沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

こんなタイミングにイムラン・カーン首相がモスクワ訪問。何故?   カラチ → パンジャブ間1100キロのガスパイプライン建設へ

2022-02-26 12:05:14 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月25日(金曜日)
     通巻7230号 <前日発行>
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 こんなタイミングにイムラン・カーン首相がモスクワ訪問。何故?
  カラチ → パンジャブ間1100キロのガスパイプライン建設へ
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 パキスタンの商都カラチから内陸部パンジャブへガスのパイプラインを建設する大プロジェクトは2021年5月28日にロシアとの間で署名し、いつ開始するかという最終の詰めが残っていた。

 全長1100キロ、年間124憶立方メートル(将来的には160憶まで引き揚げる)、総工費は15億ドルから35億ドルで、パキスタンが74%を負担し、ロシアが26%。 
 カラチは古くからアラビア諸国との交易で栄え、ここにサウジアラビアも石油精製施設を建設するプロジェクトが提示された。パキスタンは中国が開発してきたグアダル港のプロジェクトを事実上放棄した。

 パンジャブ地方にはイスラマバード、ラホールなど人口凋密地帯の電力をまかなう発電所があり、カラーからインダス河域をさかのぼってパイプラインが敷設される。
 ロシアの傘下企業は、西側の制裁を警戒してかガスプロムは加わらず、東方パイプライン、TMK、ロシア・エネルギー省等がコンソーシアムを結成する形式を取る。

 2月23日、ロシアはウクライナ東部に軍を派遣し軍事作戦にでた。世界がロシア制裁を叫ぶタイミングでパキスタンのイムラン・カーン首相の特別機はモスクワへ到着した。パキスタン首相のモスクワ訪問は1999年にシャリフ首相以来、23年ぶりである。

 両国関係は細い絆でしか結ばれていなかったのは、アフガニスタン戦争中にパキスタンが米軍の空軍基地を提供し、米国との関係を強めた所為で、またロシア国内には2500万人のムスリムがいる。したがってパキスタンは容易に西側のモスクワ制裁に同調できないのである。

お先真っ暗な日本の未来。中国とロシアの暴走が壊す北東アジアの平和

2022-02-26 12:02:45 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6058号



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お先真っ暗な日本の未来。
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      アッズーリ

中国とロシアの暴走が壊す北東アジアの平和

領土や人権等の問題をめぐり西側諸国と対立する中国とロシアですが、そ の「覇権的な動き」は日本に明るくない未来をもたらす公算が大きいよう です。先日掲載の「中露海軍が『津軽海峡』航行の衝撃。日本は“鬼門”の 防衛力を強化せよ」で二国の脅威を詳細に綴った、外務省や国連機関とも 繋がりを持ち国際政治を熟知するアッズーリ氏は今回、中露の動きがこれ まで以上にエスカレートする可能性を指摘。さらに彼らにより北東アジア の分断が進みつつある事実を記すとともに、日本が安全保障面で接近を強 めるべき国の名を挙げています。

中国・ロシアによって分断が進む北東アジア
今年に入って、中国やロシアの覇権的な動きが先鋭化している。まず、ロ シアはウクライナ国境近くに軍を10万以上とも言われる軍を展開し
、同国 へ侵攻する動きを見せるなど今日緊張が高まっている。米国のブリンケン 国務長官は1月5日、ドイツのベーアボック外相と会談してロシアが軍事的
圧力を強めるウクライナ情勢について話し合い、ロシアが軍事的侵攻をし た場合は大規模な経済制裁に踏み切ると警告した。バイデン大統領も2月 が危ないと指摘するなど、2014年のウクライナ危機の再現を危惧する声が 高まっている。長年、プーチン大統領は北大西洋条約機構NATOの東方拡 大、ウクライナの西洋接近を強く警戒しており、軍事的圧力を強めること でそれらを阻みたい狙いがある。ロシアは2014年2月のソチ五輪後にクリ ミア半島侵攻に踏み切ったことから、北京五輪後が危ないとする見解も多い。

また、北京五輪を巡る外交的ボイコットもあり、欧米と中国の対立は既に 後戻りできないところまで来ている。これまでのところ外交的ボイコット を
表明したのは米国に続き、英国とカナダ、オーストラリアとニュージー ランド、バルト三国のリトアニアだが、北京五輪の偉大な成功を掲げる
習 政権が同開催中に大きな動きに出る可能性は低いが、五輪後に外交的ボイ コットを実施した米国や英国などに制裁措置で報復を行う可能性は否定で きないだろう。中国を巡る欧米の警戒意識が強まっているが、米国と中国 の経済力や軍事力は接近する一方で、中国がインド太平洋における米国の パワーは大したことがないと判断する時が来れば、それはかなりの危険信 号となろう。今年はロシアと中国の覇権的な動きが一気に進む恐れがある。


一方、ロシアや中国の覇権的な動きによって、北東アジア地域の崩壊が進 んでいる。中国は日本を経済力で抜き米国に接近することで自信を深めて いる。
そして、尖閣諸島や南シナ海などで海洋覇権を強め、2020年には国 家安全維持法を施行することで香港の一国二制度を破壊し、台湾統一に向 けての
動きを加速化させるなど、北東アジアは米中対立の最前線となって いる。東南アジアはASEAN、欧州はEU、アフリカはAUなど他の地域には各 地域の
問題を共同で話し合う地域的国際機関が存在する。しかし、そう いった地域的な国際機関が全くなくバラバラなのが北東アジアだ。中国は 米国の影響力を排除し、北東アジアで主導権を握ろうとし、北朝鮮はミサ イル発射を繰り返すなど孤立主義的な行動を取り続け、韓国は米国の同盟 国ながら中国との経済関係を重視するなど米中対立の狭間で悩んでいる。 日本は日米同盟を基軸に自由で開かれたインド太平洋の実現を進めるスタ ンスなどで、これら3か国と協力できる環境にない。



ロシア軍、ウクライナ東部に「侵攻」。西側は一斉に非難し制裁を表明したが   米軍もNATO軍も軍事介入はできず、口先非難で傍観。効果が妖しい「制裁」。

2022-02-26 11:58:57 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月24日(木曜日)
     通巻7229号
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 ロシア軍、ウクライナ東部に「侵攻」。西側は一斉に非難し制裁を表明したが
  米軍もNATO軍も軍事介入はできず、口先非難で傍観。効果が妖しい「制裁」。
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 ロシア軍がウクライナ東部に侵攻した。
ドネツク自治州、ルガンスク自治区はロシアに隣接しロシア人住民が多数派だから、独立国家として認める方向にある。
問題は、戦火がウクライナ全土に拡大するか、どうか。

 欧米は一斉に非難し、日本も制裁を発表したが、一番困っているのは、おそらくドイツである。数兆円を投じたノルドストリーム2が工事中断、展望が真っ暗になったからだ。ドイツは「承認手続きをしばしペンディングにする」としたが、工事中止は口にしていない。
ほくそ笑むのはカタール、UAE、そして最大の裨益国はアメリカ。ガス輸出の代替がこれから始まる。

 このロシアの軍事行動は、過去の類似パターンに酷似している。
まず思い出すのがチェチェンとイングーシ争乱である。欧米は「ロシア国内の争乱」として傍観した。ロシア軍が介入するのも、独立過激派がテロ戦争をしかけたからだ。
チェチェン人とイングーシ人は、そもそも同じ民族でイスラム教徒スーフィズムを信仰する。スターリンが共和国を廃止して、民族隔離政策を実施し、多くをシベリアに追いやって以後、状況は複雑化していた。

 1990年に独立を宣言し、94年にエリツィンが介入して紛争は激化した。なにしろイスラム過激派ゆえにテロが頻発、政治家の暗殺が続き99年には連続爆破テロ、大量避難民がでた(一部のテロ事件はロシアの演出を狙った自作自演説がある)。

 けっきょく、1999年にロシア軍が再介入し治安を維持してきたが、政情は依然として不安定。治安悪化のまま。過激派の一部はシリアへ「出張」した。

 2008年のグルジア戦争は、グルジア国内の自治区がグルジアからの「独立」を希求した国内国とグルジア(その後、国名をジョージアと改称)との領土戦争である。
 二つに分けて考えられる。

(A)南オセチア(南オセチア・アラニア共和国)
91年に「グルジアから独立」を宣言した山岳地帯の自治区で、ジョージア領内にあって独立が認められず、ジョージア軍が武力介入した。そこにロシア軍が介入し、独立国として扱われる。(プーチンが2008年8月8日の北京五輪出席のその日にロシア軍が侵攻した)。

(B)アブハジア共和国の紛争も、上記の南オセチアに連動する。これらを外交承認した国はロシア、ニカラグア、ベネズエラ、シリア等のロシア傀儡国家。そして国際社会が独立国家とは認めていないアブハジア、ルガンスク、ドネツク等の紛争地域も(政府を名乗って)承認した。ガガウス共和国(モルドバ沿ドニエステル)などがお互いに「傷の舐め合い」を演じたが、国際的にはいずれも「未承認国家」として扱われる。


 ▼クリミアの併合

 クリミア併合は2014年、ヤルタ会談のリバーティア宮殿を含む地域と、軍港として有名なセバストポリにロシア軍が進軍して「ロシアに編入された」。
 そして1954年のフルシチョフのクリミア割譲を「無効」としたうえで、クリミア、セバストポリ、ロシア三国が署名した。「住民投票の結果であり、西側の批判は根拠希薄」とプーチンは言いつくろい、西側の制裁に中国も同調的だった。

 ついで起こったのも旧ソ連を構成したカフカスのアルメニアとアゼルバイジャンである。お互いが「飛び地」を巡って、これまでもにらみ合ってきた。ジョージアに加えて、カフカスのほかの二カ国も複雑怪奇なのである。

 ナヒチバンとナゴルノカラバフ戦争はどうなったのか? ロシア軍はアルメニア、アゼルバイジャン戦争に「平和維持部隊」を派遣し紛争を終結。アルメニアはナゴルノの三分の一を失った。人口35万の98%はアゼルバイジャン人である。住民の意思は独立か、アゼルバイジャンへの帰属だから、住民自決を原則として、ロシアが主導権を取った。

 将来、同様な火種を抱えるのはモルドバ領内の沿ドニエステル自治区(オデッサに隣接)だ。
2006年、アブハジア共和国、南オセチア共和国、沿ドニエストル共和国の3か国の「大統領」が共同声明をだし「共同体」設立を宣言。アルツァフ共和国(ナゴルノ・カラバフ)も参加した。沿ドニエステル自治区にはロシア兵1500人の兵力が駐留している。四年ほど前に、筆者がモルドバからバスでウクライナのオデッサへ向かったことがある。沿ドニエステル自治州を迂回するため、たいそう時間がかかったものだった。


 ▼旧ユーゴスラビアの分離独立を、なぜ西側は支援したのか?

 バルカンの分離独立戦争では、「独立」を指向した旧ユーゴ連邦の「国内国」が次々と隣国との国教を巡り、軍事衝突が大規模となった。ついに旧ユーゴスラビアは七つの「独立国家」となって分解した。スロベニア、クロアチア、ボスニアヘツェゴビナ、セルビア、コソボ、モンテネグロ、北マケドニア。バルカン半島には、もう一つユーゴに加わらなかったアルバニアがある。

 こうした事態の出来はNATOの失敗ではなかったのか。
米軍は上空五千メートルから「介入」した。ベオグラード空爆では国防省ビルなどが残骸となった。日本大使館のとなりにあった中国大使館も「誤爆」された。

 結果、セルビアだけが悪役となって「民族の英雄」とされたミロセビッチ、カラジッチが国際法廷で裁かれた。
こうした措置にユーゴスラビアの首都を置いたセルビアが反発し、ロシアとの関係を強化した。セルビアのジェノサイドだけが悪かったのか。ではクロアチアやボスニアの残虐行為が不問とされたのは、矛盾していないのか。

 そしてこの紛争では想定外に「コソボ」が独立という奇妙な結末となった。このとき西側は「コソボ独立」を支持し、支援したのである。現在もコソボの治安を護っているのはNATO軍である。最大の裨益はアルバニア。なぜならコソボにいつの間にかセルビア人が激減して、アルバニア系が多数派となっていたからだ。

 つまりコソボ独立を「民族自決」の原則で支援したわけだから、それならドネツク、ルガンスク自治州の「独立」を西側は認めなければ矛盾ではないのだろうか?