評価:★★★★
ジュリアンが射殺される!
ここから、この映画が本気モードであると実感する。
最初に邦題が如何にも安っぽいB級SF映画のようなので、まったく期待などせず観に行きました。ところが、意外にも本格的な作りで、映像はもちろんストーリーも109分と最近ではどちらかと言うと短い上映時間にもかかわらずボリュームがあり、非常に考えさせられる上質的な映画だと思った。
西暦2027年、そう遠くない未来には18年間も子供が生まれていない。最悪50年後には人類の種は完全に地球上から途絶えてしまうという設定だ。現実的にみても出生率の低下を新聞等で目にする最近としては、とても架空のストーリーでは済まされないテーマとして観客に訴えかけてくる。
前記したように、この大作をたったの109分で描き切れるのか?という不安もありましたが、非常にテンポ良く進行していくので見ていて飽きることもなかったし、映像で表現しなかった部分は会話の中で重要なヒントとして頻繁に出て来るので大筋は理解できるようになっている。ちなみに翻訳者は戸田奈津子さんです(笑)
何故、子供が生まれなくなったのか?!
主人公のセス(クライブ・オーウェン)が反政府組織「フィッシュ」に拉致され、そこで意外にも、別れた元妻で組織のリーダー、ジュリアン(ジュリアン・ムーア)と再会するのだが、ここでふたりの会話の中で出てきます。
世界は2008年のインフルエンザの猛威で滅亡し、唯一残った人類がイギリスだけって言うのが如何にもSF小説らしくて小気味いい(笑)多分、このインフルエンザで何らかのウィルスが女性の繁殖機能に影響を及ぼし早期流産してしまうという原因を作ったということだと思う。そう解釈したのですが・・・
そして、この映画のキーになる黒人少女ですが、彼女だけたまたまウィルスの影響を受けなかっただけのことで、そこに関してはそんなに深く考える必要はないと思うんです。
主人公セスと若い妊婦の逃避行を脇で支える登場人物がいいんです。目立ちすぎず、それでいてしっかり存在感があるという見事な脇役の演技だったと感じました。映像は素晴らしく良い。まるで現実の世界がそこに有るかのように観客は主人公のセスと完全に同化し、彼の目線で一緒に旅をすることになる。
オープンセットの美術がもの凄くリアルである。制作費120億円は美術費として大半が使われたと思われる。紛争真っ只中の街を徒歩で逃げるシーンは、まさにドキュメンタリー映像を観ているようだった。監督のアルファンソ・キュアロンもワザと長回しのショットを多用し、その中で実際に偶然の転倒などもNGにせずフィルムを回し続けたことで、俳優の演技がよりリアルになる狙いがあったんだと思う。
事実、セスが瓦礫で右足を負傷する辺りは、長回しの産物ではないだろうか。
逃亡中、陣痛が始まってからの緊迫感はなかなかのもの。出産シーンに於いては、酒で手を消毒したセスが取り出すシーンは、ぎこちなくてハラハラさせられる。そして直後のへその緒のついた赤ちゃんはアニマトロニクス?本物?・・・それくらいある意味生々しかったですね。
この映画はお奨めです。ロンドン郊外の街の描写は「戦場のピアニスト」に匹敵する出来である。
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監督:アルフォンソ・キュアロン
脚本:アルフォンソ・キュアロン/ティモシー・J・セクストン
撮影:エマニュエル・ルベツキ
音楽:ジョン・タヴナー
出演:クライブ・オーウェン/ジュリアン・ムーア/マイケル・ケイン/キウェテル・イジョフォー/チャーリー・ハナム/クレア=ホープ・アシティー
『トゥモロー・ワールド』オフィシャル・サイト
http://www.tomorrow-world.com/
ジュリアンが射殺される!
ここから、この映画が本気モードであると実感する。
最初に邦題が如何にも安っぽいB級SF映画のようなので、まったく期待などせず観に行きました。ところが、意外にも本格的な作りで、映像はもちろんストーリーも109分と最近ではどちらかと言うと短い上映時間にもかかわらずボリュームがあり、非常に考えさせられる上質的な映画だと思った。
西暦2027年、そう遠くない未来には18年間も子供が生まれていない。最悪50年後には人類の種は完全に地球上から途絶えてしまうという設定だ。現実的にみても出生率の低下を新聞等で目にする最近としては、とても架空のストーリーでは済まされないテーマとして観客に訴えかけてくる。
前記したように、この大作をたったの109分で描き切れるのか?という不安もありましたが、非常にテンポ良く進行していくので見ていて飽きることもなかったし、映像で表現しなかった部分は会話の中で重要なヒントとして頻繁に出て来るので大筋は理解できるようになっている。ちなみに翻訳者は戸田奈津子さんです(笑)
何故、子供が生まれなくなったのか?!
主人公のセス(クライブ・オーウェン)が反政府組織「フィッシュ」に拉致され、そこで意外にも、別れた元妻で組織のリーダー、ジュリアン(ジュリアン・ムーア)と再会するのだが、ここでふたりの会話の中で出てきます。
世界は2008年のインフルエンザの猛威で滅亡し、唯一残った人類がイギリスだけって言うのが如何にもSF小説らしくて小気味いい(笑)多分、このインフルエンザで何らかのウィルスが女性の繁殖機能に影響を及ぼし早期流産してしまうという原因を作ったということだと思う。そう解釈したのですが・・・
そして、この映画のキーになる黒人少女ですが、彼女だけたまたまウィルスの影響を受けなかっただけのことで、そこに関してはそんなに深く考える必要はないと思うんです。
主人公セスと若い妊婦の逃避行を脇で支える登場人物がいいんです。目立ちすぎず、それでいてしっかり存在感があるという見事な脇役の演技だったと感じました。映像は素晴らしく良い。まるで現実の世界がそこに有るかのように観客は主人公のセスと完全に同化し、彼の目線で一緒に旅をすることになる。
オープンセットの美術がもの凄くリアルである。制作費120億円は美術費として大半が使われたと思われる。紛争真っ只中の街を徒歩で逃げるシーンは、まさにドキュメンタリー映像を観ているようだった。監督のアルファンソ・キュアロンもワザと長回しのショットを多用し、その中で実際に偶然の転倒などもNGにせずフィルムを回し続けたことで、俳優の演技がよりリアルになる狙いがあったんだと思う。
事実、セスが瓦礫で右足を負傷する辺りは、長回しの産物ではないだろうか。
逃亡中、陣痛が始まってからの緊迫感はなかなかのもの。出産シーンに於いては、酒で手を消毒したセスが取り出すシーンは、ぎこちなくてハラハラさせられる。そして直後のへその緒のついた赤ちゃんはアニマトロニクス?本物?・・・それくらいある意味生々しかったですね。
この映画はお奨めです。ロンドン郊外の街の描写は「戦場のピアニスト」に匹敵する出来である。
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監督:アルフォンソ・キュアロン
脚本:アルフォンソ・キュアロン/ティモシー・J・セクストン
撮影:エマニュエル・ルベツキ
音楽:ジョン・タヴナー
出演:クライブ・オーウェン/ジュリアン・ムーア/マイケル・ケイン/キウェテル・イジョフォー/チャーリー・ハナム/クレア=ホープ・アシティー
『トゥモロー・ワールド』オフィシャル・サイト
http://www.tomorrow-world.com/
この監督にウチの押入れ収納をお願いしたい(笑)。
てなわけで、TBありがとうございました。
この人の撮った過去の作品は秀作ぞろい!
案外、癒し系かも今後に注目です。
この人にも押入れ収納させてみましょう(笑)
コメントどうもです。
エマニュエル・ルベッキ=○=呼び難い(爆)