

SHIPSというブランドの型押しレザーベルトの修理です。
クロコの型押しですね。
ピンが曲がってしまってます。
割としっかりした造りのバックルで、ピンも真鍮でちゃんと造られていて良いものだと思います。
まじめな造りのベルトだと思います。
真鍮のピンがこれだけ曲がってしまっているので、おそらく通常使用ではなく、
踏んだとか引っかけたとか、何かベルトとしての想定外の力が掛かったと思います。

お客様ご自身でなんとか戻そうとしたようで、かなり傷だらけです。
ペンチか何かで苦戦したのでしょう。

交換用のピンを作成しました。

取り付けて完了です。

こちらはダンヒルです。
折れた断面が灰色です。
亜鉛ダイキャスト製ですね。
こちらもある程度強い力が掛かったのかもしれませんが、亜鉛は粘性がないので、
ポキッと折れやすいです。
ちょっとの衝撃で折れてしまったります。
ざっくり言うと、亜鉛に銅を混ぜたのが真鍮です。
銅の柔らかさが加わるので、耐衝撃性が強くなりますし、
力が掛かっても粘るようになります。
銅の融点は亜鉛よりはるかに高いので、亜鉛よりも銅が混ざった真鍮のほうが融点が高くなります。
溶かす温度がたかくなれば、つまり、製造コストの電気代が違ってきます。
なので、亜鉛のほうが安いです。
ただし、ダイキャストは溶かした亜鉛を流し込む金型を作るので、イニシャルコストは掛かります。
真鍮製のピンもプレス機の抜き型が必要なので、まあそれもイニシャルコストが掛かりますが、
通常は、ピン屋さんと言うところに行けば、太さ、長さ、調整できる金型が用意されているので、
よほど特別な形状のものを求めない限りは、金型代は掛からないと思います。
亜鉛のピンは金型を作って、そこへ流し込む、イニシャルコストは掛かりますが、
数を作れば製造単価は安いです。
真鍮製のピンは、伸銅屋さんから真鍮棒を買ってきて、
プレス機で切断、曲げ加工をします。
切り口にバリがでるので、まじめなピンはそのあとバレル研磨しますが、
たまに研磨されていないものも見受けたりします。
イニシャルは掛からないですが、製造単価は高いです。
一般的には真鍮製の方が高級とされていますが、造形にも差があるので、
デザインや使用用途により、一概にぜったいとは言い切れないです。

脱線しましたが、修理品がこちらです。
こちらは真鍮製のピンになります。
強度があるので、ちょっと薄いですが、元のピンよりは強いはずです。
ピンの交換修理は2700円になります。
ブランド物、ノンブランド物、なんでもご相談ください。
ブランドものだと高く見積もる修理屋さんもあるようですが、
弊社はすべて同じ料金です。
作業難易度によって、ごくまれに500円くらい加算させていただくことはありますが、
ほとんどはこの値段でやっております。
よろしくお願いします。
有限会社伊東金属製作所
03-3886-6271
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