて頂きました。
Eネットってこのように活用するべきでしょうね。
そして人生って好奇心を持って飛び込んだ者の勝ちだと改めて感じました。
ありがとうございました。
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リニューアル (かいねこ)
2011-05-23 07:06:54
>匿名さん

貴重な情報有難う御座います。疑問だったことが分かってスッキリしました。
地元の方にコメント頂けるなんて、嬉しくもあり恥ずかしくもありますが、地底湖が落ち着いた頃に、またお伺いしたいと思います。
やはり、良い場所は、何度も行きたくなりますからね。
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Unknown (匿名)
2011-05-22 20:25:32
いち岩泉町民です。
リニューアルとは、洞内照明LED化のことです。
ご覧いただいたとおり案内板も変わりました。
お越しいただいてありがとうございます。
またぜひいらしてください。
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ケイビング (かいねこ)
2011-05-22 20:06:29
>小太り親方さん

秋芳洞は、秋吉台とセットで見られますし、中の鍾乳石も見せ方もきちんとしていて、隙のない場所で、さすがと思いました。
こちらも龍泉洞と安家洞をセットにすれば、かなり楽しめること請け合いです。
安家洞をオマケや次いでと言われる事が多いですが、訪問先メインの一つとして、是非ご検討下さいませ。
東北には、こちらには無い雄大な自然と息づく素朴さがありますから、見どころは尽きません。
返信する
ケイバー・猫委員長 (小太り親方)
2011-05-22 07:57:54
秋芳洞は行った事あるので知ってましたが、安家洞は初めて聞きました。
秋芳洞の3倍程の巨大洞窟だったのですね。
見所が満載ですね、東北も。メモメモ
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