
テン・テン・ツク・テン・テケ・テン・テン・テケ・ツク・テン・シャン・テン
『習いごと』
ようこそのお運びでありがとうございます。
え〜、相変わらずバカバカしいお話しで恐縮でございます。
まあ、バカバカしい話ってのは落語の世界だけじゃありませんな。
いまじゃあ日本中いたるところで現実にバカバカしい話が
右往左往(うおうさおう)してるってぇありさまでございます。
『習いごと』
ようこそのお運びでありがとうございます。
え〜、相変わらずバカバカしいお話しで恐縮でございます。
まあ、バカバカしい話ってのは落語の世界だけじゃありませんな。
いまじゃあ日本中いたるところで現実にバカバカしい話が
右往左往(うおうさおう)してるってぇありさまでございます。
江戸時代の人の書いた文字を見ますと、どれも達筆でございますな。
お武家さんばかりでなく、町人や農民までが達筆な文字を書いております。
そのわけはと云いますと、幕府のお達しで、文字の書体が統制されております。
「御家流」という書体だそうでして、公文書や高札もすべて御家流。
町奉行所も、訴状などが御家流で書かれていなければ、
受理しなかったそうでございます。
お武家さんばかりでなく、町人や農民までが達筆な文字を書いております。
そのわけはと云いますと、幕府のお達しで、文字の書体が統制されております。
「御家流」という書体だそうでして、公文書や高札もすべて御家流。
町奉行所も、訴状などが御家流で書かれていなければ、
受理しなかったそうでございます。
この頃、庶民の学校として「寺子屋」というものがございまして、
ここでは、読み・書き・そろばん・裁縫なぞ、
生活に密着したものを教えていたそうでございますから、
ここでしっかり覚えておきませんと、社会生活が出来ません。
教え方も、いまどきの学校とは大違い。
先生と生徒はマンツーマンでして、
生徒の進み具合に合わせて、使う教材や教え方も変えたので、
先生は大変だったが、生徒にとっては良く理解できた。
・・ですから、寺子屋に「不登校」の子供なぞ存在しなかったそうですな。
ここでは、読み・書き・そろばん・裁縫なぞ、
生活に密着したものを教えていたそうでございますから、
ここでしっかり覚えておきませんと、社会生活が出来ません。
教え方も、いまどきの学校とは大違い。
先生と生徒はマンツーマンでして、
生徒の進み具合に合わせて、使う教材や教え方も変えたので、
先生は大変だったが、生徒にとっては良く理解できた。
・・ですから、寺子屋に「不登校」の子供なぞ存在しなかったそうですな。
これは余談でございますが、江戸にも猛烈な教育ママが居ましたそうで、
式亭三馬の「浮世風呂」なんてのに、ある女の子の愚痴、
「朝、大急ぎで起きると、手習いのお師匠さんとこへ行って机を並べ、
それから三味線のお師匠さんに稽古をしてもらうの。
家に帰って、朝ご飯を食べたら、すぐ踊りの稽古に行って、
そのあとは、寺子屋へ回って、おやつに家にもどってから、
式亭三馬の「浮世風呂」なんてのに、ある女の子の愚痴、
「朝、大急ぎで起きると、手習いのお師匠さんとこへ行って机を並べ、
それから三味線のお師匠さんに稽古をしてもらうの。
家に帰って、朝ご飯を食べたら、すぐ踊りの稽古に行って、
そのあとは、寺子屋へ回って、おやつに家にもどってから、
この銭湯に来るの。 このあとはすぐに琴のお師匠さん。
帰ったら、三味線と踊りのおさらいをして、その間にちょっと遊んでね。
日が暮れると、また琴のおさらいなの・・。
遊ぶ暇が無くて、つまんない・・」 と、ぼやいております。
熊 「えぇ、大家さん。なんかご用ですかァい?」
大家 「おや、熊さんかい。まぁ、こっちィお入り」
熊 「へぇ、こっちィお入りやした」
大家 「まぁ、そこへお座り」
熊 「へぇ、お座りやした。あ、お茶が出てない」
大家 「お茶は省略だ」
熊 「省略ですかい? えぇ、饅頭がない」
大家 「お茶も饅頭も出払っている」
熊 「あぁ、出払って・・、ほかになんかないンですかい?」
大家 「ほかに・・、えぇ、お前さんを呼んだのはほかでもない」
熊 「あぁ、ほかでもないんですかい?」
大家 「あぁ、お前さんとこの金坊な・・、登校拒否してるそうだな」
熊 「へぇ、もう、よくご存じで。えぇ、実は、弱っちゃってン」
大家 「いゃ、わしも心配してるんだが、これは金坊が悪いんじゃない。
教育制度が悪い」
熊 「へぇ〜、教育制度がねぇ? 悪いン・・ 」
大家 「ああそうだな。バカバカしいことやってるな」
熊 「へぇ〜、バカバカしい教育制度でやすかい? 」
大家 「考えてもみなよ、えっ? お前さん野菜を作ったことあるかな? 」
熊 「へぇ、ありやすよっ。
トマトにキャベツにカボチャにでえこん(大根)とね。
近所の空き地を借りて作っちやぁ、近所に売り歩いてたもんでやす」
大家 「おいおい、ずうずうしいお人だね ! じゃあ、米はどうだ? 稲だな」
熊 「へぇ、田舎で親戚が百姓をやってるんで、
帰ったら、三味線と踊りのおさらいをして、その間にちょっと遊んでね。
日が暮れると、また琴のおさらいなの・・。
遊ぶ暇が無くて、つまんない・・」 と、ぼやいております。
熊 「えぇ、大家さん。なんかご用ですかァい?」
大家 「おや、熊さんかい。まぁ、こっちィお入り」
熊 「へぇ、こっちィお入りやした」
大家 「まぁ、そこへお座り」
熊 「へぇ、お座りやした。あ、お茶が出てない」
大家 「お茶は省略だ」
熊 「省略ですかい? えぇ、饅頭がない」
大家 「お茶も饅頭も出払っている」
熊 「あぁ、出払って・・、ほかになんかないンですかい?」
大家 「ほかに・・、えぇ、お前さんを呼んだのはほかでもない」
熊 「あぁ、ほかでもないんですかい?」
大家 「あぁ、お前さんとこの金坊な・・、登校拒否してるそうだな」
熊 「へぇ、もう、よくご存じで。えぇ、実は、弱っちゃってン」
大家 「いゃ、わしも心配してるんだが、これは金坊が悪いんじゃない。
教育制度が悪い」
熊 「へぇ〜、教育制度がねぇ? 悪いン・・ 」
大家 「ああそうだな。バカバカしいことやってるな」
熊 「へぇ〜、バカバカしい教育制度でやすかい? 」
大家 「考えてもみなよ、えっ? お前さん野菜を作ったことあるかな? 」
熊 「へぇ、ありやすよっ。
トマトにキャベツにカボチャにでえこん(大根)とね。
近所の空き地を借りて作っちやぁ、近所に売り歩いてたもんでやす」
大家 「おいおい、ずうずうしいお人だね ! じゃあ、米はどうだ? 稲だな」
熊 「へぇ、田舎で親戚が百姓をやってるんで、
ガキのころはよく手伝ったもんでやす」
大家 「おゝそうかい、そうかい、それじゃ話が早い。
どうだトマトと大根では、作り方が同じかな?」
熊 「へぇ・・・、トマトとでえこんは違ぇやすな・・」
大家 「じゃあ、稲とカボチャはどうだ? 」
熊 「へぇ・・・、稲とカボチャも違うようだなぁ・・・。
大家さんも空き地を借りて畑仕事を始めるんですかィ?」
大家 「いや、そうではない。つまり、あたしが言いたいのはだな・・・、
これと同じことが人の教育にも言えるということだ。
いいかな? 熊さんとこのせがれは、寿司の職人になりたい。
八っつあんとこのせがれは大工になりたい、とするな?」
熊 「へぇ、・・とする」
大家 「寿司の職人になるには寿司の作り方を教えりァいいし、
大工になるには家の建て方を教えりァいいんだ。
あとは読み書きと簡単な計算と社会常識さえ教えりァ、
とりあえず社会生活をするにやあ事欠かないってもんだ」
熊 「ちげえねぇ・・・。あっしだってこれでも、
とりあえず寿司を作るのに事欠かねえ・・」
大家 「ところが、いまの学校はどうだぃ・・。
おおかたの子供にとっちゃァ、べつに知りたくもねえような学習内容を、
全部の子供たちの頭ン中へ、一切合切押し込めるってぇ寸法だ。
それでテストしてみて、成績順に利口とかバカとか烙印が押される・・」
熊 「うわぁー、そいつぁ拷問だァ。うちのせがれも苦労が絶えねェよなァ 」
大家 「まさに、水田の中で、稲といっしょにトマトもカボチャも大根も、
ごちゃ混ぜに栽培しているようなもんだな。
全部がまともに育つほうが、むしろ不思議だな・・」
熊 「さいでやすねぇ・・・?
田んぼの中でキャベツやトマトやタマネギやでえこんがねェ・・
いっしょに育ってたァ・・なんてェ話、聞いたことがねェなァ?」
大家 「そうだろう・・・。
だから、制度としてはだな、水田の他にも
『いろんな畑(学校)』を作んなきゃあだめなんだな・・。
ところが、今やっていることと言ゃァ、日照( 授業 )時間を短くしたり、
肥料( 教科 )の中身を減らした「ゆとり栽培」とか、
田んぼと 田んぼをくっ付けた「中高一貫栽培」とか、
見当違いのことばっかりやっていて、肝心なことが抜けている・・
だから、学校(水田)にァ馴染めないってんで、
不登校児童・生徒(野菜)が14万人(トン)も出る・・
これじゃあ、米のほかには、ダメ野菜を大量生産しているだけだな・・」
熊 「うんにゃあ〜・・・。大家さんの言うとおりでげす。
へィ、あっしァ、これから文部大臣に掛け合いに行ってめぇりやす。
田んぼに米に畑に野菜とくらァ。
なんで、こんな簡単なことォ、解らねぇんだ・・ってね」
大家 「おいおい、それより金坊はどおする?」
熊 「へえ、せがれの替わりにあっしが学校に行きやす。
なあに、あっしでしたら、でぇじょうぶ。
これ以上落ちこぼれるわけがねぇ!! 」
お後がよろしいようで・・
大家 「おゝそうかい、そうかい、それじゃ話が早い。
どうだトマトと大根では、作り方が同じかな?」
熊 「へぇ・・・、トマトとでえこんは違ぇやすな・・」
大家 「じゃあ、稲とカボチャはどうだ? 」
熊 「へぇ・・・、稲とカボチャも違うようだなぁ・・・。
大家さんも空き地を借りて畑仕事を始めるんですかィ?」
大家 「いや、そうではない。つまり、あたしが言いたいのはだな・・・、
これと同じことが人の教育にも言えるということだ。
いいかな? 熊さんとこのせがれは、寿司の職人になりたい。
八っつあんとこのせがれは大工になりたい、とするな?」
熊 「へぇ、・・とする」
大家 「寿司の職人になるには寿司の作り方を教えりァいいし、
大工になるには家の建て方を教えりァいいんだ。
あとは読み書きと簡単な計算と社会常識さえ教えりァ、
とりあえず社会生活をするにやあ事欠かないってもんだ」
熊 「ちげえねぇ・・・。あっしだってこれでも、
とりあえず寿司を作るのに事欠かねえ・・」
大家 「ところが、いまの学校はどうだぃ・・。
おおかたの子供にとっちゃァ、べつに知りたくもねえような学習内容を、
全部の子供たちの頭ン中へ、一切合切押し込めるってぇ寸法だ。
それでテストしてみて、成績順に利口とかバカとか烙印が押される・・」
熊 「うわぁー、そいつぁ拷問だァ。うちのせがれも苦労が絶えねェよなァ 」
大家 「まさに、水田の中で、稲といっしょにトマトもカボチャも大根も、
ごちゃ混ぜに栽培しているようなもんだな。
全部がまともに育つほうが、むしろ不思議だな・・」
熊 「さいでやすねぇ・・・?
田んぼの中でキャベツやトマトやタマネギやでえこんがねェ・・
いっしょに育ってたァ・・なんてェ話、聞いたことがねェなァ?」
大家 「そうだろう・・・。
だから、制度としてはだな、水田の他にも
『いろんな畑(学校)』を作んなきゃあだめなんだな・・。
ところが、今やっていることと言ゃァ、日照( 授業 )時間を短くしたり、
肥料( 教科 )の中身を減らした「ゆとり栽培」とか、
田んぼと 田んぼをくっ付けた「中高一貫栽培」とか、
見当違いのことばっかりやっていて、肝心なことが抜けている・・
だから、学校(水田)にァ馴染めないってんで、
不登校児童・生徒(野菜)が14万人(トン)も出る・・
これじゃあ、米のほかには、ダメ野菜を大量生産しているだけだな・・」
熊 「うんにゃあ〜・・・。大家さんの言うとおりでげす。
へィ、あっしァ、これから文部大臣に掛け合いに行ってめぇりやす。
田んぼに米に畑に野菜とくらァ。
なんで、こんな簡単なことォ、解らねぇんだ・・ってね」
大家 「おいおい、それより金坊はどおする?」
熊 「へえ、せがれの替わりにあっしが学校に行きやす。
なあに、あっしでしたら、でぇじょうぶ。
これ以上落ちこぼれるわけがねぇ!! 」
お後がよろしいようで・・