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ミッシング

2024年05月17日 16時03分16秒 | 映画 ま行
満足度:★★★★【4.0点】




石原さとみ氏の鬼気迫る演技に圧倒される。



とある街で幼女の失踪事件が発生し、懸命の捜索にもかかわらず発見できないまま
3ヵ月が過ぎていた。母親の沙織里は、世間の関心が薄れていくことに焦りを感じ、
夫・豊との温度差にも苛立ちを募らせ、夫婦のいさかいが増していく。
そんな中、
娘の失踪時の沙織里の行動が明るみになり、SNSで誹謗中傷の標的になってしまう。
一方、沙織里が唯一頼りにしていた地元TV局の記者・砂田には、
取材の方向性を巡り、より視聴率を重視するよう上からの指示が出るのだったが…。
<allcinema>



敢えて言うまでもないけど、
これは数年前の山梨県キャンプ場女児失踪事件をモチーフにしているのだろう。
母親が後にSNS上で誹謗中傷を受け、過激な書き込みをしたアカウントから
逮捕者まで出るといったものだった。

本作もそれに倣ってドラマは進行していく。

新たな情報が明らかにされる度に、一般市民からは憶測や偏った意見が飛び交い
家族はますます苦しい状況に追い込まれる。
メディアは事件を煽る一方で、家族のプライバシーを踏みにじり
人々はその情報を嗜好品として他人と共有しながら楽しむ始末だ。

こうした悲劇に家族の絆が崩壊の危機に瀕している現実を前にして
改めて私たちは冷静に考えなければならないんだと思う。
メディアやSNSが提供する情報だけでは事実を見極めることはできず、
その裏に潜む家族の苦しみや葛藤に目を向ける必要があるということを教えている。

他人事の事件ではあるが、ただ傍観するのではなく、その真実を追求し、
家族へのサポートと思いやりを示すことが、このような悲劇を防ぐ第一歩となるはずだ。

この事件は、単なるニュース報道以上の問題を提起している。



【今週のひと言】

・事件当日、母親が推しのアイドル・ライブに足を運んでいたことが知られ
 ネット上で“育児放棄の母”と誹謗中傷の標的となるが
 そこは単なる巡り合わせであってタイミングだけで起きてしまう怖さ。

・事件から2年後、同じような失踪事件が起こったのを機に
 その他人の幼女のちらしを作成しWブッキングでビラを配る発想はアイデア物。

・数か月後、その他人の失踪事件が円満解決し、偶然にもその母親とバッタリ。
 そこで見せる母親からの感謝の行動が本作最大の涙腺決壊シーンだった。

・警察署のおもらしシーンは衝撃だった。

・冒頭の幼女のルックスから主演女優は小松奈々さんでもいいんじゃない。

・ちなみに本作の石原さとみ氏に匹敵する演技ならワタシ的に杉咲花さんを推す。

・事件担当記者チームの苦悩などもドラマに入れ込んだ分、母親の悲劇と被り
 若干そこが相殺されているというか、どっちがメイン?みたいな。
 
・これは前後作にしたら記者側のドラマも池井戸潤っぽい社会派として成り立つ。

・人は予想しない突然のやさしさに弱いモノなんだと改めて気づく。
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監督:吉田恵輔
脚本:吉田恵輔
音楽:世武裕子
出演:石原さとみ、青木崇高、森優作、有田麗未、小野花梨

『ミッシング』

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (ここなつ)
2024-05-30 11:47:18
こんにちは。

石原さとみ、すごかったですねぇ。あの彼女の演技を引き出したのは吉田監督の手腕なのかな?

>そこは単なる巡り合わせであってタイミングだけで起きてしまう怖さ。
そうなんですよ、タイミング…。ホント、全てそれなんですよね。
だからこそ、永遠に後悔してしまうのですよね。
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ここなつさんへ (ituka)
2024-05-30 14:27:37
この映画の主人公夫婦の会話が、とくに父親側のセリフすべてが自分が言いそうな言葉そのまんまだったのが驚きました。
いや、反省する部分もあったりして。。。
しかし、入魂の演技でしたよね!
SNSもうまく活用すればいいアイテムなんですけどね。
匿名性があるからひとは言いたいことばっかり言って、なかには自警団気取りの奴らがたち悪すぎるといつも思います。
返信する

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